中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

9月議会質問(1)F-35A戦闘機の試験飛行再開について

2019年10月17日 4:11 am
カテゴリ: 活動報告

F-35A戦闘機の試験飛行再開について

8月28日、防衛省は航空自衛隊のステルス戦闘機F-35Aの試験飛行を29日以降、順次、再開すると発表しました。
このF-35をめぐっては、昨年9月にアメリカで発生した海兵隊用のF-35B墜落事故の報告書において「部品の製造上の欠陥」が原因だったとし、報告書ではさらに、800以上の欠陥が十分に解決されていなかったとしています。
そして、本年4月には、航空自衛隊に配備されたF-35A戦闘機が青森県三沢基地訓練空域の太平洋上で墜落事故を起こし、大変痛ましいことに搭乗員1名がお亡くなりになりました。
この事故機は、過去に2回、機体の不具合で緊急着陸していたこともあきらかになっています。さらにこれまで航空自衛隊で配備した13機のうちこの事故機を含め5機が機体のトラブルで計7回緊急着陸を行っています。
アメリカの政府機関の報告書で指摘されている欠陥のうち、飛行の安全性に関わる重大な欠陥とされているのが100件以上あったにも関わらず、その警告を受け止めず飛行を続けた日本政府の責任は重いものがあります。この1機116億円する戦闘機をさらに100機も日本が追加調達するという方針は根本的に見直す必要があると考えます。
今回の飛行再開にあたって防衛省からは、搭乗員が「空間識失調」を起こしたため起きたとの趣旨の中間報告が公表され、その後、機体の再点検や空間識失調対策の徹底など訓練再開に向けて準備をしてきたと発表しました。しかし、そもそも事故機のフライトレコーダーが回収できておらず、機体のトラブルが100%なかったとは言い切れないということです。
試験飛行が行われる県営名古屋空港や岐阜基地は人口密集地の中にあり、パイロットと住民の命がかかった重要な問題であります。
4月の事故直後、岐阜市、各務原市、岐南町、笠松町で作る岐阜基地周辺市町村連絡協議会は、事故原因を正確に把握することと事故防止策の徹底を申し入れるとともに、7月には飛行情報については自治体や住民に十分な説明をすることを求める要望書を提出しています。
県危機管理部によると、8月2日には、防衛省から岐阜県や基地周辺市町(岐阜市、各務原市、岐南町、笠松町)には個別に事前説明があったようですが、要望書にあるように基地周辺に暮らす地域住民に説明はなく、また情報を得ていた県からも、県民や議会にも情報提供がなされていません。
防衛省の姿勢は、基地周辺市町村の思いに誠実に向き合っていないと言えます。
そこで2点知事にお聞きします。

試験飛行再開を受けた知事の所見について

墜落事故について機体のトラブルが100%なかったとは言い切れない状況、さらには、機体そのものに根ざす多くの問題も指摘されている状況で試験飛行再開となったことについて知事はどのように考えているのか。

