中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

6月議会の討論に立ちました。

2019年6月27日 2:13 am
カテゴリ: 活動報告

中川ゆう子の討論

議第77号 会計年度任用職員の報酬等に関する条例

会計年度任用職員とは、地方自治体で増大した特別職非常勤、臨時的任用の受け皿として新設されるものであり、国での付帯意見のとおり、現行の水準を下回らないよう各種手当の支給がなどの設定をするというものです。このように、改善される点については
同一労働同一賃金の観点からみても、賛成でありますが、
しかし、問題点がいくつかあると考えます。

たとえば、支給される手当は、雇員の場合、勤勉手当はなく期末手当のみであり、会計年度任用職員の制度内でも格差が温存されてしまっていること。「2016年に国で設置された研究会」の報告からみても大きく後退したものです。

さらに、支給額についても課題があります。
県の説明では、年収ベースでは現行より下回っていないとのことですが、これはあくまで会計年度内の最長である1年間雇用された場合であり、毎月の支給額自体は現行より下回った額が設定されています。
そのため、たとえば、教育現場では常勤講師が足りず、産休・育休代替(だいたい)を非常勤で担っておられる場合がありますが、育休がどこまでつづくか次第でボーナスが支給されない場合が当然うまれ、結果的に収入は現行水準を大きく下回る水準になります。

これらの課題の根本的な問題は、そもそも地方公務員法では、行政サービスの安定性と質を確保するため「公務は任期の定めのない常勤職員が中心となって担う」という原則があるにもかかわらず、この原則外の公務が広がっているということにあります。
H29年度に岐阜県が総務省に提出した(資料によると、岐阜県では、H29年度段階で、会計年度任用職員への移行は約4800名以上。
とくに学校現場で多く該当し、高い志を持ちながらも低賃金で不安定な働きかたを余儀なくされています。民間企業では保証されている無期雇用への転換もありません。

これは結果として、住民の暮らしを支える根幹になる行政サービスや学校教育そのものが立ちゆかなくなる危険があり、本来なら、この制度開始にあたり基幹的、恒常的業務については定数枠を広げ常勤化を検討すべきでないでしょうか。

また、この制度について昨年には一部、説明会が開催されたそうですが、参加は対象者のほんの一部です。この議案の上程にあたり、具体的事項である規則や要項がどのように決められるのか、また先ほどのようなケースの救済措置はどうするのかなどの見通しは、議会にも当事者である非常勤職員の皆さんへも示されておりません。その点においても賛同できるものではないという事も申し添えます。

議第80号 各種、手数料徴収条例の改正

これは、あとで触れますが、消費税率引き上げに基づくものであり、県民や事業者への負担増につながるため賛成できません。

議第81号 岐阜県税条例等の一部を改正する条例

創設される特別法人税、譲与税制度について申し上げます。
現行の地方法人特別税、および、地方法人特別譲与税は、消費税増税を含む「税の抜本改革」が行われるまでの暫定措置として、2008年に創設されたものです。が、
今回創設されたものは、譲与基準の変更と、不交付団体への譲与制限を設けたことを除けば、暫定措置であった現行の制度をほぼ恒久化するものです。
今回の地方税法の改正の目的のひとつは、自治体間の財政格差を是正するものと言われますが、
そもそも自治体間の財政格差拡大は地方自治体の責任ではなく、「三位一体の改革」による地方交付税の大幅削減が生み出してきたものです。

本来、自治体間の財政調整は、地方交付税制度を通じた財源保障が原則であり、その責任を後退させる本条例案には反対です。

議第84号 森林整備支援等基金条例

この基金は、国が新たに個人住民税、均等割りに1000円を上乗せして課税する森林環境譲与税が原資となります。森林がもつ公益性、国土の維持から考えると、森林整備や人材育成は大変重要です。
しかし問題は、住民税の所得割が非課税の方にも一律に課税させるという、低所得者の負担をさらに強める逆進性の高い税だということ。その一方、温室効果ガスの第一義的な原因者である排出企業への税負担はないという点です。
東日本大震災復興特別住民税の期限が終わる翌年度から課税が開始されることから見ても、要するに、復興特別住民税の看板だけかけ替えて、住民への課税を継続させるものにしかなっておりません。
さらに各自治体への配分基準は、林業の従事者数より人口指数の方が高く設定されており、人口が集中する都市部が有利になっています。結果として、私有林が広大にある自治体よりも、私有林のない大都市の自治体に多く配分されるという、大変大きな矛盾をはらんだものであり、広大な森林をかかえる岐阜県としては到底受け入れられるものではないと考えます。

