中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

3月議会質問(1)直面する課題に対応する県民目線の予算編成と今後の財政見通しについて

2020年3月16日 9:45 am
カテゴリ: 活動報告

直面する課題に対応する県民目線の予算編成と今後の財政見通しについて

昨年10月の消費税の増税、そして今回の新型コロナ肺炎に関わる県民生活への影響など、様々な課題が多く山積する中での新年度予算になっています。
県民目線の予算編成を、という思いで4点知事に質問いたします。

(1)消費税増税による県財政と県民生活への影響について

昨年の消費税増税を受けて、国の新年度予算の特徴は、税制上最も不公平な消費税が歳入面で第一位になっているという点にあると思います。
消費税導入時1989年は消費税約3兆円に対し、法人税、所得税がそれぞれ約19兆円、約21兆円。それが2020年には、消費税が約21兆7000億円、法人税、所得税がそれぞれ約12兆円、約19兆5000億円、と逆転しており、日本の税収入の中でいまや消費税は、所得税、法人税を追い越し国の基幹税になっており、所得の低い人ほど影響は深刻です。

この消費税ですが、収入の低い方ほど負担が重い逆進性に加え、消費活動への課税が強化されることで購買力が下がり、一層地域経済の落ち込みに拍車をかけるものになりました。
2月7日に発表された10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比1.6%減、年率換算で6.3%減と大幅な落ち込みとなり、県税収入の中でも、地域経済に関わる部分での影響は深刻であると考えます。

本県の新年度当初予算の県税収入については、2019年度の予算額を上回る見込みで計上されていますが、消費税増税後は各種経済指標も軒並み悪化していることなどを考えると、この県税収入の見込みには違和感があります。

中川ゆう子の質問

国の税収では、第一位が消費税の税収になっていますが、これは消費を冷え込ませ中小企業の経営を圧迫するものでありいびつさを増していると考えます。岐阜県においても新年度当初予算案の県歳入の中で地方消費税の収入の割合が増え、主な収入源になりつつある。県民生活を豊かにするお金の循環とは真逆であると考えるが、どのような認識を持っているか知事に伺う。

知事の答弁

改めまして、消費税の経緯を振り返りますと、国の税制度が直接税である所得課税中心であった中で、平成元年4月に、直間比率の是正、あるいは個人への所得課税の負担軽減を図りつつ所要の財源を確保するという目的で、3%の消費税が導入されました。

また、平成9年の4月には、税率が5%に引き上げられるとともに、その一部を地方の財源とするため、地方消費税が創設されました。
その後、少子高齢化の急速な進展を背景に、持続可能な社会保障制度の構築に向けた安定財源を確保するため、2度にわたり税率が引き上げられております。

そもそも、消費税は、所得税あるいは法人に比して、特定の地域や世代に偏ることなく、また景気や経済活動の変化に対して比較的安定的であるという特徴を有している税であります。地方消費税につきましても、税源の地域的偏在、地域格差が比較的小さく税収が安定的であることから、全国知事会においてもその充実確保を訴えてきております。

また、今回の消費税及び地方消費税の税率引き上げに伴う増収額はすべて社会保障の充実・安定化に充てるものであり、医療、介護、福祉に係る経費のみならず、昨年10月から開始された幼児教育・保育の無償化の財源ともなっております。社会保障制度を持続可能にするための財源としては必要なものと認識しております。

なお、今回の税率引き上げにあたっては、消費税の持つ逆進性の問題への対応として生活必需品に係る軽減税率制度が導入されるとともに、国においてポイント還元制度などが講じられております。

(2)今後の財政見通しについて

昨年の3月議会で、岐阜県の借金である県債依存から抜け出す予算編成をと質問いたしました。新年度予算では、県債発行額を前年比で7億円減、わずかではありますが減っております。

しかし、新たな県の借金は微減したものの、総額は過去最高額を更新しつづけており、その額は県の一般会計予算額の約2年分に匹敵する額になります。
とくに、国直轄道路負担金、県庁舎建設、関ケ原古戦場記念館など大型事業の財源は、県債の比率が非常に高い。東海環状自動車道の整備促進では、新年度予算は約193億円のうち県債は約183億円、事業費の約95%が借金です。関ケ原古戦場記念館は、今までの執行額と新年度予算を合わせると総事業費約53億円のうち、県債は約46億円と、86.9%が借金です。
こうした借金がもたらすものは、将来の負担増です。事実、実質公債費比率は2020を底に、再び悪化する見込みとなっています。

