2021年4月30日 10:00 am
カテゴリ: 予算分析
2021年度岐阜県一般会計予算の見方と問題点。コロナ対策について。
知事選挙の公約実り、高齢者施設の予防的PCR検査が実現
県議会における要求や、県知事選での「県民が主人公の会」候補者の公約等を反映して、高齢者施設の予防的PCR検査の実施が予算化されています。その他 「福祉施設等の感染拡大防止策等」、「学校等の感染防止対策の支援等」も予算化されました。「自宅療養者ゼロ」目標が堅持できるか
県は、「岐阜モデル」の最大の特徴として、「自宅療養者ゼロ」を堅持するとしています。そのため、「病床・宿泊療養施設・後方支援病床の確保」に110億8239万円を計上。県は、病床使用率を20%未満まで下げることを目標にしていますが、県の2月4日現在の使用率は40%を超過し、特に中濃や岐阜圏域では高い水準で推移しています。こうした予算額で堅持できるでしょうか?深刻な県下の医療機関の経営
医療機関に対する支援策が十分ではありません。病院経営の悪化について県医師会の河合直樹会長は、昨年の8月段階から「診療所も深刻で、受診控えなどで耳鼻科や小児科は収入が40~50%減になった。収入が半分以下になった事業所が対象の持続化給付金を申請じているところもかなりあるようだ。経営悪化による医療崩壊を懸念する声は相当強い」(2020,8・6、中日新聞)。第3波襲来は一層医療機関の経営を逼迫させていると思われます。経営支援を国に求め県自身も援助するべきです。また、医療機関に対する国の財政的支援である「緊急包括支援交付金」は予算額に対する交付実績が三分の一程度にすぎません。県は、政府に改善を強く求めてほしいものです。
県は、病院に対する政府の 「地域医療構想」の撤回を求めるべき
こうした医療機関の現状に反し厚生労働省は、公立・公的な440病院を名指しして再編統合の検証を追った昨年の方針を変えずに、あくまで病床削減を 「着実に進める」との態度を改めていません。県は、この間の経緯から見て国の再編統合計画である「地域医療構想」に断固反対を表明すべきです。保健所の増所と保健師の抜本的増員は緊急の課題
1994年の保健所法の改悪によって下の表のような命を守る拠点が壊されました(表1)数 年度 | 1991(平成3)年度 | 2020 (令和2)年度 |
県立保健所の数 | 11 | 7 |
中核市・岐阜市の保健所の数 | 3 | 1 |
数 年度 | 2003(平成15)年度 | 2017 (平成29)年度 |
県立保健所常勤職員数 | 310人 | 7 |
岐阜県でも県立や中核市である岐阜市の保健所の数が減らされ、常勤職員数も減らされました。今日、コロナ対策が進まない原因の一つが、県民の命を守る拠点である保健所が弱体化されたことが挙げられ自民党政治の責任が厳しく問われています。
岐阜県でも保健所の人員強化が求められていますが、保健師の増員は政府の保健師増員計画に頼っているようです。その中身は、今後2年間で900人増やす計画です。これは1保健所当たり一人増員するのがやっとというものです。
政府に抜本的対策を強く求めると同時に県としても強化するべきです。本予算案では、電話相談業務の外部委託(1億6551万円)、非常勤保健師等の活用(5256万円)を国庫支出金も使って予算化し、保健所の体制整備として、全保健所に副所長を新設し、全保健所に感染対策係を設置(可茂保健所、東濃保健所及び恵那保健所に新設)と組織の見直しをする程度です。