中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

6月議会質問⁽1⁾就職氷河期世代への支援とあり方について

2019年7月5日 5:00 am
カテゴリ: 活動報告

就職氷河期世代への支援とあり方について

就職氷河期とは、バブル崩壊後の1990年代初めから、2000年代初めごろに就職活動を行った世代であり、現在は30代後半から40代後半の世代が該当します。長引く不況による企業の採用抑制と派遣労働の規制緩和による正規雇用から非正規雇用への置き換えが広がった時代であり、文科省によると、2000年前後の大卒の就職率は50%代にまで低下しました。
本来なら、働き盛りの年代ですが、非正規雇用や無業状況など不安定雇用状況が比較的多いなど様々な課題に直面しています。
現在、売り手市場と言われる中でも、長く不安定雇用と低賃金で働いてきた就職氷河期世代においては、正規雇用への道は険しいのが現実です。
政府は、アベノミクスの成果として、完全失業率が25年ぶりの低水準、有効求人倍率は45年ぶりの高水準だという高い指標を宣伝していますが、その内訳をみると、非正規雇用が増大しており、その7割以上が年収200万円以下の低所得者であるという点は見逃せない問題です。

さらに、これまで、政治がこうした問題に目を向けず、長年放置されてきたことが問題の深刻化を招いています。

政府は、先の経済財政諮問会議で、こうした就職氷河期世代の支援を本格化する集中プログラムを打ち出しました。

対象は、正規雇用を希望しながら不本意に非正規雇用で働く労働者50万人と、就業を希望しながら様々な事情により求職活動をしていない無職の方など、100万人。そして正規雇用については30万人増やすことを目指す。としています。

しかし、この提案に対し、「深刻化している人材不足に対処するために、人材・労働供給源とする意図が透けて見える。問題を解決する支援とはいいがたい。」との指摘や、当事者からも実態を全く分かっていないと批判の声が出ています。

そもそも、この問題の根本は、企業の要請に応え派遣労働や非正規雇用を広げ、雇用の調整弁として労働者を使ってきたことにあります。

まず、前提として、規制緩和など政治的な背景のある就職氷河期世代を生んでしまったことに対し反省し、再びこのような世代を産み出さないために、安定した雇用環境を整えること。
そして、企業への就労メニューなど画一的な支援策ではなく、なかなか社会とつながりが持てない方や在宅でも可能な就労など、将来の見通しを持てるようひとりひとりに寄り添った支援が必要なのでは無いかと私は思います。

国の方針は3年間で集中的に取り組むとのことですが、これまで長いと20年近く、安定した職に就くために何度も何度も挑戦をし続け、将来への不安を抱えながら働いてきた実情を考えると、貧困やひきこもりなどの問題と切り離せないのが現実です。

昨年12月定例会では、「来年2020年度に策定を迎える、「岐阜県職業能力開発計画」において職業訓練の在り方と検討する」とお答えいただいています。短期間の取り組みではなく、県においてはどうか息の長い取り組みを検討していただきたいと強く要望します。

今後、国においてはさらに具体的な施策が見えてくると思いますが、以上の点をふまえお聞きします。

国に対する要望について

中川ゆう子の質問

申し上げたように、国における30万人正社員化の議論の中では政治的な責任が問われていません。が、問題の根本は、労働者を労働力の調整弁のように扱ってきたことです。
就職氷河期世代への支援の検討にあたってこうした根本的な部分が議論されないままでは問題解決の糸口は見いだせませんし、今後も同様の問題を繰り返すことになります。国に対し、就職氷河期世代の就職支援を検討するにあたっては、こうした視点を持つべきと求めていくべきではないでしょうか。

知事の答弁

いわゆる就職氷河期世代といわれる、現在30代半ばあるいは後半から40代半ばないし後半の方々は、いわば社会の担い手の今や中枢となるべき世代でございます。
しかしながら、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行い、その後もリーマンショックなどの影響を受ける中で、現在まで不本意ながらも不安定な仕事についている、あるいは無業の状態にあるなどの大変厳しい状況にある方々が少なくないわけであります。

このため、これまで十分にキャリアを形成する機会が少なく、採用する側の企業から十分に評価がなされないという悪循環に陥っている面がございます。

一方、統計データから見ますと、平成30年の総務省の労働力調査において、この世代に近い35歳から44歳までの完全失業者数は、10年前の約72万人から約33万人と約39万人減少しております。
また、完全失業率も10年前の5.2%から全世帯トータルと同程度の2.2%へと改善しています。
また、本県を見ましても、直近のデータがある平成27年の国勢調査でみてみますと、35歳から44歳の完全失業者数は、10年前の平成17年と比較して1万4千人から8千人へと約6千人減少しております。
また、完全失業率も10年前の0.5%から2.8%へと改善してきているというデータがございます。

