中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

質問と答弁(10月1日、午前)。2,米価下落への対応と食糧支援について

2021年10月6日 9:30 am
カテゴリ: 毎日の活動

質問と答弁(10月1日、午前)。2,米価下落への対応と食糧支援について

10月1日、午前に2,米価下落への対応と食糧支援についての質問をし、答弁を受けました。

2,米価下落への対応と食糧支援について

1俵の米をつくるために必要な経費は、2019年で1万5155円と言われています。機械、肥料、燃料だけで9180円。一般的に1俵1万円を下回ると、大規模農家であっても米の生産を続けるのは厳しいのが実情です。さらに、時給千円を保障するためには、農民連の試算では1俵1万8千円は必要とのことです。

この秋、農家へ支払われる概算金が前年比2~3割、大幅に減額していると報道されました。たとえば県内の一例を挙げると、地域によって異なりますが、美濃コシヒカリは昨年1万2千円前後だったものが9千円前後に。昨年1万1400円だったひとめぼれやあきたこまちがそれぞれ、8800円と9000円。その他のうるち米が昨年1万700円だったものが7500円。

各JAでは、加算金などできる限りの対応をされていますが、主要銘柄で1万円を大幅に下回っており、時給どころか、次の種代や肥料代すらまかなえません。

これまで政府は農家に毎年8万トンずつ、今回、史上最大の減反を要請し、米農家はそれを守ってきました。この米価下落は、コロナ禍で外食産業が伸び悩み昨年の2020年産の在庫が高止まりしていることが原因であり、農家の責任ではありません。

さらに、こうした危機的な状況にもかかわらず、ミニマムアクセス米は減らさず77万トンも輸入し続ける姿勢も大きく間違っていると言えます。知事と農政部長にそれぞれお聞きします。

1点目。県内の状況に対する知事の所感について、県内の状況を受けて知事としてどのようにお考えかお聞きします。2点目。所得保障や余剰米の買い取りの実施等を国へ要望することについて伺います。

コストに見合わない状況では、就農者を増やすどころか、米作りをやめる農家が増えるのは当然のことになってしまいます。主食である米の生産は、日本の主要産業であるべきで、長年国民の食と農村の環境を支えてきた米農家の役割を正当に評価すべきと思います。

国において所得保障や余剰米の買い取りの実施を要望するべきではないでしょうか知事にお聞きします。

 [答弁 知事]

我が国の米政策はご案内の通りでございますが、国の大きな方針のもとで動いてきているわけであります。国による生産数量目標の配分を前提とした生産調整対策が、昭和46年から約半世紀に亘って行われてきたわけであります。しかし、平成30年度からは、意欲ある担い手農家の自由な経営判断、市場戦略に則って生産・販売を推進する「新たな米政策」へと転換してきているわけであります。

具体的には、他の品目への作付け転換を進めるため、国としてはきめ細かな需給情報を提供するとともに、麦、大豆、飼料用米など戦略作物への支援、特色ある品目の産地づくりへの支援などが行われているわけであります。こうした制度のもとで、本県では、県の農業再生協議会が主体となりまして、国からの情報をもとに米の生産量の目安となる生産指標を各地域にお示しをし、各地域ではそれを参考にしながら、米の生産、収益力のある作物への転換を進めてきていると、こういう流れになっているわけであります。

このところの米の需要につきましては、人口減少;消費者の米離れを背景に年々減少する中で、今般のコロナ禍によるインバウンドの減少、外食産業における需要減少などにより、米の在庫量は例年以上に大変高い状況にございます。このため、JA全農県本部が各農協に提示する米の買取価格である「概算金」でございますが、本県の令和3年産米では、前年から2割程度減少いたしまして、60kg当たり9千円台後半から12千円台となる見通しでございます。

これは、米農家にとりましては、大変に厳しい状況にあるというふうに認識しております。こうしたことから県の6月補正予算におきまして、JAに対し在庫米の保管経費の一部を支接するとともに、米農家に対しましては、収入減少に備える収入保険への加入促進を図るため保険料の一部を支援することといたしました。また9月の補正予算では、後ほど農政部長からご説明いたしますが、米の増量キャンペーンやプレゼントキャンペーンを展開し、県産米の消費拡大につなげてまいりたいと考えております。

