中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会(1)県内の正社員雇用促進

2015年12月16日 9:04 am
カテゴリ: 活動報告

不本意非正規、どう減らすか

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Q、中川ゆう子

先月 厚生労働省が発表した「2014年 就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、労働者全体に占めるパートや派遣など非正規雇用の割合が過去最高の4割に達したことが明らかになりました。この要因の一つは、労働法制の規制緩和にあると言えます。加えて、先の通常国会では非正規雇用の拡大を進める改正労働者派遣法が可決され、直後の9月30日に施行されました。あくまで「一時業務に限る」とされてきた派遣労働において、業務ごとの期間制限をなくし、派遣労働者を切れ目なく受け入れ可能としています。翌10月1日は、期間制限を超え派遣雇用されれば、「派遣労働者に労働契約を申し込んだ」とみなして直接雇用する「労働契約申し込みみなし制度」の施行(せこう)日でした。「派遣切り防止」から生まれた「みなし制度」でしたが、そもそもの派遣雇用の期間制限が廃止されることにより、派遣労働者にとっては「正社員への道が開かれる」はずが、直前で奪われる形となりました。先の調査によると、「正社員雇用がない」ため非正規雇用を選んだ労働者は、派遣社員のうち37.7%、契約社員のうち31.8%であり、パートの11.7%と比較しても非常に高いのが分かります。今回の国の法改正はこうした労働者の思いを踏みにじるものであったと感じる所です。事業所が非正規雇用を雇う理由として、第一に「賃金の節約」が挙げられているように、非正規雇用の低賃金の実態は深刻なものがあります。賃金の平均月額は正社員が20万~40万円未満が60.5%なのに対し、非正規社員の8割近くが20万円未満。低賃金、退職金がないなど、同じ労働をしていても、待遇にはどうしても大きな格差が生まれています。これは個人の頑張りや責任でなく、国の雇用政策によってこのような問題が生み出されていることは、今申し上げた調査結果からも明らかです。またこうした賃金などの待遇格差は、数年先の見通しが立たず結婚に踏み込めない、子どもを産み育てるなどの人生設計がたてられない、といった個人の人生に大きくかかわる深刻な問題を生み出しており、「一億総活躍社会」のスローガンの真逆をいく実態だと言わざるをえません。これは個人の問題にとどまらず、個人消費の落ち込み、少子化など、社会全体の問題になっているのも見逃せないところです。そこで商工労働部長に3点お聞きします。

1点目、商工労働部長へ質問

正規雇用を促進する取組について、こうした非正規雇用の増大が社会問題化している中、安定した雇用、正規雇用を生み出す取り組みが求められています。求職者への支援や正規雇用を生み出す中小企業への支援はもちろんですが、正社員の過重労働を間近で見て、正社員にはなりたくない、という消極的選択をしてしまう労働者をへらすために、働きやすい職場を増やす取り組みも必要だと考えます。こうした雇用のマッチング、中小企業への支援、働きやすい職場増やしが、正規雇用を増やすために不可欠だと思いますが、県としてどのような取り組みを行っているでしょうか。

商工労働部長の答弁

正規雇用を促進する取組についてお尋ねがございました。本年10月県内正社員有効求人倍率1.08倍と、全国平均の0.79倍大きく上回っており、県内企業の正規雇用に対する意欲は高まっております。ただし正規雇用を増やすためには、引き続き業種や職種における、いわゆる雇用のミスマッチを解消していく必要がございます。そこで県としましては、就職又は転職に際して、県総合人材チャレンジセンターにおいて、独自の取材による求人先の就職情報の充実、正規雇用求人情報の積極的な提供から、仕事の適性等についての丁寧なカウンセリングの実施、ビジネスマナーや模擬面接などの就活セミナーの充実、求職者と県内企業との個別企業説明会の開催まで、企業とのマッチング等を一貫して支援しております。

