中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

3月議会(1)平成29年度当初予算と組織改変

2017年3月17日 3:04 am
カテゴリ: 活動報告

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新年度予算案は「清流の国ぎふ」を支える人づくり、地域の魅力を生かした「清流の国ぎふ」づくり、安心安全な「清流の国ぎふ」づくり、という3本の柱で編成されています。

その中には、「中小企業総合人材確保センター」の開設や県内出身大学生等のUターン促進のための清流の国岐阜大学生等奨学金の拡充、子ども食堂に対する支援、西濃地域における高等特別支援学校の整備など、県民が要求してきた重要な予算も含まれています。

一方、歳入面では、県税収入の減少が見込まれています。すなわち県民所得が減少したということであり、こうした予算案からも県民生活の厳しさが表れていると思います。

それを踏まえ、問題点を3つ述べます。

1つめは、依然としてハコモノ中心の施策が多いという事です。県内の豊富な観光の地域資源を一層魅力あるものとして観光産業の基幹産業化を図ることは否定しませんが、その内容がハコモノ中心となっていることが問題です。関ケ原古戦場では関ヶ原古戦場ビジターセンターの建設。かかみがはら航空宇宙科学博物館は成長産業支援と観光誘客の拠点と位置付けですが、リニューアル総事業費が当初約30億円の説明でしたが、49億円に増額されました。どちらも維持管理費、管理運営について地元の市町と十分な合意ができたうえでスタートしたわけではありません。

過去の岐阜県は、大型公共施設を建設したのちの維持補修、維持管理費が莫大になり、行政改革アクションプランでは7施設が休廃止、8施設が機能見直し、7施設が県以外の事業主体へ移管されてきました。さらに県公共施設等総合管理基本方針にあるように、大規模県有施設のうち約6割が20年後には築50年を超え老朽化する見通しです。新たな大型施設の建設にゆいて、維持管理費など将来の負担も含め、慎重になるべきと思います。

2つめは県債残高が増え続けている点です。県債、いわゆる借金は、今年度新たに1157億円の発行が予定され、県債残高も増額しています、1989年と2017年の28年間の県債残高を比べますと、その額は4.74倍にまで膨れ上がっております。平成27年度の監査委員による歳入歳出決算審査意見書でも県債残高全体の増加が指摘され、「県財政は依然として厳しい状況にある」とコメントされています。

新年度に発行予定の県債の主なものは

直轄道路事業負担金 約217億円

道路新設改良費 約70億円

防災行政無線整備費 約24億円

具体的には東海環状自動車道西回り区間およびインターチェンジアクセス道路の整備促進事業では

事業費 約230億8000万円のうち県債約210億8000万

濃飛横断自動車道中津川工区

事業費約9億円のうち 県債 約3億6000万

など、あげられます。これらは、国の直轄や国に替わって県が進める事業ですが、今述べたように国からの支出金は少なく、県債の発行が強いられています。県債残高が増え続けるのは、こうしたことが要因です。知事がこうした事業を優先していくかぎり、県財政の健全化は不可能です。

(1) 大型公共事業の見直しと、施設の老朽化対策に対する重点的な予算配分について

中川ゆう子の質問

厳しい財政状況を生み出したのはこうした大型公共事業が原因ですが、依然として大型公共事業中心の予算編成となっています。同時に、こうした巨額の投資をしてきたハコモノや道路の老朽化対策が緊急課題となっており、県の財政を圧迫する可能性があります。今後は、大型公共事業を見直し、施設の老朽化対策へ、予算配分の重点を移すべきではないでしょうか。

知事の答弁

県有施設の老朽化対策は大変重要な課題になっております。このため、まず県有建築物につきましては、現在「個別施設ごとの長寿命化計画」を策定中であり、今後、これに基づいて計画的に維持補償や再整備を行うこととしております。また、こうした計画と連動して、効率的な予算管理という観点から、来年度から管財課で維持補修費を一元的に管理してまいりたいと考えています。

なお、新年度予算では、県有建築物の老朽化対策予算を約106億円から約134億円に増額することとしております。具体的には、供用開始から30年近く経過した本県のスポーツの拠点である岐阜メモリアルセンターでは、約13億円増額し、空調設備などを改修するほか、一般の方が多く利用する県民ふれあい会館では、1億6千万円増額して管内設備の改修を行うこととしております。

一方、県管理道路につきましても、平成26年度以降、「岐阜県道路維持管理指針」に基づきまして、計画的な老朽化対策を進めてきております。この老朽化対策予算でありますが、平成27年度には約130億円から約150億円に20億円増額しておりまして、その後28年度、29年度ともにほぼ同水準を確保してきております。

