中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

6月議会(1)雇用問題

2015年7月3日 5:45 am
カテゴリ: 議会質問

若い世代を取り巻く就労問題への取り組みと雇用支援について

代表質問3mini

中川質問1回目

企業が派遣労働者を受け入れることができる「原則1年最長3年」の期間制限を撤廃する労働者派遣法案が衆議院を通過しました。この法案が成立すれば、業務ごとの期間制限が無くなり組合に説明するだけで派遣社員の受け入れを継続させることができます。そもそも派遣労働は「臨時的」「一時的」、「正社員が行っている恒常的業務を派遣社員に置き換えないこと」が原則であり、現制度では、期限以上働きづづけてもらうためには企業が直接雇用を申し出ることとなっております。今までは制度上は、正社員化の道が開かれていましたが、こうした道は閉ざされます。全国的にも岐阜県内でもこうした派遣社員も含んだ非正規雇用は年々増加しており、現在では全労働者の4割近く、とくに若い世代や女性では半数にまで達しています。たとえ派遣会社で無期雇用されていても、派遣労働の賃金は有期雇用労働者と同水準、派遣先が見つからなければ解雇されるという不安と常に隣り合わせです。低賃金と不安定な雇用状況は、なによりも将来への希望、人生の見通しがたちません。問題は、こうした非正規雇用の中で、正社員雇用を望みながら正社員になれない労働者が増えているということです。いわゆる不本意非正規は、25歳から34歳で多く全国で80万人。全年代では331万人にものぼることが、厚労省の調査で明らかになっています。こうした不安定な雇用が増えることは、一個人の問題だけでなく、社会全体にとっても深刻です。労働者全体の賃金水準を押し下げることになり、消費を冷やし、地域経済への影響は大きくなります。この先、社会の中心的役割を担っていく若い世代の生活が不安定では、※全体の問題としてとらえる必要があると感じます。

一方、正社員も劣悪な労働環境が社会問題になっています。岐阜労働局の報告によると、寄せられた相談件数が増加しパワハラなど解決が難しい相談が急増しています。せっかく正社員として就職できても心や体を壊してしまい辞めざるをえない、社会復帰すら難しい状況に陥ってしまう、という社会全体で解決していかなくてはならない問題が多数出されております。内閣府がまとめたひきこもりの実態調査では、ひきこもりになったきっかけとして最も多いのが「職場になじめなかった」で全体の1/4、「就職活動がうまくいかなかった」も2割を占めており、職場の劣悪な環境や正社員雇用の減少が、いち人間をとことん追い詰めてしまっていることが、この報告書からも読み取れます。本来、若者を始め働く人間を、過酷な労働においたてモノのように「使い潰す」働かせ方や、ワーキングプアを生み出すような雇用はあってはなりません。不安定雇用を増やす法改正ではなく、法によって規制するべきであり、また地方自治体は安心して働ける職場をどう増やしていくか、独自の取り組みをすすめるべきと考えます。

【商工労働部長】に【3】点質問

(1)不安定雇用の増加や法令違反の企業(いわゆるブラック企業)など、現在の若者をとりまく雇用の実態は深刻だと私自身は捉えているが、部長の考えと、県としての対策について。

(2)県内への移住、定住を促進するための要(かなめ)は働く場、安定した正社員雇用の場をいかに増やすかだと考える。他自治体では、独自に実態調査を行った事例もある。岐阜県でもいわゆるブラック企業などの実態調査が必要と思うが、いかがか。

(3)働きたいけど働けないという若者への支援、若者サポートステーションについて。コミュニケーションの練習や、グループワークなど、ハローワークに足を踏み出せない状況の若者の背中を押す支援が実施され、全国ではサポートステーション数も進路決定者数も増加している。しかし岐阜県には、JR岐阜駅のアクティブGの一か所のみで、県内中の若者が日常的に利用するには地理的に困難。高山や可児市などではサテライトで対応されていますが、曜日による開設のためどうしても限定的なものになってしまう。全国的には複数設置されている都道府県がほとんど。岐阜県での複数化など対応について。

