2015年7月3日 2:59 am
カテゴリ: 議会質問
安保関連法案と戦後70年の節目にあたっての取り組みについて
中川質問
(1)集団的自衛権行使の地方自治体における影響について国会で審議中の安保関連法案について、地方自治体とのかかわりを中心にお聞きしたいと思います。法案審議においてはさまざまな問題が指摘されていることころですが、最も大きな問題は、これまで日本が認めていた個別的自衛権でなく、集団的自衛権容認の法制化となる点です。日本が攻撃を受けていなくても、アメリカの武力攻撃を後方支援、軍事支援できるようになる、自衛隊の専守防衛を否定する事になり、衆議院の憲法審査会でも与野党が推薦した憲法学者3名とも「憲法違反」と表明されています。これまで政府が「戦闘地域」としていた場所まで派遣が可能になり、そこで弾薬の提供や武器の輸送を行うということですので、相手からすれば、武器・弾薬の補給を絶つためにも、日本の自衛隊は真っ先に攻撃の対象となる可能性があります。県内には航空自衛隊の基地があり、自衛隊員やそのご家族も多く暮らしておられますが、今回の法案は、こうした県民の命に関わる重大な問題だと私は捉えております。2点目に申し上げたいのは、地方自治体との関係です。衆議院国土交通委員会では、集団的自衛権の行使にあたっては、「地方公共団体の協力が得られる場合には、これらの協力を適切に得つつ対応していくべき」「そういう場面がありうる」との答弁がされております。もともと、周辺事態法で自治体の協力について第9条「自治体の有する権限や施設利用」が明記されておりますが、問題は今回の改定で、日本が攻撃を受けていない場合でも、アメリカが武力攻撃を行えば、国は地方自治体に協力を求めてくることになり、県政や県民にとって大きく関係する法案と言えます。地方自治体は、住民のいのちと暮らしを守ることが究極の使命です。だからこそ、こうした国の動きに対し、多くの地方議会や、地方自治体の長などから厳しい意見が出されています。東北地方の六県市町村長は連名で「市町村民のいのちと暮らしを脅かす最大のものは戦争です。市町村民が戦火に巻き込まれ、戦争に駆り立てられることがないように」と国の動きに反対する緊急声明を出しました。そして、全国の都道府県知事・市町村長の現職の皆さん、元職の皆さんが幅広く参加されることを心から訴えます、と呼び掛けておられます。全国市長会では、宝塚市長が「市長の最大の責任は市民の命をまもること。」ち、国に対し慎重な審議と、各自治体の長の意見を聞くように政府に申し入れるべきだと提案したことが、報道されました。
【知事】に【1点】質問
国会審議の中で明確に地方自治体の協力について発言があり、国の法案ではありますが地方自治体として無関係ではない。また、イラク戦争当時の内閣官房副長官補(ほ)は「間違いなく戦死者が出る」とインタビューで答えており、専守防衛であった自衛隊員の任務は大きく変わり危険性が高まり、同時に県内の基地が攻撃対象となる危険も高まる。自衛隊員やそのご家族、また県民にとっても、非常に重い問題だと思われるが、県知事としてどのようにお考えか。
(2)戦後70年の節目にあたっての所見について
つづいて、戦後70年の節目にあたって、知事の所見をお伺いします。先の戦争から70年が経ち、同居家族のだれも戦争を知らないという家庭が増え、若い世代にとって戦争体験に触れる機会は貴重なものとなってきています。社会や政治の中心的役割を担う世代への継承は、非常に重要な課題です。県内の市町村では、戦後70年のふしめにあたって、いくつかの企画が行われる予定と聞いております。岐阜市では、市が主催し、被ばくされた方と語る会が開かれます。戦争体験者の方々の高齢化も進み、あの時代がどういう時代であったか、戦争がその人の人生にもたらしたものは何かを直(じか)に聞くことができるのは、非常に得難い機会であると私自身も感じるところです。実際体験していないからこそ、今まで以上に真剣に向き合う必要があり、戦争体験を次の世代に語り継ぐことが、今の私たちの世代にとって大きな課題であると考えます。
【知事】に【1点】質問
戦後70年の節目の年は、こうした課題に直面した年ともいえると感じているが、知事の所見について。
答弁
(1)~(2)【答弁者】知事集団的自衛権及び安保関連法案をめぐる議論は国の行方、国民の安全・安心の根幹に関わる問題。国民的議論を尽くすことが不可欠で、動向を注視している。しかし、直近の世論調査でも政府の説明や国会議論が十分でなく、国民への理解が浸透しているとは言い難いという意見が多いように思う。国民に分かりやすい議論を徹底し、理解を得るための最大限の努力をして頂きたい。
戦後70年が経過し、戦後生まれの方々は昨年10月の統計で初めて総人口の8割を超えた。戦争を体験し、戦後復興を支えてきた世代の更なる減少は避けられない。我々は戦争の悲惨さを風化させる事なく、多くの方々が犠牲になったこと、平和の尊さやありがたさを決して忘れてはならない。そしてこれを次の世代へ、また更に次の世代へと語り継いでいかなければならない。そのため、県では毎年10月に戦没者追悼式、11月には沖縄及び南方で犠牲になられた方の追悼式を開催。追悼の誠をささげ、平和への思いを新たにしている。昨年、高校の恩師でもある吉田豊前教育長が、自身の戦争体験をインタビューで語り「ぼくの戦争」という小冊子にまとめられた。あの時代の本質を伝える貴重な歴史的証言だと思う。来週7月7日には県立図書館で吉田先生の講演会を開催する。ぜひ多くの県民の方々に聴いて頂きたいと思っている。