中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月質問(1)消費税率の引き上げについて

2018年12月24日 11:36 am
カテゴリ: 活動報告

消費税率の引き上げについて

来年10月に消費税率が8%から10%に引き上げることが閣議決定されました。
県の財政面、地域経済、県民生活など各面においての影響を聞ききします。

まず、県財政に与える影響についてですが、これまで県は、岐阜県長期構想において、「社会保障の増大を地方消費税でまかなうことができる」とされており、また知事も過去の答弁で「消費税の増税分で社会保障の自然増分は当面は財源手当てできる」と答えておられます。
これだとあたかも消費税により社会保障の財源が新たに増えるように聞こえるが、認識が違うのではないかと疑問があります。

確かに消費税増税にともない地方に分配される地方消費税は増えるものの、一方で国から入るべき地方交付税は増収額分がほぼ100%減額されるので、言われているような県の収入面でのメリットはほぼ無いと見るべきではないでしょうか。

消費税が導入されてから、こんにちまで国民が支払った消費税は372兆円です。一方で、ほぼ同じ期間に企業の税負担は減税により291兆円も減収となりました。
消費税を上げて、大企業に減税するやり方では、国も地方も財源は生まれませんし、社会保障も財政赤字も解決できないと私は思います。
そして、地域経済の冷え込みによる税収減も予想されます。

さらに支出面を見ると、工事費や物品購入には10%の消費税負担が生じるため、支出における県の負担は増大します。
とくに今後は、県庁建て替えなどの大型プロジェクトが計画されており、オリンピック開催による資材の高騰などを換算すると、今後の県の支出面での影響は計り知れないものになると見るのが、適切ではないかと考えます。

中川ゆう子の質問

そこで総務部長にお聞きします。
消費税率の引き上げが実施された場合、県財政へはどのような影響があると考えているでしょうか。

総務部長の答弁

消費税率の引き上げにともないまして工事費の増などの一定の歳出増が見込まれますが、前回の8%への引き上げ時においては、こうした歳出増は地方交付税により財源手当てがなされております。これを踏まえ、今回の全国知事会を通じて同様の措置を要請しいており、実現されるものと考えております。

こうした前提に立てば、県財政への大きな影響はないものと考えておりますが、これら詳細については、今後示されてまいりますので、こうした点も含めて、確実な地方財政措置がなされるよう、引き続き、国の動きを注視してまいります。

中川ゆう子の再質問

消費税率の引き上げにともなう歳出増は、交付税措置されるという見解の答弁であったが、確かに一定額のほう交付税措置はされると思うが、その額というのは、県が消費税として負担する額そのものではないはず。そのため、県の支出における負担は増えると考えるが、その点についても見解を伺う。

総務部長の再答弁

さきほどご答弁申し上げましたように、消費税率の引き上げにともないまして、工事費の増など言っての歳出増加は見込まれますけれども、前回の引き上げ時においては、こうした歳出増は地方交付税により財源手当て流されております。今回も同様のことが実現されるものと考えておりまして、こうした前提に立てば県財政への大きな影響はないという風に考えております。

ただ、これらの詳細に関しましてはただいまお話がありましたように今後示されてまいりますので、確実に地方財政措置がなされるように引き続き国の動きを注視してまいりたいと考えています。

中川ゆう子の再々質問

消費税率8%への引き上げ時には、その分交付税措置がなされてということだが、交付税の算定根拠として一部措置がされたということではないか。今の答弁では、10%に引き上げられると増税分の負担が増えるが、その負担分の全額が国からくるように聞こえる。その点について改めて伺います。

また、長期構想では、社会保障の増大を地方消費税の増収分でまかなうということができるとあるが、消費税が増税された分、あたかも社会保障の財源が新たに増えるように読めることが問題である。今の答弁では、消費税が増税されても、入りも出も交付税などの措置により大きな影響がないということだが、新たな財源が生まれるような書きぶりがされている長期構想と矛盾を感じる。その点について、修正されるということなのか。

総務部長の再々答弁

長期構想に記載の点でございます。確かに26年3月の長期構想の中間見直しでございますけれども、社会保障関係経費の増加について、当面消費税率の引き上げによって補うことができるようになったと記載をしています。この趣旨でございますけれども、消費税率引き上げにあたる国の制度設計において、引き上げにともなう増収額は、その全額を社会保障の充実、安定化にあてるとされた考えのもとに記載したものでありまして、この前提に立てば、地方消費税を含め、消費税率の引き上げにより、国・地方財政全体を通じて、当面の社会保障関係経費の増加分が賄われるという趣旨で書いたものでございまして、特に訂正ということは現在のところ考えておりません。