2点目、商工労働部長へ質問

県内就労を促進する対策について、学校を卒業した若い世代や、転職を考えている方、職を探している方の県内就労を促進する取り組みについてお聞きします。人口動態調査で明らかなように、岐阜県から県外に転出する最大の要因は「職業上の理由」です。各自治体では、就職と移住定住促進を結び付けた施策として、家賃補助や奨学金返済免除など、若者の就労を促進する取り組みが始まっています。例えば家賃補助では、高山市が、地元高山を離れて進学した若者が再び地元で就職するUターン就職や他地域の若者が高山市で就職するIターン、Jターン就職を進めるために、高山市内で就職した場合のアパートの家賃を助成する制度をもうけています。また、奨学金返還免除制度においては、岐阜県では、「医学生修学資金」において、県内の医療機関に一定期間勤務することを条件に返済を免除する制度を導入していますが、昨日の伊藤英生議員が質問の中でご紹介されておられたように、他都市では、県内就職した場合に奨学金返済の減免や免除する制度の実施に踏み切っています。たとえば、福井県の「ものづくり人材育成修学資金」、鳥取県の「未来人材育成奨学金」、香川県の「大学生等奨学金」などですが、今後他の都道府県や市町村でも導入が検討されているようで、来年度は高山市でも導入される方針だということです。現在、奨学金を借りている学生は5割にまで達しています。卒業後は10年、20年かけて返済することになりますが、大学卒業でも数百万、大学院で勉強をした場合は非常に多額の借金を社会に出るときから背負うことになります。しかし、今や30代から50代の労働者の3分の1は年収300万円以下であり、夢をかなえるために奨学金を借りて学んでも、その奨学金が若者の将来の生活を圧迫してしまう深刻な現実があります。一方、県内企業は人材不足に苦慮しているという現実もあります。「平成27年度職種別民間給与実態調査」によると、今年4月分の愛知県の民間従業員給与は38万9853円であるのに対し、岐阜県は37万5009円となっており1万4844円も安くなっています。学生の5割が奨学金を借り、多額の借金を必死の思いで返済する立場ならば、賃金が少しでも高い方へ就職先を選ばざるをえない事も理解できるのではないでしょうか。また、この調査は事業所規模50人以上の民間企業が対象であります。岐阜県で大多数を占める小規模企業では、50人以上の規模の企業と比べ、これ以上の給料を出すことは一般的に言ってむつかしい事だと思われます。だからこそ、さきほどご紹介した、家賃補助や奨学金返済免除制度など、若い世代を呼び込む応援策が必要ではないでしょうか。県内で就労する若い世代を増やすために、県としてどのような対策に取り組むのか、お考えをお聞きします。

商工労働部長の答弁

県内就労を促進する対策についてお尋ねがございました。県内の高校卒業生の進学先の約8割が県外であり、また、県内大学入学者の約6割が県外からという状況にあることから、県外に出て行った若者を呼び戻し、県内大学を卒業する若者に県内に定着させて人材確保を図るためには、まずは県内企業の魅力をしっていただくことが何より重要です。そのため、県外に出て行った若者向けには、本年4月に開設した「地域しごと支援センター」において、県内出身学生の多い東京、京都、名古屋でのUIJターン就職に関する学内相談会や就職ガイダンス、県内企業の魅力を知ってもらうための企業見学バスツアーを大学1年生にまで対象を拡大して開催しております。次に県内大学進学者向けには、先ほど申し上げた県総合人材チャレンジセンターにおける一貫した企業とのマッチング支援等に加え、新たに大学内での合同企業説明会を開催していくなど、県内企業と学生との接点を増やす取組を行ってまいります。

中川ゆう子の再質問

ひとつは、県内に就職する雇用、県内の就労を増やす取組として、非常に色々な事をやってみえますし、新たに、地域しごと支援センターというものにも取り組まれるという事で、これは登録制だそうで、登録の増えるような取組もお願いしたいと思いますが、その他で、ジンチャレでマッチングをしていく、そして企業と求職者との接点を増やしていくということでしたので、その事についてお聞きしたいと思います。成長・雇用戦略を読ませていただいたのですが、その中でとても細かく企業の中での悩み、ニーズというものを把握され分析されていると思います。そういった人材確保の取組がされている一方で、求職者や若者が今どのような問題を抱えていて、そして企業に対して何を求めているのかという所の把握が弱いのではないかと思います。企業と求職者の接点を増やしてマッチングしていくためには、企業のニーズを把握するだけではなく、求職者の方のニーズも把握する必要があると思います。そこで私が申し上げたのが、奨学金とか低収入と言う問題なのですが、求職者のニーズといったものも丁寧に把握ができないかお聞きしたいと思います。

商工労働部長の再答弁

正規雇用を増やす取組について、2点改めてご質問をいただきました。まず、求職者のニーズを把握したうえでの対策をということでございます。NPO法人が以前、就職活動を行った県内大学性を対象に実施したアンケート調査では、「仕事の内容」、「やりがい」や「職場の雰囲気」といった点を、「給与」や「オフィスの立地」等の労働条件より重視して就職先を選んでいるとの結果もみられたと承知しております。県といたしましては、今後も若者の県内就労促進に向け、県総合人材チャレンジセンター等において、求職者のお話も丁寧にお聞きしつつ、県内企業の魅力を知ってもらう事業を充実してまいります。

