2022年10月3日 10:00 pm
カテゴリ: 活動報告
精神障がい者の就労の継続に向けた支援の充実について
障がい者の就労が進んでいる中で、精神障がい者の就職や定着率が低い事が課題となっています。その要因には、職場での障がいの特性への不理解という指摘があります。
改正障害者雇用促進法では事業主による合理的配慮の提供が義務付けられました。しかし、目に見えづらい精神障害の場合、合理的配慮はどういったものなのか正確な理解が重要な鍵となります。
県内在住の高次脳機能障害がある40代の方が勤務していた特例子会社で受けたパワハラを訴えた裁判の判決が8月、岐阜地裁で出されました。
判決は、原告側の敗訴です。障がいの特性によってできない事を上司はやるように求める言動を取ったが、命令ではなく提案だったとし、医師の意見書や支援員の助言があるにもかかわらず、配慮義務違反にあたらないと判断されました。
この判決にふれ、目に見えづらい障がいゆえ、精神障がい者がおかれる困難な労働環境を目の当たりにしました。特に、合理的配慮の内容が健常者にとっては何でも無いように思える事であっても、当事者にとっては危険行為にあたる場合もあり、職場の理解不足によって取り返しのつかないことも起こりえるのです。
合理的配慮義務違反かどうかの判断は裁判所の役割でありここでは議論しません。むしろこの裁判は一例に過ぎず、ほかにもっと多くの声なき声があると感じています。
行政の役割は、適切な合理的配慮を職場が行うことで障がい者が職場環境によって体調が悪化し働けなくなることを防ぎ、雇用が継続できるような支援を構築していくことです。その観点から質問します。
県では令和2年度、障がい者の総合的な就労支援機関として、岐阜県障がい者総合就労支援センターを開設しました。課題となっている精神障がい者の就労継続支援については、最初に申し上げたように、職場が正確に障がいの特性を理解し合理的配慮ができるかが大きなカギです。そのために専門的立場から本人をサポートするだけでなく、企業への定期的で丁寧な働きかけが必要です。
また、職場での指導記録は義務ではないため、職場で合理的配慮がされているのかどうか客観的な判断が難しいこともあるようです。企業への適切なアドバイスを可能にするため、指導記録を策定することも具体的に求めていく必要があるのではないかと感じています。
そこで商工労働部長にお聞きします。精神障がい者の就労の継続に向けた支援について、現状の課題をどのように受け止めているでしょうか。また、支援をいっそう充実すべきと考えますが、今後の取り組みをお聞きします。
<答弁商工労働部長>
精神障がい者の就労継続に向けては、人によって大きく異なる精神障がいの状況に 即した仕事内容や職場環境を整えられるかが課題であり、その実現に向けた支援が重 要であると考えております。そのため、県内6箇所の「障害者就業•生活支援センター」において、県独自に「精神障がい者就労支援ワーカー」を配置し、増加している精神障がい者や企業からの相 談に対応しております。
さらに、今年度からは、県の「障がい者総合就労支援センター」に新たに「基幹支援ワーカー」を配置し、これまでの相談事例を分析整理の上、各地域の支援ワーカーと情 報共有できる仕組みを構築することで、各支援ワーカーが精神障がい者の就労継続に成功している事例を活用した具体的なアドバイスができるよう体制を強化したところで す。
今後も、支援ワーカーの専門的な対応力を向上させるとともに、指導記録についても、 既に作成している企業の取組事例等を様々な機会を捉えて紹介するなど、引き続き精神 障がい者と企業の双方に寄り添い、就労の拡大•継続に向けた取組みを進めてまいります。
<再質問:中川>
様々な対応については了解をいたしましたし、ぜひ充実させていただきたいという ことと、もう一つ、普段の対策の中で、私重要だと思うのは、市町村、それからハローワークなどの連携だと思います。様々な相談を受けておりますけれども、お話をさ れると、勇気を出してまず市役所に行った、ハローワークに行った、それでたらい回 しにされてしまった。
やはり一番身近な市町の窓口とか、ハローワークで、この総合就労支援センターであったり、県の支援を周知していくというのは、必ず必要だと 思います。
少しでも、障がい者の皆さんに届くような、そういう連携を取っていただ きたいと思いますので、再度質問させていただきます。
<答弁商工労働部長>
精神障がい者の就労支援継続に向けては、より多くの機関、とりわけ、市町村が関わっていただくことが重要だと考えております。そのため、県でとっております体制 であるとか、相談事例の分析、整理したものにつきまして、市町村と情報共有する機 会を作ってまいりたいと考えております。