それから消費税率の引き上げが県財政に与える影響でございますけれども、考え方といたしまして、こうしたことに関しましては地方交付税により財源手当てがなされてきております。これをふまえて今回においても実現されるものと考えておりまして、こうした前提に立てば県財政への大きな影響はないものと考えているということでございます。

消費税率の引き上げに対する知事の見解について

今回の消費税率引き上げは、様々な面で問題があることを申し上げましたが、一番根本的な事は、本来税は負担能力に応じて課税されるべきものなのに、消費税には低所得者ほど負担が重くなる逆進性の問題があることです。

例えば、年収200万円未満の場合、家計に占める負担率は8.9%
一方、年収2000万円以上の場合は、1.5%です。
年収が10倍の方が、負担率は6分の1であるのです。
社会保障の増大や、国の財政安定化の財源というなら、この間アベノミクスにより利益を得てきた高額所得者や大企業から応分の負担を求めるのが筋であると私は考えます。

逆進性による低所得者への対策や景気対策も検討されていますが、時限的に行われるもので効果は限定的であり、それに費やす費用が2兆円というのも本末転倒でないかと思われます。
県においては、生活困窮者支援や低所得世帯の割合が高いひとり親家庭の支援など行っており、今年度は新たに子どもの貧困実態についての調査がはじまっています。県がこうした支援を行っていくべき低所得者や生活困窮者をさらに困窮させるのがこの増税です。

消費増税にともない、県の財政支出、地域経済に加え、生活困窮者などの低所得者をはじめ県民生活の各方面に影響が懸念されるため、今の県民生活の実態を見たら引き上げすべきでないと私は考えます。

中川ゆう子の質問

消費税引き上げに対する知事のお考えをお聞きします。

知事の答弁

少子高齢化が急速に進む中で、我が国の社会保障の安定財源を確保し、次世代にしっかりと引き渡していくことは、先送りできない喫緊の課題であるという風に認識しております。
また、その財源としては、国民全体で幅広く負担する消費税によって確保することとされ、引き上げに伴う増収額はすべて社会保障の充実・安定化にあてるという風にされております。

今後の社会保障制度を持続可能なものにすることは、国・地方共通の課題であり、これまで全国知事会からも、消費税率の8%から10%へお引き上げを確実に行うよう、要望してまいりました。

他方、消費税率の引き上げにあたりましては、議員からもご指摘がありましたように、県の財政支出や県経済への影響、さらには低所得者への配慮について注意深く見ていく必要があるという風に考えております。

県の財政支出につきましては、後ほど総務部長のほうからご答弁問仕上げますが、幼児教育・保育の無償化に係る地方負担につきましては、国において「一般税源総額を増額確保する」という風にされております。

次に、県経済への影響につきましては、先日もご答弁申し上げましたように、前回の引き上げ前後における個人消費の動きを見ますと、駆け込み需要とその反動減という風に考えられる結果が生じております。今般、国は、こうした需要変動への対策として、自動車・住宅などの耐久消費財の購入者への税制・予算措置を講じるとともに、消費税率引き上げ後の一定期間、主に中小小売業者での購入に際し、購買者にポイントを付与することによって消費インセンティブを与えるとされております。このほか、経済対策としての効果も狙い、防災・減災対策事業を拡充するということになっております。

さらに、低所得者への対応としては、税制上の恒久措置として軽減税率が導入されることになっております。これは、家計消費の4分の1を占める飲食料品や新聞を対象に、税率を8%に据え置くものであります。

また、低所得者層・子育て世帯を対象に、平成32年3月までの臨時的な措置として、購入価格に一定額が上乗せされた額面の商品券を購入できるプレミアム商品券を発行することも予定されております。さらには低年齢者も対象として追加する動きもございます。

このように、国において様々な対応が図られるものと受け止めております。これらの具体的な内容について引き続き国の動きを見きわめてまいりたいと思っております。また本県としても、消費税率引き上げに係る県民向けの広報、あるいは中小企業向けの相談窓口の設置、さらには国と呼応した防災・減災対策事業の実施など、各般の対策を講じてまいりたいと考えております。

中川ゆう子の再質問

確かに消費税が増税され、その分は社会保障にあてるとされている。しかし、国予算ではこの6年で社会保障費が3.9兆円削減されたと記憶している。この先2020年度も伸びを抑制する保身だと語られている。消費税の増税によって社会保障が充実するという見方のそのものが違うのではないか。

