中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

3月議会討論

2016年3月24日 3:10 am
カテゴリ: 活動報告

5議案、2請願について

しっかりと賛否理由を述べました

IMG_9556

議第1号 平成28年度岐阜県一般会計予算

新年度予算を見ますと、多子世帯の保育料支援制度の県独自の上乗せ支援、生活に困窮している世帯の子どもの学習支援、県出身大学生のUターン促進のための奨学金免除制度創設など、県民の思いに応えた新規事業も数多く見られますが、一方で、認めがたい予算計上として主に2点申し上げます。

公共事業においては、社会資本の老朽化対策は何にもまして取り組まなければならない課題です。しかし、こうしうた老朽化対策費は、新規の公共事業に比べ少額であり、インフラの維持・更新などの進捗状況は極めて遅れています。新年度予算資料によると、例えば新たに整備をする、幹線道路等の整備では、前年度約341億から、新年度は約362億円。県土強靭化に資する道路ネットワークの整備および機能強化として、前年度約304億円から新年度は約331億円に増額です。

具体的事業で言いますと、東海環状自動車道西回り区間等の整備促進は前年度より増額し、約227億円、濃飛横断自動車道整備も大幅増額され約5億円です。一方、たとえば、道路施設維持管理に関する予算は約166億5,000万円から約154億円に減額されております。もちろん新たな道路整備の中にも、県民の要求を受けての事業も含まれていますが、これほど予算に差があってよいのか、優先順位が逆であると指摘せざるを得ません。そもそも、こうした事業に国が予算を少額しかつけないことも問題ではありますが、道路、橋梁、トンネルの管理が全国トップクラスである岐阜県としてもこうした国の予算配分の在り方に異議を唱え、老朽化対策や急傾斜地、河川など自然災害対策に重点を移していく必要があると思います。

2点目として、借金である県債の新規発行額について申し上げます。

新規発行の県債は1,156億円。県債残高は1兆5,200億7,800万円となり、国勢調査の結果からみると県民一人あたり約74万円となります。臨時財政対策債を除くと9,400億円となり、県の年間の予算規模を大きく上回っています。これからの社会は、人口減少社会に加え、社会保障費や老朽化対策に多くの財源が必要であり、こうした将来にわたる財政負担は、住民にしわよせになる恐れがあり、慎重になるべきと申し上げます。

議第11号 平成28年度岐阜県徳山ダム上流域公有地化特別会計予算

徳山ダム周辺の山林を買収しようとするもので、約10億1,700万の予算です。徳山ダムは今から50年以上前に構想が立てられ、周辺事業を含め約3,500億円投じられています。結果として、水需要が激減する中、適切な情勢判断がされず、水が一滴も売れないダムとなっております。ダムの周辺の山林については、取り付け道路を建設し、旧徳山村住民が私有地の立ち入りを保証することになっていたにも関わらず、さらに多額の税金を投じて買収するのがこの予算であり、反対です。

議第30号 岐阜県職員の分限に関する条例等の一部を改正する条例について

これは、能力・実績主義に基づく人事評価制度の導入であり、国家公務員にひきつづき地方公務員にも導入するものです。そもそも県職員の公務は、県民の暮らしを守り、権利を保障する仕事であり、数値目標による人事評価は馴染みません。問題は、この制度が「評価をする上司自身も評価される」という構造であるということです。これでは職員は、県民の方を見るのでなく、上司の目を気にしなければならず、パワハラを助長させる恐れがあります。とくに岐阜県は、非常にスリムな組織となっており、過重労働の解消、パワハラ防止は喫緊の重大課題で、県の組織をあげて取り組もうとされているところでもあります。国の法改正による議案ではありますが、本来こうした職員の評価や労務管理は、法によって一律に押し付けるものではなく、自治体の主体性を尊重すべきであり、国の法改正による議案ではありますが、パワハラ防止の取り組みを後退させる本議案には反対です。

議第41号 岐阜県厚生環境関係手数料徴収条例の一部を改正する条例について

これは介護支援専門員、いわゆるケアマネの研修にかかる手数料を増額するというもので、たとえば実務研修手数料は12,000円から34,000円と大幅引き上げです。介護による離職が年間10万人と社会問題にもなっていますが、根本的な問題は介護職員が足りないという事です。県では、介護職員の育成・確保と定着の促進として人材育成や介護労働の魅力発信にとりくむとしていますが、そもそも介護職員の待遇改善にメスを入れないで、さらに介護現場の要であるケアマネの研修手数料を大幅に引き上げるのは、こうした取り組みから逆行していると言わざるをえません。

議第63号 内ヶ谷ダム本体工事の請負契約について

これは約170億円の本体工事契約です。事業目的は治水対策とのことですが、治水事業は100年に1度というような予想水量に基づくものでは、想定を超える洪水には何の効果も得られません。ダムによる治水は、想定を超える洪水には有効性を発揮できず、効果は限定的と申し上げざるを得ず、堤防改修、遊水事業を組み合わせた治水事業に転換すべきと考えます。

請願17号 長良川河口堰の運用見直しとゲートの試験的開放の議決を求める請願

ゲート閉鎖後、汽水域が消滅し、河口堰の周辺にはヘドロが堆積し、ヤマトシジミ、ヨシも多くが消滅しています。先程の委員長報告では、ゲートをあげると、塩水が遡上し、塩害が起きるという答弁があったとのことですが、その実証的データはありません。本請願の含意は妥当であり、採択を求めます。

請願第18号 安全保障関連2法の廃止を求める意見書採択についての請願

今月29日に施行が迫っている安全保障関連法は、歴代政権が憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使、戦闘地域での武器弾薬や燃料などの補給、戦争状態の地域での治安活動などを日本周辺だけでなく地球上どこでも可能にするものです。この法律は、戦闘地域での作業によって、日本自体がテロの標的になる危険があるだけでなく、実際に任務につく自衛隊の命さえ守れるものとなっていません。政権は、憲法にしたがい、それを守る政治を行うことが立憲主義であり、これまで60年以上にわたって歴代の政府が積み上げてきた憲法解釈を、いち内閣の考えで覆すことは、この立憲主義を否定するものです。国家の安全保障に関して様々な議論があったとしても、それは立憲主義に基づいた議論であるべきです。

2月19日には、この安保関連法の廃止法案が、野党5党で衆議院に提出されており、審議しないまま法を施行すべきではありません。本請願の含意は賛同できるものであり、採択を求めます。

Pocket

↑ページトップへ行く