また、複数年かけて行う事業について現在の年度だけでなく将来にわたって債務を負担する債務負担行為も今後の財政見通しを見るうえで重要な指標の一つであると考えます。
この16年間を見ると、債務負担行為の新規分が微増し、2019年度は限度額が約865億7500万円に急増、2020年度は約407億1300万円と大きな金額が続いています。中には重要な事業ももちろんあり全否定するわけではないが、次年度以降の予算の自由度、弾力性が失われているのではないと考えます。

そこで知事にお聞きします。

中川ゆう子の質問

将来の県民生活への影響を考えると、県債頼みの予算について思い切って見直し、県債残高を下げることが必要ではないかと思う。実質公債費比率、債務負担行為の設定額の推移をどのように認識しているのか。またこうした指標の推移を踏まえた財政見通しをお聞きします。

知事の答弁

まず、県債の発行額でございますが、平成10年代前半に多額の県債を発行していたため、財政状況が極端に悪化したこともあり、平成21年3月に行財政改革指針を策定し、厳しく抑制をいたしました。
ざっと申し上げて、平成20年代前半から半ばにかけては、通常債の発行は抑制する一方、「国に強いられた借金」である臨時財政対策債が増加しました。そして、平成20年代後半から現在にかけては、臨時財政対策債は減少する一方で、社会資本の長寿命化対策等により通常債がじわじわと増加してきております。

次に、県債残高でございますが、右肩上がりで増加しております。この内容としては臨時財政対策債の累積が大きな要因になっております。通常債の残高をみれば、平成20年代に一貫して減少が続いたのち、平成30年、令和元年、2年と、インフラ整備の増加などにより漸増しておりますが、ピークである平成15年度と比べまして、1100億円程度減少してきております。

また、実質公債比率でありますが、平成23年度には19.7%と全国ワースト3の極めて厳しい状況にありましたが、先ほど申し上げた徹底的な行財政改革により平成30年には8.2%で全国4番目となりました。さらに、令和元年度の見込みでは6.7%、さらに新年度の令和2年度の見通しとしては6.0%と、一段と健全な水準で推移しております。

また、債務負担行為についてご指摘がありましたが、件数について増加傾向にあることは事実でありますが、これは、公共工事について適正な工期を確保するため、小規模な工事についても必要に応じて債務負担行為を設定するという方針にしたことによるものでございます。
また、限度額につきましては、内ヶ谷ダム新設、防災情報通信システム整備、そして県庁舎再整備といった特別な事案を除けば、概ね300億円から400億円台の水準で推移しております。

その上で、今後の見通しでありますが、県庁舎再整備以外の投資的経費を令和2年度と同額において試算をいたしますと、向こう10年間で、県債発行額は1100億円程度、県債残高は1兆7000億円台で、ほぼ微増ないし横ばいで推移をいたします。

一方、実質公債比率は徐々に上昇に転じ、令和11年度では8.9%程度にあるものと試算されています。これは近年の全国平均を下回る水準であり、中期的にも一定の健全性は確保できるものという風に思っております。

しかしながら、社会保障関係経費、あるいは社会資本の老朽化対策経費の増加など構造的な歳出増圧力がありますので、今後、財政規律に十分配慮し、節度ある財政運営に努めていく必要があるという風に考えております。

(3)関ケ原古戦場の魅力づくりに係る予算について

さきほど、多額の税金が投入される問題点としてあげました関ケ原古戦場記念館ですが、この夏にオープンとなります。建物の規模が2倍以上にどんどん大きくなっていることはたびたび申し上げてきましたが、県民が関ケ原古戦場の本物の歴史にふれ学ぶ機会は重要だと思っております。現地の史跡をめぐる際のボランティアガイドの皆さんなど、多くの地道な活動に心を寄せた観光施策であってほしいと思っておりますので、イベントのあり方をお聞きします。

新年度当初予算案では、7月の記念館開館式典とナイトイベント、10月の大規模な合戦再現イベントが計画されており、これらイベントの経費として4億7000万円余りが計上されています。

10月の合戦再現イベントでは、東西両軍で計17万人が戦ったとされる合戦にちなみ、1700人が出演、約1万7000人がイベントを観覧するという構想とのこと。

とくに、イベントは一過性のものであり、オープン当初だけ派手なイベントを行いその後は地元に押しつけることにならないか。県財政と県職員を疲弊させる結果になるのではと心配します。そもそもオープン時に何らかの節目のイベントがあるとしても、この厳しい財政状況のもと、ここまで多額の予算を投じて行うべきことなのか、これが県民生活の向上にどう結びつくのか、説明責任が求められると思います。
関ケ原古戦場の魅力は、本物の史跡と歴史が大好きな方々で作られていくものだということもあわせて申し上げておきたいと思います。