国による所得補償や余剰米買い取りについて議員のほうから言及がございました。まず、所得補償につましては、先ほど冒頭申し上げましたように、平成30年度から生産数量目標の配分の廃止に伴って、所得補償についても廃止されているわけであります。

現在は、米価が下落した場合の対策として、2つの支援策が用意されております。二つは、認定農業者や集落営農などの 「米生産の担い手」を対象とした 「収入減少影響緩和対策」いわゆる「ナラシ」対策でございます。これによって、収入額の合計が、過去の実績から算定される標準的収入額を下回った場合に、その差額の9割が補てんされることになっております。

もう一つは、経営規模の大小によらず、青色申告を行っている農業者向けの 「収入保険制度」でございます。これは農業者ごとに過去の実績を踏まえた基準収入の9割を下回った場合に、その差額の9割を上限に補てんするものでございます。

次に、過剰在庫になった米の買い取りに関しましては、県といたしましてもJA岐阜中央会からの要請を踏まえ、昨年の11月に国に対しまして、米の政府買い入れによる市場隔離などの対策を講じるよう要望を行っております。さらに、先月には、全国知事会におきましても、国へ緊急提言を行ったところでありまして、今後も、全国知事会と足並みを揃えて、この点については国に強く働きかけを行ってまいります。

 3点目。補正予算の狙いと効果について農政部長に伺います。

今議会では、県産米の需要拡大に向けた支援として、米の増量販売に3030万円、米のプレゼントキャンペーンに1950万円が補正予算として出されています。農家の皆さんの思いに応えた非常に重要なものだと注目しているが、肝心の農家の収入増のためには、需給バランスにまで影響が出る程の規模が必要かと思います。また、米が余っている中でプレゼントキャンペーンを行うことでその分購入を控える結果になるのではないかと疑問もつきません。

一方、買い取り価格に補助金を出すなど、収入減になる農家に直接支援が行き渡る施策が検討されている他自治体も出てきております。今回の予算措置で、どれほどの効果が想定されているのでしょうか。農政部長にお聞きします。

[ 答弁 農政部長]

新型コロナウイルス感染症の影響により、全国的な米の需要減少に起因する米価下落によって、産地間の価格競争が激化しており、販売が見込めない米を中心に、米卸売事業者の買い控えが起こることが危惧されます。このため県では、県産米の需要喚起と消費拡大に向け、関係予算を今議会に上程したところです。この事業では、米の増量キヤンペーンを行う米卸売事業者等を支援するとともに、小売店などと連携し。県産米プレゼントキャンペーンを行ってまいります。これらのキャンペーンを県内大型量販店やスーパーの他、直売所など100店舗以上で5ケ月間に亘って開催し、同時期に開催する地産地消フェアとの相乗効果も併せて、県産米の消費拡大を図り、ひいては農家への概算金の追加払いに反映されるような、県産米の好循環を生み出してまいりたいと考えております。

 (4)点目。食料支援の仕組み作りについて農政部長に伺います。

米が余り、米の値段が下がっている一方、国内では米を食べたくても食べられない方々がうまれています。セーブザチルドレンジャパンが、夏休み子どもの食応援ボックスの利用世帯に対し行ったアンケート調査では、コロナ禍の影響で、3割以上の世帯で収入が半分以上減少。5割以上の世帯が、十分な食料を買うお金がないと回答しています。労働政策研究・研修機構の「新型コロナウイルス感染症のひとり親家庭への影響に関する緊急調査では「直近1ヶ月間に必要とする食材が買えなかった方は、35%を超えています。

筑波大学が1月に実施した食糧支援では、3000人もの学生が集まり、20トンの米が無くなりました。県内でも県社協やフードバンク、岐阜大学の学生応援など様々な団体が食糧支援に取り組んでいます。先週末に行われた岐阜大学の学生にむけた食糧支援でも、大量のお米がすぐになくなりました。ここだけでなく、どの食糧支援の現場でも、常に喜ばれすぐに無くなるのが米であり、本当に不足しています。