他方で、県民生活の向上、産業・観光振興、強靭な県土づくりなどを進めるうえで、重要な公共事業につきましてはメリハリをつけて行っております。例えば、ミッシングリンクとなっております東海環状西回り区間の整備は、東回り区間と一体となって、沿線地域の活性化はもとより、新たな地域連携が見込まれ、中京圏の産業・観光発展を加速させる絶大な効果が見込まれます。

さらに、大規模災害時の緊急輸送道路ないし迂回路としての機能や、高度救急救命センターである岐阜大学医学部付属病院へのアクセス道路としての機能など大変多くのストック効果が期待されております。こうしたことから、早期全線開通を目指しているところでございます。

以上、申し上げたましたように、限られた財源を効率的、効果的に活用し、維持補修など老朽化対策に係る予算を確保するとともに、優先度を踏まえながら重点的に必要な整備を推進してまいりたいと考えているところでございます。

(2) 公共交通空白地区の解消等を含む公共交通整備計画の策定について

3つめの問題は 基幹道路建設など道路建設費が目立ち、依然として車中心の街づくりが前提となっている事です。さらに、高齢者の免許更新が厳しくなっており、安心して車を手放せるまちづくりが求められています。次の一手として、公共交通をどう充実させるかという視点がどうしても必要です。市町村が自主運行するバスに対する県の補助は、平成17年度と27年度で比較すると、この10年で432路線から530路線に増額されていますが、それでも以前の水準からは程遠い状況です。昨年の質問では、県内の公共交通空白地区に住む人口は7.2%とのことでした。およそ14万人から15万人です。

中川ゆう子の質問

県として公共交通空白地区の解消などを含む、県全体を見据えた公共交通整備計画の策定に着手すべきではないでしょうか。

都市公園整備局長の答弁

公共交通にかかる計画の策定についてお答えいたします。公共交通は、自動車を運転できない方々などの生活を支えるものであり、県としても、その確保維持が重要であると考えています。

現在、県においては、県、市町村、交通事業者等からなる岐阜県地域公共交通協議会を設置し、広域的な公共交通の調整を行うとともに、行政、地域住民、交通事業者等が一体となって、公共交通を確保維持するための具体的な方策を定める地域公共交通網形成計画の策定を、各交通圏ごとに推進しているところであります。その結果、現在までのところ、策定済みの計画は10都市9計画、策定中の計画は16市町村10計画となっております。

なお、交通圏が複数の市町村にまたがる場合には、明知鉄道沿線の2市、養老鉄道沿線の7市町や白川町・東白川村の2町村など、複数の市町村で連携した計画策定も進んでいるところであります。

県といたしましては、今後とも、広域的な連携を確保する観点等から必要な助言や情報提供を行い、まずは、各交通圏ごとの地域公共交通網形成計画が全県にわたって策定されされるよう支援してまいります。

(3) 組織改編のねらいについて

発表された新年度の県の組織体制によると、教育委員会の社会教育文化課がなくなり、知事部局に新しい部署が作られます。また、博物館、図書館も教育委員会を離れ知事部局になるとのことです。社会教育は、学校教育以外全般の教育であり、全県民に関わる重要な教育行政です。今回の組織改編で、県庁内の組織から「社会教育」という文字が消えてしまったことは非常に不安であり、県の教育行政が果たす大切な役割を手放すことにならないだろうかと不安を感じています。

また、博物館、図書館が教育委員会から知事部局にうつるということですが、懸念される点をいくつか申し上げます。博物館は博物館法で明確に教育委員会所管とされています。図書館は「地方教育行政の組織および運営に関する法律」第32条で、教育委員会が所管することとなっています。地方自治法上、事務の委任等が認められてはいますが、これは例外的な規定であり、今回の組織改編は博物館法などの法の主旨に反しており、本来の在り方から逸脱するのではないかと懸念しています。

とくに県の図書館や博物館が担っている役割は、目立つイベントを開催したり観光目的の施設とは違います。県民の文化水準をあげ生涯教育を充実させるため、県民や市町村へ情報提供するのが役割です。当然、すぐには数字に表れませんが、非常に大きな役割を担っています。

また、文科省が示した「教育委員会の在り方」では、教育行政には、知事部局からの自主独立性が求められるとされています。とくに、博物館や図書館は、図書や展示資料の選択について政治的中立性が要請されています。たとえ知事が変わっても、そのときどきの政治的な政策に左右されずに、一貫して研究していく、非常に専門性の高い部門だということです。知事や県政を批判する資料を収集する場合もありますが、独立性の高い教育委員会から知事部局にうつることで、資料収集、資料展示において、博物館や図書館の政治的思想的中立性が担保されるのか心配される声もあります。これら懸念は尽きませんので、知事にお聞きします。

