今年の憲法記念日5月3日に安倍首相は、憲法改正を行う意思を表明、具体的に憲法9条を改正し、2020年度内に施行を目指すとされています。
ここまで具体的な表明は、今までなかったことである。
一方、国民世論はどうかというと、
11月2日付の共同通信世論調査では、
安倍首相のもとでの憲法改正に50.2%が反対、賛成は39.4%
憲法9条に自衛隊を明記する安倍首相の提案に反対は52.6%にのぼり、賛成38.3%を大きく上回っています。
このように、安倍首相の改憲宣言はかならずしも、国民全体の要求にこたえているわけではないことはこうした各種世論調査にも表れています。
憲法に描かれている、目指すべき姿が、現実の社会とかけ離れているなら、政府が近付ける努力をすることこそ、国民の多くが望むことではないでしょうか。
憲法について国民がそれぞれ様々な思いを持ち、深い議論が起こる事は否定しませんが、憲法には、日本の国が目指すべき姿が述べられていて、99条では、政府をはじめ国家権力はこの憲法に基づいて施策を行う憲法尊重擁護義務があると定められています。
その首相がみずから憲法改正を推進することは、憲法に定められた憲法99条から見て反していると考えます。
全国知事会では11月24日に「憲法における地方自治のあり方検討ワーキングチーム」が憲法改正草案を発表しました。憲法に地方自治の規定が弱いので、その部分について改正案をまとめるとの報道でした。
しかし、知事も自治体の長として、憲法の尊重擁護義務を負う立場
その知事の集まりである全国知事会が、憲法の改憲草案を取りまとめたことに違和感があります。さきほど申し上げたように、憲法に対しさまざまな議論が国民レベルで起こり深められることを否定するものではないが、政府や自治体の長に求められていることは憲法に基づいた政治を行うことであり、改憲草案を自ら取りまとめるのはふさわしくないと感じる。
知事会の中でも、草案以前に改正そのものについて賛否が分かれているとの報道もあった。古田知事からも、知事会において、憲法99条の観点から自治体の長が憲法の尊重擁護の立場に立った発言をしてほしいと感じている。
中川ゆう子の質問
知事として知事会での改憲議論にどのようなスタンスで関わっているのでしょうか。知事の答弁
全国知事会での憲法改正論議につきましての考えということで、お尋ねがございました。まず、地方自治法が施行されて、今年で70年を迎えるわけでありますが、平成7年の地方分権推進法の制定を皮切りとして、期間委任事務の廃止など地方分権改革の進展、平成23年の国と地方の協議の場に関する法律の制定など、近年、重要な動きがございました。
また、平成27年の公職選挙法の改正で、参議院の一票の格差問題の解消のため、憲政史上初となる「合区」が導入されたところでありますが、その審議の過程では本県も合区の対象に上がっております。
そして昨年7月の参議院議員選挙におきましては、合区された県において、自らの県を代表する議員が選出されない、さらには選挙への関心が希薄になり投票数が低下するといった事態が生じております。
このように、地方自治を取り巻く環境が大きく変化していく中にあって、現行の憲法における地方自治の規定は、4つの文条のみでありまして、地方自治に関する規定も第92条で、「地方自治の本旨に基づいて、法律でこれらを定める。」という抽象的な表現にとどまっております。
こうしたことから、全国知事会ではワーキングチームを設置し、議論の結果を取りまとめていたということでございます。
もとより知事を含めて公務員には、憲法遵守擁護義務がございます。また、憲法改正案については国会議員より発議されるものでございます。これに対して、今回の全国知事会ワーキングチームは、地方自治の現場に身を置く立場で、地方分権の確率や参議院の合区問題という地方自治をめぐって直面する諸課題において、憲法上の位置付けという観点から、議論をしたものというふうに理解しております。
中川ゆう子の再質問
地方自治法にもとづいて法律等に意見することはできるが、法と憲法は別のものであり、法は憲法によって作られるもの。憲法に対して意見するとこは違うと考えるが、知事の認識は?知事の再答弁
まず最初に、憲法改正論議についてでありますが、憲法第99条は、公務員の憲法尊重擁護義務を規定しておるわけでありますけれども、公務員が憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではないというふうに解されております。したがって、知事会において憲法改正を議論することは、同条との関係で特に問題となるもではないというふうに私は理解しております。なお、この解釈につきましては、本年2月の逢坂誠二衆議院議員の質問主意書に対する政府の公式見解としても示されております。