また、低所得者支援として様々な対策が講じられるということだが、そもそも軽減税率は、8%に据え置きということであって軽減にはならない。消費不況というのは8%の増税時からずっと続いている。さらに、低所得者支援としてのポイントや商品券などは限定的なものであり、短期間で終了するということが国の答弁でも明らかである。低所得者の生活が困らないというのであれば累進課税を確立することが国の税制にとって一番必要であると考える。低所得者の暮らしをどう守るかという観点で、改めて考えを伺う。

知事の再答弁

世代間あるいは世代内で公平性が確保された社会保障制度をどう構築していくかということであるが、当面する重要な課題であるということでございます。その財源として国民全体で幅広く負担する消費税が選択されたと、かつそのすべてを社会保障給付に充てるという使途の明確化もされたと、こういう流れであるというふうに承知しております。

ただ、そういう中でも所得の少ない家計ほど食料品を含めた消費支出の割合が高いということで消費税率も高くなるという、いわゆる逆進性の問題もあるわけでありますので、これに関して法制上の恒久措置として軽減税率が導入されたと理解しております。

一方、臨時的な措置としてのプレミアム商品券などの配慮もされているということでそれぞれの仕組みが混乱を生ずることのないように、あるいは実行性のある形で導入されるように十分注視していきたいということでございます。

自営業者や地域経済への影響について

総務省の調査によると、消費税が8%に増税された4年前にくらべ家計消費は1世帯当たり約25万円も減少しました。 個人消費は、これまでずっと2014年の増税前の水準を上回ったことはありません。

今回の2%の税率引き上げは、1世帯当たり62000円も負担が増えることになり、県民生活に多大な影響があると言わざるをえません。 このように消費が冷え込んでいる上に、消費行動に増税をするというのは、消費を抑制させることに直結するしかありません。それは小売りをはじめ、事業者の経営への悪影響につながります。

日産自動車の志賀俊之氏は11年に開催された経産省の会合で、「最終消費が伸び悩んでいる現状では、企業は国内投資を抑制せざるをえない」「国内消費が落ち込めば 需要を求めて企業が海外進出を強める」といった意見書を提出していることからも、明らかです。

さらに大きな心配は2023年10月から導入されるインボイス制度です。 税務署が指定する書類により納税を行いますが、そのためには登録業者の届け出が必要になります。

現在は年間1000万円以上の売り上げがある事業者に消費税の納税義務が課されますが、インボイス制度が導入されると1000万円以下の事業者でも課税業者になるか、取引から排除されるか、という事になり、全国で500万件とも言われる中小企業は廃業に追い込まれるという指摘もあります。

そのため、日本商工会議所からも、「制度廃止を含め慎重に検討すべき」との厳しい意見書が提出されております。 県内事業者の大部分が中小規模事業者であり、地域経済を支えている存在です。だからこそ、増税とインボイス導入の影響は計り知れないのではないでしょうか。

中川ゆう子の質問

そこで総務部長におききします。消費動向やインボイス導入による事業者への影響など、県民生活や地域経済への影響をどう見ているのでしょうか。

総務部長の答弁

消費税率の引き上げに際しまして、国は、各般の対策を講じていくとしており、消費の反動減対策についても、ただいま知事からご答弁した通り、耐久消費財の購入者への税制・予算措置などを講じると承知しております。

本県においても、消費税率引き上げにかかる県民向け広報、中小企業向けの相談窓口の設置など必要な対応を行ってまいります。

また、ご指摘の軽減税率やインボイス制度につきましては、事業者の負担が増えることから、国は、中小企業に対し、複数税率に対応したレジ導入やシステム改修などに対する支援を行うとともに、軽減税率の適用基準などについて、国税庁のホームページによる情報提供や、コールセンターによる相談対応を行っております。

県としても、県内商工団体などと連携して、国の支援制度などに関する情報提供に努めるとともに、相談窓口で具体的な問い合わせに対応してまいります。

また、価格転嫁に関しましては、増税分を価格に転嫁できない場合には、中小企業などの経営に影響が及ぶことも想定されるため、国において、転嫁対策調査官、いわゆる転嫁Gメンによる取り締まりや監視を強化するとされておりますけれども、こうした点も含めまして、先月も全国知事会を通じ、中小企業等への一層の配慮を要請したところであります。

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