中川ゆう子の質問

今回の組織改編により、文化に関する事務を知事部局へ移管する狙いはなにでしょうか。

知事の答弁

本県では、これまで文化財保護や伝統文化の伝承などは主として教育委員会が行い、文化芸術資源の国内芸への発信や振興は主として知事部局が行ってまいりました。こうした中で、平成7年度には、教育の観点のみならず県民文化の普及振興を図るため、文化の普及振興や文化団体との交流施策を知事部局に新設した「総合文化振興室」に移管しております。その後、平成26年度には、県民文化の振興を一層図るとともに、美術館をより身近な施設として運営するため、美術館及び現代陶芸美術館を知事部局へ移管しております。

美術館では平成27年度に就任した日比野館長の下、より県民の皆様に楽しんでいただける企画として、美術館の庭を舞台とした「アートまるケット」などを開催した結果、平成27年度の来館者は移管前と比べ、約5万5千人増加してきております。また、平成27年9月には、環境生活部文化振興課の所管の下で、「ぎふ清流文化プラザ」を再オープンさせ、文化芸術の担い手育成、そして障がい者の文化芸術活動の拠点として取り組みを始めてきております。

一方、国においては、平成27年度に閣議決定された「文化芸術の振興に関する基本的な方針」におきまいして、「社会を挙げて芸術文化振興が必要である。」との認識の下、「文化芸術の次世代への継承、地域振興、観光・産業振興への活用」などが重点戦略として取り組まれております。以上を背景に、新年度から本県としては、文化行政を知事部局が一貫して総合的に取り組むことによって、伝統文化の保護、継承、文化芸術の振興、発信、さらには地域振興や観光・産業振興などの幅広い施策につなげていくため、県民文化局を新設することとした次第でございます。

県民文化局の設置によりまして、各施設間の線形を図る観点から、例えば、博物館では「博物館機能の全県展開」を目指し、図書館や高山陣屋内にサテライト展示を行うなど、その収蔵物を県内各地で展示することとしております。また、今後関ヶ原に整備を予定しております「ビジターセンター」におきましても、博物館が所有する戦国時代の歴史的資料などを展示し、観光振興施策との連携も図っていく予定でございます。

さらに、図書館、美術館、そして現在整備を進めております「森の恵みのおもちゃ美術館」の立地するエリアでは、各施設の特徴を生かしたイベントやワークショップを一体的に開催することを考えております。また、再スタートした「ぎふ清流文化プラザ」では、県民文化局が企画及び管理を一体的に行うことにより、総合的な文化振興に取り組んでまいります。

なお、当然のことながら、今回の組織再編につきましては、教育委員会とも十分に協議してまいりました。今後、施策の推進にあたりましては、教育委員と知事で構成する「総合教育会議」などにおいて幅広く議論をしてまいりたいと思っております。また、市町村におきましては、文化行政を今田教育委員会で所管するところが多いことから、市町村との連絡会議等の開催回数を増やすなど、より一層、市町村教育委員会との連携を進めてまいりたいと思っております。

中川ゆう子の再質問

図書館及び博物館を知事部局へ移管する事は、法的根拠から外れた組織改編ではないか、また資料収集が時の政策に左右される危険性があるのではないでしょうか。

知事の再答弁

先ほどもご説明いたしましたが、今回の組織変更のポイントは、文化行政というものを一貫して、総合的かつ様々な政策との連携の中で展開していきたいと、こういうことを機分に県民文化局に一元的に統一していこうと、こういう判断をした次第であります。この図書館、博物館の位置づけにつきましては、地方自治法上、委任という規定もございますし、平成26年度に美術館、現代陶芸美術館を知事部局に移管しました際にも、これを援用にしてやらしていただいておるわけであります。

また全国的に見ますと、他県におきましても、既に15の県で博物館ないし図書館の知事部局への移管が行われているといういことで、政策の判断ということでございます。それから、ご懸念のお話がございましたが、もちろん学術的な図書、収蔵物の蓄積保存そいったことにつきましては、このことによって大きく変更があるということではありませんし、博物館も図書館もそれぞれ条例に基づいて外部の有識者からなる協議会が設けられておりますので、その中で施設運営の基本方針、あるいは図書や収蔵物の収集方針も協議されておりまして、これについてはしっかりと尊重してまいりたいというふうに思っております。

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