議第87号、議第88号、議第98号 県庁舎建設にかかる各工事の請負契約

建築工事に、273億3500万円、空調46億1670万円、電気設備63億8880万円でそれぞれ工事契約するというものです。

総事業費と規模の縮小をすべきだということは、たびたび申し上げてきましたが、結果として当初の想定より24億円増額され664億円にまで膨らんでいます。
基金の積み替えにより、災害や想定外の事態に備える財政調整基金が激減しており、県債残高、将来負担はどちらも増えるという見通しが出ています。
今後、確実に増える福祉需要に対しても財政的に厳しいという理由であきらめざるを得ないのでは、自治体本来の役割を果たすことはできなくなり、規模の縮小を検討すべきでした。
加えて、設計がはじめられてからこの1年半、総事業費、設計について一切住民説明会を開かれず住民不在で進められてきました。この議案が可決されれば、工事契約を結ぶことになります。知事は、今後、住民説明会を開くと答弁されましたが、議案上程前に説明すべきではないでしょうか。
住民へ説明が行われていないものに到底、同意はできませんし、工事契約前に説明会を開くことを求めます。

議第93号 徳山ダム上流域の山林取得について

公有地化計画は、徳山村村民の個人の所有地へ入る道路建設の約束を反故にして進められているものであり、反対です。

請願第1号 国に対し「消費税増税中止を求める」意見書提出を求める請願

前回の8%への増税後、実質家計消費は年25万円も落ち込み、実質賃金も年10万円も低下しました。

安倍政権はこの増税によって5兆円程度の税収増を見込んでいますが、この景気後退の局面で5兆円の大増税は無謀だという声が、党派、立場を超え、消費税は必要だと考える方々からも上がっております。

消費税増税をさけ、社会保障の財源を作る手立ては、たとえばこれまで大企業に対して行ってきた4兆円規模の減税を見直すことです。中小企業への課税率と同水準の約18%の負担率に戻すことで4兆円の税収増になります。また、所得1億円を超えると、所得税の負担率が下がるという逆転現象がおきていますが、これを是正するため証券課税を強化することで軽減されていた2兆円が増収になります。これで6兆円ですが、このように累進課税基づいた税制改革を行うことで、社会保障の財源を打ち出すのが最優先と考えます。本請願は、岐阜の地域経済の活性化、県民の暮らしを守る観点でも妥当な請願であり、採択すべきものと考えます。

請願第2号 子どもの医療費無料制度の拡充を求める請願

公債費の増大が見込まれむつかしいのでは、というご意見もあるようですが、過去最高額を更新している県債残高の内訳は、このような医療や社会保障ではなく、高規格道路建設や大型のハコモノ建設です。さらに今後の公債費を増やす原因は関ケ原の観光施設や県庁舎建設など大型プロジェクトであり、そこにメスを入れる必要があることを申し上げます。
県内市町村では、こうした厳しい財政状況の中で、独自にすくなくとも義務教育終了まで制度を拡充させており、今議会には岐阜県市長会からも同様の内容の陳情が提出されています。
県として制度を拡充するために必要な予算は、1学年あたり2億円から3億円弱であると言われ、岐阜県の財政規模、少子化の流れのなかで十分実現可能であると考えます。
岐阜県では今年度、子どもの貧困をなくすための具体策の検討も始まっており、制度拡充は市町村の子育て支援策の拡充につながる大変有効なものです。採択を主張致します。

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