【教育長】に【1】点質問。

(4)非正規雇用の拡大で、正社員が行っていた仕事をアルバイトの学生に肩代わりさせるなど、いわゆるブラックバイトとよばれる労働環境が、学生にも容赦なく広がっている。売上ノルマを課せられ、達成できなかった分はバイト代で買い取らせられた。「学校行事がある日にどうしてもシフトを入れないとクビだと暗に言われ断れなかった」「休憩時間は店番をやらされている」などの相談を受け感じるのは、学生が労働者の権利や何が法令違反なのかの知識不足や、相談先がないなどの問題点。子どもの6人に1人が貧困状態にあるという調査が示しているように、アルバイトが家計を支えるものになっている場合、バイトであっても簡単にやめる事はできず、そういった学生ほど被害に耐えている。社会に出る前に、労働者の権利、相談できる場など、最近増えている法令違反などを分かりやすく伝え生徒と語る場が必要だと思うが、いかがか。

答弁1回目

(1)~(3)【答弁者】商工労働部長

岐阜労働局によると、県内の大学を今年3月に卒業した学生の就職率は96.1%となっており、4年連続で上昇になるなど総じて回復基調にあると捉えている。一方、同年代である20歳から24歳の非正規雇用の割合は、平成24年就業構造基本調査によると35.4%。県では、県総合人材チャレンジセンターにおいて多くの非正規雇用求人情報を積極的に提供するとともに、正規雇用率が高い製造業など、重点的に企業誘致を図るなど、正規雇用の拡大を図っている。いわゆる「ブラック企業」については、労働基準監督署の昨年の調査などに基づき、適切に対処されているものと理解している。

いわゆる「ブラック企業」に対する調査については、労働基準監督署が実施している。厚生労働省では、昨年11月の全国一斉の企業等の集中調査、さらに今年5月の、違法な長時間労働を繰り返す企業への是正勧告の段階で公表するとの方針の提示など、法律上の権限を基に様々な施策を展開されている。法律上の指導監督権限の一環として行われることが、より効果的であると考える。

若者サポートステーションについては、ステーションが設置されていない岐阜市以外の地域に対しては、要望の多い地域において出張相談を実施している。具体的には、現在高山市で週4日、可児市、郡上市では週1日、大垣市、多治見市、下呂市、飛騨市では月1日から2日と、計7市に対し、相談員を派遣している。現時点では、他の地域での具体的な要望がなく、現在の体制で十分と理解している。

(4)【答弁者】教育長

高等学校では、「現代社会」や「政治・経済」の授業において、労働者に関する法律や権利を学ぶとともに、キャリア教育の一環としてインターンシップなどの実体験を通じて、勤労観、職業観の育成を図っている。また、ホームルーム活動の時間に、労働雇用課が作成したパンフレットなどを活用し、労働者の権利や職場で困ったときの相談機関について、理解を深める活動をしている。今後も引き続き、生徒一人一人が社会で働く際に必要となる知識を身に付けられるよう、努める。

中川質問2回目

(3)若者サポートステーションについて

若者サポートステーション利用者数、来所者数というのは、年間で述べ5,300人。うち、アクティブGでは4,500人、要するに来所者数の8割以上が、このアクティブGで利用されている。全県7カ所に相談員を派遣していても、常時利用できるということではなく、全体の1割強しか派遣された相談員のところに相談が無いということ。利用者を増やすポイントとして、サポートステーションを増設することが一番必要と思うが、いかがか。

(4)これから社会に出る世代に対する学校における支援や情報提供について

労働雇用課の配布しているパンフレットは内容が難しいなど高校生に十分な啓発ができていないように思う。厚生労働省が4年制大学に配布しているパンフレットがわかりやすい。高校にはまだ配布されていない。このような資料も活用していくべきと思うが、いかがか。

答弁2回目

(3)【答弁者】商工労働部長

若者サポートステーションについては、利用者ニーズ、要望を踏まえ実施・充実を図っている。出張相談開催場所のうち、多治見市、飛騨市、下呂市については平成27年度から新たに実施した。さらなる充実を求める利用者の声が、現時点ではないため、現在の体制で対応していく。

(4)【答弁者】教育長

国が大学生向けに出されているパンフレットを高校でも活用できるかどうか、労働雇用課とも協議しながら、必要であれば、国に要望していきたい。

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