中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

3月議会(3)関ケ原古戦場のビジターセンター建設計画

2017年3月17日 3:16 am
カテゴリ: 活動報告

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関ケ原古戦場は、その整備と活用の指針となるグランドデザインが平成27年3月に策定され、史跡等の案内板やサイン整備、古戦場への観光客受け入れ環境整備が推進されています。歴史上2度も戦いの地となった関ケ原で、県民が本物の史跡に学ぶことは重要であると思いますし、何より、本物の史跡を身近にできることはワクワクするものであります。岐阜県がこれを観光資源に観光産業の基幹産業化へ取り組むこと自体は、否定するものではありません。しかし、大規模なハコモノ中心の取り組みにはすべきでないと考えます。

そこで、ビジターセンターの建設について、これまでの経緯を踏まえお聞きします。ビジターセンターは、関ケ原町の歴史民俗資料館を増床し、古戦場を一望できる展望機能をともなった施設となる予定です。現在は約20億円の事業費が見込まれる基本計画に基づいて設計に取り組まれているものだと認識していました。しかし、敷地南側の関ケ原町老人福祉センターを取り壊し、その部分まで敷地を拡大することを前提に計画の変更中であることが、当局の方とのヒアリングで明らかになりました。

敷地は倍となり、まだ具体的な数字は分かりませんが、敷地面積から単純に計算すると総事業費は40~50億円にのぼるのではないかとのことです。地元の関ケ原町議が行政側から入手した資料によると、歴史民俗資料館の北側空き地を建設予定地にしていた平成26年度前後に、建物と展示合わせて当初は6億6000万円の事業費が見積もられていたようです。仮に事業費が4、50億円になるとすると、この数年で建物の規模、事業費がまったく異なってきているという事になります。

敷地拡大の必要性について、計画変更の前に議論すべきです。まず、この場所に、ここまで大規模な建物がふさわしいのかという問題があります。そもそも関ケ原古戦場グランドデザインではできる限り合戦当時の眺望に近付ける眺望の確保や、景観の復元を具体的事業として挙げています。ビジターセンターすぐ近くの徳川家康最後の陣地では、史跡景観にふさわしくない建物や設備を撤去するほど徹底しています。眺望施設であるビジターセンターが、合戦当時のこの場所の雰囲気とかけ離れた大規模なものになってしまっては、せっかくの景観を損なうことになりかねません。

そもそもこのビジターセンターの敷地拡大の発端は、敷地が足りないという課題からスタートしたわけでなく、関ケ原町から老朽化した老人福祉センターを閉鎖するとの申し出がきっかけであったとのことです。だからといって、敷地が広くなった分建物を大きくすることよりも、この場に何がふさわしいのかという議論が必要だと考えます。老人福祉センターの取り壊しにともなって、高齢者用のお風呂施設が廃止になる見通しも明らかになりました。以前は無料でしたが、現在は週三回の開設、1回200円の利用料で年間1700人の方が利用されている施設です。地元の方は、お風呂に入るだけでなく、お風呂を上がってから近所の方と休憩所で話し込むのも楽しみだそうで、地元の住民のみなさんからは存続を要望する声が上がっています。

地元住民が日常的に利用でき出入りする施設こそ、観光地としても成功します。このビジターセンターの計画が、地元高齢者の日々のお風呂の楽しみを奪った上で作られるもので良いのか、疑問を感じます。

(1) ビジターセンターを拡大するという計画変更の中止について

中川ゆう子の質問

関ヶ原の観光施策が全体として大型なハコモノ中心の計画になりつつあります。歴史的魅力を感じられるのは、大型施設ではなく本物の史跡です。大切なのは、県民や町民がこの地の歴史とどう向き合うかという視点や、歴史を学んで後世に伝えていく人材の育成ではないでしょうか。

今述べたように、ビジターセンターの敷地拡大を前提とした計画変更には必要性が感じられません。この計画変更は中止すべきでないでしょうか。

観光国際局長の答弁

関ケ原古戦場グランドデザインを踏まえ、一旦は去年3月に、本県及び関ヶ原町で「関ヶ原古戦場ビジターセンター(仮称)基本構成・基本計画」を策定いたしました。そうした中、関ヶ原から、ビジターセンター建設予定地の南に隣接する町老人福祉センターの跡地について、ビジターセンターと一体的に活用してほしいとの要望がありました。これにより、活用できるスペースが倍以上になるなど、計画の前提が大きく変わるため、現在関ヶ原町と連携をとりながら、抜本的な見直しを進めているところでございます。

見直しにあたっては、一般の有識者に加え、町の観光協会や商工会の代表の方、地元の有識者からなる「グランドデザイン・フォローアップ懇談会 ビジターセンター検討分科会」や、地元ボランティア団体の皆様からもご意見伺っております。その中で、展示・教育機能の拡充はもちろん、ボランティア活動の場の拡充、ショップやカフェといった憩いの場の充実など、多様なご意見をいただいております。

こられも参考にしつつ、ビジターセンターにどのような機能を付与するのか、また、関ヶ原らしい、ダイナミックな感動を与えるような施設のあり方など、様々な角度から、現在、見直しを行っているところです。

(2) 議会や県民の合意に基づいた計画変更や事業費の増額について

中川ゆう子の質問

議会や県民の合意なしに計画の変更が進められ事業規模が大きくなっています。建物が大きくなれば当然この先の維持管理費の負担は大きくなりますが、その議論をする材料や情報すらありません。

これまでに計画の変更が検討されていることの説明はありませんでした。本来は将来の維持管理費まで明らかにすべきです。最初に示た事業計画には重みがなく、後から簡単に事業規模が拡大されていくことに疑問を感じます。部署は違いますが、かかみがはら航空宇宙科学博物館のリニューアル、森の恵みのおもちゃ美術館の計画変更も同様でした。県民や議会の意思からかけはなれた事業の進め方は改めるべきだと思います。計画変更や事業費の増額をする場合は、議会や県民の合意に基づいて行うべきではないでしょうか。

観光国際局長の答弁

議会や県民への説明につきましては、新たな基本計画について、今後ある程度の見直しの方向性が見えてきたとことで、速やかに、会議、地域住民の皆様、グランドデザイン・フォローアップ懇談会などに説明し、ご意見を伺い、しのうえで、基本計画案をまとめ、本年の5月の議会又は6月議会でご説明をし、そこでさらに意見をいただいた後に、基本計画を決定したいと考えております。そして、9月議会を目途に、必要な事業予算を審議いただきたいと考えております。

中川ゆう子の再質問

ビジターセンター建設について、計画の前提が変わったことにより、計画の前提が変わったことにより、計画を変更するのであれば、変更案作成の着手前に、その必要性や費用、見通しなど、県民や機会に明らかにすべき。もう一度、進め方についてうかがいます。

観光国際局長の再答弁

計画につきましては、去年の関ケ原町からの老人福祉センターの跡地を活用してほしいとの要望があったその後、抜本的な基本計画の見直しが必要になるため、新たな基本計画について鋭意作業を進め、概要が見えてきた時点で議会の皆様にお示しして、意見をいただくのがいいのではないかと考えておりました。

本プロジェクトは、重要な大型プロジェクトであり、もう少し早い段階で検討経過などを皆様にお知らせするやり方もあったのではないか、と思っておりますが、プロジェクトは、皆様の意見を十分反映できる段階であり、今後、県議会をはじめ関係の皆様のご意見を伺い、事業を進めて参りたいと考えております。

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