2016年10月13日 1:30 am
カテゴリ: 活動報告
相模原の事件を受け、どう差別思想をなくしていくのか
神奈川県相模原市の障がい者施設における殺傷事件から2か月あまりになります。犠牲となられた方々、ご家族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。この事件をめぐっては、犯行を行った元職員が重度障がい者の殺害を正当化する発言もあり、事件の根深さ、異常さを感じずにはいられません。
県はこの事件を受け、県内施設の点検や防犯対策の強化のための予算措置にさっそく動きました。防犯体制の強化自体を否定するものではありませんが、金銭などを狙う強盗や不特定多数を狙った無差別殺人ではなく、「重度の障がい者を意識的に狙った異常な差別意識のもとでの犯行」という特殊性から考えると、塀を高くする、催涙スプレーを配備するといったハードだけでなく、ソフトも含めた両面の対応が必要と考えます。
そこで今回は、ソフト面の対応について質問いたします。ある人々に対し、「価値がない」「劣っている」と厄介者扱いし、排除、隔離、殺害、抹殺すべきとすることが、社会全体にとって良い事だという考え方が、優生思想です。この事件をめぐって衝撃を受けたのは、程度の差はありますがこのような思想が少なからず社会の中に広がっているという事です。
歴史的に、この優生思想を大量虐殺という形で暴力的に進めたのは、ナチス・ドイツであり、先ほどもご紹介のありました杉原千畝の「命のビザ」とも関わりのあるユダヤ人の大量虐殺が知られていますが、その以前は大勢の障がい者たちを安楽死させたことも記憶に留めておきたいと思います。現代社会特有の問題と片づけられない根深さがありますが、だからこそ、共に良い社会を作っていく努力をたゆまずにつづけていく必要があると感じます。
自己責任や効率化が過剰に求められ、社会の役に立つかどうかで人の存在価値を図るような思想のもとでは、障がい者だけでなく、高齢者など社会的弱者はどんどん排除され、それが社会にとって良いことだとされていく危険があります。多様な一人ひとりを切り捨てる考え方であり、このような社会は発展しません。福祉の増進を図る地方自治体として、この障がい者福祉を否定する思想に真っ向から対峙する必要があります。
障がい者への差別や偏見をなくすための県の取り組みについて
中川ゆう子の質問
先に述べたように、この問題はハードとソフト面、両面から取り組む必要がある。防犯体制の強化を進めていますが、今回のような事件の場合、防犯体制の強化には限界があります。障害の有無で生きる価値を図るような、いわゆる優生思想は少なからず広がっていると感じますが、県としてこういった現状を社会全般に見られる動きとして重くとらえ、障がい者を排除する社会そのものを変える動きをどう創り出すかが問われています。障がい者への差別や偏見をなくすため、県としてどのように取り組まれるでしょうか。健康福祉部長の答弁
今回の事件について議論頂いた岐阜県障害者施策推進協議会や県民会議においても、「単に施設の防犯対策だけでなく、障がい者は価値が無いといったような考え方を社会から根絶する仕組みが不可欠」との意見や「障がい者とのつながりをもっと築くことが重要」といった意見が多数出されたところであり、県としても同様の認識をしております。こうした差別意識を解消し、共生社会を実現していくためには、障がい者への理解を深める啓発や、誤解や偏見を無くす教育の充実に取り組むとともに、特に障がいのある人とない人がふれあう体験を通じて、互いの理解を促す取組が重要であると考えております。このため、障がいの有無にかかわらず誰もが参加できる「長良川ふれあいマラソン」や障がい者の芸術作品を展示し多くの県民にご覧頂いている「ふれあい福祉フェア」など、今後も障がいのある人もない人も共に参加し交流できる機会を充実して参りたいと思っております。