知事の答弁

若干の経緯を申し上げますと、愛知県内で最終組み立てを行っているF-35A戦闘機の航空自衛隊岐阜基地を経由する試験飛行、これは、平成29年度に再開されております。
本県としては、この試験飛行の開始に先立ちまして、防衛省に対し、安全対策の徹底を申し入れるとともに、岐阜基地周辺市町村連絡協議会を構成する各務原市、岐阜市、岐南町、笠松町に対しても事前に説明をし、理解を得るよう、求めてきたところでございます。
そして本年4月、青森県東方の太平洋上で三沢基地所属機による訓練中の墜落事故が発生したことを受けて、防衛省は、F-35Aの飛行を見合わせ、原因調査を開始いたしました。
本県からは、事故の翌日に防衛省に対しまして、安全対策の徹底と速やかな情報提供を申し入れたところであります。これに対して防衛省からは、6月に2度、本県に対し事故原因や再発防止策などの中間報告あるいは進歩についての説明があり、あわせて、周辺4市町への説明も行われております。
その際に事故原因につきましては、機体の異常を示す交信、脱出が確認されないことから、機体の不具合による可能性は極めて低いこと、また機体の飛行状況と交信の記録から見て操縦者の意識喪失は考えにくいことから、操縦者が平衡感覚を失った状態である「空間識失調」に陥り、急降下に気づかず墜落に至った可能性が高いとの説明を受けております。
また、再発防止として、空間識失調に関する教育及びシミュレーターによる訓練を実施することに加えて、可能性は極めて低いものの機体のエンジン制御、操縦及び電気系統の不具合について念のため全機体の特別点検を行うことについても説明を受けております。
その後、防衛省は、所要の安全対策が完了したとして、8月1日から、まず三沢基地においてF-35Aの飛行を再開いたしました。
その翌日8月2日には、本県に対して、3つの安全対策が整った旨の説明がございました。すなわち「試験飛行パイロットの教育及び訓練を完了したこと」、「エンジン制御、操縦及び電気系統といった項目について、健全性を確認したこと」、さらに「空間識失調に陥りにくい日中・天候の良い日に飛行を限定するとともに、急旋回等の機動を伴う試験項目の実施時には航空自衛隊随伴機により監視すること」の3点の対策でありました。そして、愛知県営名古屋空港を離陸し、岐阜基地を経由し同空港へ戻る試験飛行を8月下旬から再開する計画である旨の説明がありました。
県からは、「再発防止策の徹底による安全確保」と「地元自衛隊への飛行情報の提供の徹底」を改めて強く要請したと声尾でございます。
その後、8月28日に正式に「順次試験飛行を再開する」旨の情報が県及び周辺4市町に提供されました。
そして、9月2日からの試験飛行が再開されたわけでございますが、この再開は以上の経緯に下で判断されたものであるという風に承知をしております。

中川ゆう子の再質問

まず、先ほどの説明についてなんですが、防衛省から訓練と特別点検をしっかりやったと、それは岐阜県も要望された安全対策をしっかりと受け止めてやられたことかと思いますけれども、このF-35をめぐっては、Bでアメリカで、そしてAで日本で実際に人がお亡くなりになってるんです。
一つ重要なことは、こうした特別点検だけでなく、機体そのものに根差す問題、報告書では欠陥というのが指摘されておりますが、政府はその確認もしないまま飛行を再開しております。
安全確保の徹底ということを申し入れるのであれば、ぜひそのアメリカ政府機関が報告書で記した100以上の欠陥、これについても日本政府としてしっかり確認すること、そのことを申し入れていただきたいと思います。そのお考え、知事の所見についてお伺いします。

知事の再答弁

先ほど申し上げましたけれども、今回の事故につきましては、機体の不具合による事故の可能性は極めて低いとしながらも、再発防止策、安全対策の一環として、エンジン制御、操縦及び電気系統の不具合について念のため全機体の特別点検を行って、それらの健全性を確認したと、こういう説明でありましたので、その説明を了としたところでありますが、そもそも平成29年度のこの試験飛行開始以来ですね、折に触れて防衛省の方には安全対策の徹底を申し入れてきているところでありますので、その姿勢を今後とも維持をしていきたいという風に思っております。

基地周辺自治体協議会の「事故防止に関する申し入れ」関連し、県民への情報提供のあり方について

防衛省から事前に連絡を受けていながら県民や議会に情報提供がなかったのはなぜか。また、県として、防衛省が地域住民に対して丁寧な説明を行うように説明会の開催を要請すべきと考えるがいかがか。

知事の答弁

この自衛隊機であるF-35Aの運行のみならず安全対策の徹底、飛行情報の公開などについては、一義的に、防衛省が責任をもって情報提供し、周知を行うべきものであるという風に考えております。
そのような観点から、県としては、防衛省に対して、F-35Aの試験飛行に関し岐阜基地周辺市町村連絡協議会の4市町に十分に説明をし、また情報提供を行い、その理解を得るよう、求めてきたところでございます。
今回の事故に関する原因や再発防止策について、4市町に説明がなされておりますが、その際、同連絡協議会からは防衛省に対し、「地域住民への可能な限りの情報提供と十分な説明」を要請されたという風に承知しております。
県としては、防衛省は、同連絡協議会の総意としてのこうした要請にしっかりと答えていくべきものと考えております

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