食料支援を行っている団体によると、農家から直接寄付を受けたり、足りなくなると寄付金でなんとか米を都合し支援物資に充てているとのことでした。せっかくなら地元岐阜県の米を食べてほしいと思った光景でした。アメリカ・バイデン政権は、農産物の買い上げと食糧支援をセットにした大規模な対策を打ち出していますし、フランスではフードバンクに支援金を出し食糧支援を行っています。公的な仕組み作りが求められていると思います。そこで農政部長にお考えをお聞きします。米を買うことができない貧困状態の学生や家庭を支援するフードバンクなど食料支援を参考に、こうした方々へ提供する仕組みを検討できないでしょうか。

 [答弁 農政部長]

コロナ禍の影響で米を買うことのできない貧困状態の学生や家庭への支援につきましては、国が備蓄米を子ども食堂に直接提供したり、県内でも市が開設した生活相談窓口での食品の配布や、生産者団体、食品関連事業者がフードバンクなどに食品を提供する事例があると承知をしております。こうした取組みは、一般的には、米を所有する団体がその米を自ら寄付することで成り立っていますが、これを全県的な仕組みとしていく場合には、どのような米を、誰がどのように調達配布し、その経費を誰が負担するのか、行政は何を担うのかなど、整理すべき課題が多くあります。また、その際には安全性;公平性にも十分に留意する必要があります。これらの点を整理したうえで、しっかりとしたシステムとして運用していくことが重要であり、先ずは、供給側、受入れ側双方のご意見を伺ってまいりたいと考えております。

<再質問  中川>

先ほど食糧支援の仕組みについて答弁して頂きましたが、再度、この答弁についてもう少し詳しく伺いたい。農水省が備蓄米の一部を提供していると紹介されておりましたが、先ほど十分ではないと言ったのは理由があり、支援数が150程度で、子ども食堂は全国で3000以上あるのです。何故なのかというと手続きが難しいし、玄米だったり、取りに行く輸送費、個人負担が非常に大きいなど課題があったからです。

これから意見を聞いていくと、留まっておりますけれども、今回の問題は飲食店の時短営業とか休業によってコメが余って、農家の方々に打撃があって、同時に飲食店が時短や休業があって、飲食に多い非正規のシフトが減って学生を中心に生活困窮がおこった。別々の問題のようですがこれは一帯の問題だと考えるべきと思う。どこかで歯車があっていないと思う。

これだけ日本全国で米が余っているときにお米が食べられないで困っている人がたくさんいると。そこにどうにかして焦点を当てて、行政で支援していこうという取り組みが必要だと思います。先ほど意見を聞いていくというところに留まってしまったのですが、県として支援の仕組みを作るべきだと思います。その点について伺います。

[答弁 農政部長]

先ほどもご答弁させていただきましたけれども、国あるいはJA等が食料を提供する取組みにつきましては、 自ら所有する米を提供するということでございまして、それは自ら提供したいところに提供すれば、それでいいということでございますけれども、これを公的に県が仕組みを作っていこうどするときには、先程も申しましたけれども、どういう米を誰がどのように調達、配布するのか、経費を誰が負担するのか、例えぼ先ほど言われたような、米を県で買うのか、あるいは県は輸送費を支援するのかとか、そういったいろんなことを考えなければいけません。

更には、そういった団体を支援すると、県が直接米を支援するのではなくて、そういった団体のいろんな経費を支援する、あるいは市町村の取組みを支援するといったいろんなアプローヂがあるかというふうに思います。また、これは提供側の課題でございますけどご受け入れ側についてもですね、先程学生の事例をおっしゃられましたけども、子ども食堂であったりとかですね、ひとり親であらたり、いろんな困っておられる方があるかと思います。

したがって,こういったことを行政的にやるにはですね、公平性というものが必ず必要ですので、そういった公平性の観点からもですね、ここにじゃなくてこちらの方が良いんじゃないかというご意見があるかと思います。

従いまして、どういった仕組みにするのか、あるいはどういったところを対象にするのか、ということについて、関係者のご意見を伺うということでございます。「意見を伺うにとどめる」ということではございませんので、よろしくお願いいたします。

コロナ禍での米価の下落問題を対策につなげ、農業者の安心と支援を行うとともに、行政をあげて食糧支援をしていきたいものです。

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