3点目、商工労働部長へ質問

不本意非正規をなくすための対策について、正規雇用をのぞみながら非正規雇用で働いている、いわゆる「不本意非正規」をなくすための対策についてお聞きします。H26年度の総務省の調査によると、不本意非正規は非正規労働者の18%、全国で331万人となっております。また年代でみると、もっとも割合が高いのは25歳~34歳で28.4%、続いて35~44歳が18.7%である。不本意非正規の5割近くが、正社員の内定が非常に狭き門だった就職氷河期時代に就職活動をした年代に集中しています。雇用対策で重要だと思うのは、違法な働かせ方いわゆるブラック企業をなくし、働きやすい職場を増やすことと、そしてこの「不本意非正規」をなくすこと、この両側面が必要です。東京都では、雇用政策の中で、ただ単に雇用を促進するのではなく「正規雇用」を進めることを長期ビジョンに示し、具体的に非正規を正規雇用する取り組みが始められています。それには、現在働いている会社内で雇用を継続しつつ正規雇用化を支援する取り組みと、正社員として別の会社で新たに就職することを促進する取り組みがあります。新たに正社員として別の会社で就職することを促進する取り組みでは、若い世代の正規雇用促進策に加え、不本意非正規の多くを占める就職氷河期世代(30代~40代)の正規雇用化に焦点を当てた施策も始められています。東京都の取り組みはスタートしたばかりであり、各施策の効果や実績は見守っていきたいですが、東京都が不本意非正規の数や実態を独自につかみ、具体的に非正規雇用を正規雇用化することに狙いをさだめ、年間5,000の正規雇用化をどう実現するか、というところから出発している点に注目しています。非正規雇用の増大は、国の法改正に大きく影響されますが、東京都のように、少なくとも、正社員になりたくてもなれない不本意非正規はなくすべきだと考えます。そこでお聞きします。県として、県内の不本意非正規の実態をつかみ、「成長雇用戦略」にこの問題について盛り込むとともに、不本意非正規をなくすよう取り組んでいく必要があると考えますが、いかかでしょうか。

商工労働部長の答弁

不本意非正規をなくすための対策についてお尋ねがございました。厚生労働省が先月公表した平成26年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によれば、正社員以外の就業形態を選んだ理由として「自分の都合の良い時間に働けるから」が最多の37.9%を占める一方、「正社員として働ける会社がなかったから」は平成22年調査の22.5%から18.1%に低下したと承知しております。非正規労働者の正社員化等を進めるため、厚生労働省及び全国の労働局に「正社員転換・待遇改善実現本部」が本年11月までに設置され、経済団体等への協力要請がなされたほか、正社員転換等取り組む企業への国の助成制度も拡充されております。非正規労働者の正社員化や待遇改善に向けた、県としましても、県総合人材チャレンジセンターに登録している求人企業に助成制度の活用等を促すなど、労働局等と連携しながら、事業の継承、高度な技術の蓄積・伝承の観点から正規雇用のメリットを県内事業者に伝えてまいります。

中川ゆう子の再質問

2点目です。不本意非正規の事でお答えいただきましたが、不本意非正規が22.5%から18.1%へ低下しているというご認識なのですが、これは調査によって違っておりまして、例えば厚生労働省の調査によりますと、正規雇用を望みながら非正規雇用で働いている方が契約社員の53%、派遣社員の48.2%、非正規雇用の全体でも5ポイント増えて30.7%になったという結果が出ているわけです。ですので、私自身は決して減っているという認識とは違う認識を持っております。そして正規雇用のメリットを企業に伝えていく努力、これは是非行っていただきたいのですが、その一方で、企業に正規雇用をしたいという思いがあっても、なかなか正規雇用に結び付かないという問題もあります。先ほど申し上げたような愛知県との賃金の差であったり、これ以上、正社員を雇用したいけれど、賃金や人件費を使えないという方もいらっしゃると思います。そして大きな問題として、そういった企業側の問題と、一方で不本意非正規の中年化、高年齢化という問題もあります。不本意非正規の中で、比較的高い年齢で30代から40代というのは就職氷河期時代に就活をした年代と言われていますが、この部分だけに特化した対策をしていかないと、結局のところ若い人材ばかりが就職をして、この年代は置いていかれてしまうのではないかと感じているところです。様々な取組はなされていますが、長年一定の分野で、非正規で働いている不本意非正規の30代、40代という方々は、新しい分野に挑戦しづらい、そして先程おっしゃったミスマッチという問題が大きくあります。東京都では、こうした中年の不本意非正規の方達をどうしていくのかという所に焦点を当てた取組をされておりますが、先ほどご答弁のあった取組の中で、ここに焦点を当てた取組はできないのかお聞かせいただきたいと思います。

商工労働部長の再答弁

長年、不本意非正規を継続されている方々への対策についてお尋ねがございました。』非正規労働者の正社員化等あるいは待遇改善を進めるため、国及び全国の労働局において11月までに「正社員転換・待遇改善実現本部」が設置されております。本県におきましても、去る11月に「正社員転換・待遇改善実現本部」が労働局において設置されたところでもあります。県といたしましては、こうした本部においてオブザーバーとして参加するなど、今後も労働局と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。

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