しかしながら、これらの方々は、就職活動時期の大変厳しい経験などから、系統データでは現れないような社会との距離感、就労への不安感など、様々な悩みを抱えている方々が大変多いと考えております。
このため、行政としましても、それぞれ個々の状況に寄り添い、きめ細やかに、かつ持続的に息長く支援していくことが必要であると思っております。

これまで県においては、必ずしも就職氷河期世代という風に限定するわけではありませんが、平成16年度に総合人材チャレンジセンターを開設しまして、個別のキャリアカウンセリング、正社員に向けたキャリアプランなどを紹介するセミナー、途中採用に積極的な企業を紹介する説明会などに取り組んできております。これにより、例えば昨年度を申し上げますと、35歳から44歳までのこの総合人材チャレンジセンター利用者のうち226名の方が就職に至っているということでございます。

加えて、平成20年度には、若者サポートステーションを開設し、働くことに悩みを抱える39歳までの若者に対して、一人一人に寄り添ったキャリアプランの支援のほか、メンタルカウンセリングなどにも取り組んでおります。昨年度はこの世代の方々に対して46件のプランを策定いたしております。

こうした中で、ご指摘にもありましたように、先日の経済財政諮問会議で示された国の「経済財政運営と改革の基本方針2019」の原案、おそらく今夕、閣議決定になると思いますが、その内容を見ますと、就職氷河期世代の活躍に向けた3年間の集中プログラムを取りまとめることが盛り込んでおられますけど、その中で、個々人の状況に合わせたより丁寧な寄り添い支援が施策の方向性として掲げられております。

また、これに先んじて厚生労働省が公表しました「就職氷河期世代活躍支援プラン」でも個別多様な個々の状況に応じたきめ細やかな支援事業を展開していくというふうにされておるところでございます。

今後、国が具体的な施策内容を詰めていく中で、このような基本方針が貫かれているかどうか、また、今後息長い取り組みに向けてのしっかりとしたスタートになっていくのかどうかを十分にフォローし、必要に応じて、国に対しても意見を申し上げてまいりたいと考えております。

中川ゆう子の再質問

集中プログラムで一人一人に寄り添った内容になっているかしっかり意見を言っていくということでそれはぜひお願いしたい。

加えて、この背景にあるのは今の雇用状況、雇用の実態にあると思う。例えば非正規雇用が増えた、無期転換前の雇い止め、こうした簡単に雇い止めができる雇用形態が当たり前のように広がっていること、調整弁として労働力が使われてしまったということで不安定雇用が増えている。これがこうした事態を生み正してしまっている、そういった認識はあるのか。また、それに対しても国に意見を言ってほしい。

知事の再答弁

先ほどの答弁で申しあげましたけども、就職氷河期の問題であれ、引きこもり支援の問題であれ、一方で一人一人の事情、状況に丁寧に寄り添うという側面と、その背後に社会問題があるという認識をもって双方向を睨みながらやっていく必要があると思っております。

その点については、いろんな機会があることに県政としてもしっかり見据えていきたいと思いますが、特に国との関係でいいますと、ちょうど岐阜県は先んじて第2弾の「創生総合戦略」を発表して今年が初年度になったわけですが、岐阜県の場合は、「まち、ひと、しごと」という順番について、まずは「ひと」ではないかということでいろんなことを申し上げておりますし、かなりそのところは有識者会合では浸透してきているのではないかと、何となく、まず、「まち」の魅力があれば「ひと」もそこに留まる、「しごと」もやってくるという、もちろんいい循環を作ろうというきらいがあるんですが、私は、まずは「ひと」だということを強く申し上げているところでございます。

就職氷河期世代の就業実態や課題の把握について

中川ゆう子の質問

国が就職氷河期世代の就職支援の方向性を打ち出しました。まずは、県内の就職氷河期世代の就業実態や課題を正確に把握すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか

商工労働部長の答弁

県では、総合人材チャレンジセンターや若者サポートステーションなどにおいて、就職氷河期世代の方々が個別多様に抱えておられるニーズや課題に応じ、きめ細やかな支援を実施しております。

こうした中で、国では「経済財政運営と改革の基本方針2019」の原案において、「就職氷河期世代への支援に向けた3年間の集中プログラムの期間中に、各都道府県等で、支援対象者が存在する基礎自治体の協力を得て、対象者の実態やニーズを明らかにし、その結果に基づき必要な人に支援が届く体制の構築を目指す」ことが盛り込まれました。

県としましても、今後の、国の集中プログラムの検討内容を踏まえ、関係機関と連携し、就職氷河期世代の就業実態や課題の把握に努めてまいりたいと考えております。

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