そこで3点目の質問です。

中川ゆう子の質問

来場者の目標が大きく引き上がり20万人を目指すとのことですが、その目標を達成するために、建物の規模だけで無く、イベントもどんどん大がかりなものになっているように感じます。その認識とこの事業の必要性を知事に問う。

知事の答弁

一般的に申し上げて、観光振興には「ブランドづくり」が必須であり、かつこれが大変な難題であります。そうした中で、関ケ原には、戦国武将という魅力的なコンテンツ、東西の分岐点における国の命運をかけた「天下分け目の戦い」という地理的・歴史的な物語性、ドラマ、映画、書籍での取上など、唯一無二の価値があり、すでに世界的といってよいほど知名度を誇るブランドであります。
また、海外においても、軍事戦略論や日本の戦国時代を学ぶうえで大きく注目されております。

しかしながら、これまで、その価値に比して、現地における実態が必ずしも伴っておりませんでした。現地に出かけ遠くの内外の歴史ファンあるいは観光客からは、しばしば失望の声も聴かれておりました。このため、かねてより、関ケ原というブランドに見合った観光拠点を整備し、岐阜ならではの戦国武将観光を展開して、国内外に発信していくことが強く求められてきたという風に思っております。

そのため、本県では、平成27年3月に「関ケ原古戦場グランドデザイン」を策定し、これに基づき、地元の関ケ原の皆さんとともに、関ケ原古戦場の磨き上げを着々と進めてまいりました。

例えば、史跡の修景、解説・案内サイン整備、史跡ガイドの養成、ウォーキングコースやサイクリングコースの設定など環境整備のほか、関ケ原古戦場の新たな魅力創出のために、古戦場ゆかりの武将イベント、東西花いけバトル、東西人間将棋、東西グルメ対策など、多彩に開催してきたところであります。

また、「世界の関ヶ原」として、平成28年に、ゲティスバーグ、ワーテルローとともに、連携協定を締結し、世界三大古戦場サミットを、関ケ原の地で開催いたしました。その共同宣言では、「戦場に赴いた人々に思いをはせ、戦いの意味、そして平和の意味を人々に問いかける場所、それが古戦場です。」と高らかに宣言をし、第一に、平和の大切さを感じられる古戦場、第二に、戦いの歴史と向き合う古戦場、第三に、お互いにその価値を認め合い、交流を続ける古戦場という三原則をアピールしました。以来、3者間で展示や交流などを積極的に進めてきております。

その結果、関ケ原古戦場の昨年の観光入込客数は約26万人と、着実に成果が出てきております。
折しも、本年は、関ケ原の戦いから420年の節目にもあたり、大河ドラマ「麒麟がくる」も放送されるという戦国武将観光の展開には絶好のタイミングで、まさに「時は、今」ということでございます。

そこで、関ケ原古戦場の磨き上げの節目として、本年7月に「岐阜関ケ原古戦場記念館」をオープンいたします。平成27年のグランドデザインにおいて記念館を提案して以来、5年の年月をかけて、地元関係者、有識者など多くに方々から意見をいただきなたら検討を重ねてきたものであります。愛称を「関ケ原メモリアル」とし、関ケ原古戦場の観光拠点として、グラウンドビジョンやシアターによる関ケ原の戦いのリアルな体験、戦国時代を中心とする展示、インフォメーションセンター、展望フロアなどを整備しております。

また、これまでも、関ケ原におけるイベントでは戦国武将の子孫にもお集まりいただきました。「徳川さん」、「石田さん」、「島津さん」などと声を掛け合いながら、全国的なゆかりの地の交流を図ってきたところであります。本年秋に予定している合戦再現劇「古戦場まるごと甲冑フェスティバル」では、関ケ原の戦いの10分の1のスケールで再現を企画し、全国に広がるゆかりの武将の出身地から多くの方々においでいただきます。こうした試みにより、関ケ原交流の輪を全国的に広げることができるのではないか、そして、本県の魅力や存在感を大いに発信できるのではないかと考えておるわけであります。

中川ゆう子の再質問

まずはじめに、関ケ原古戦場記念館のイベント関連なんですけれども、先ほど知事は平成27年のグランドデザインから、ずっと練り上げたということなんですが、当時のこの古戦場記念館の当初の規模というのは、地元の議員の方に提供されたものでは、だいたい5億円から6億円規模のものであったと、それが平成27年からのずっと練り上げによって、今53億円にまで増えております。さらに、今回、4億7千万円のイベントをすると。その前段階の答弁で、節度ある財政運営を心掛けていくとおっしゃられましたけれども、これ整合性が取れているとは私は思えないのですが、その点についてお考えを伺いたいと思います。決してこの関ケ原古戦場の魅力そのものを否定しているわけではなく、やはりこの主役は史跡であって、歴史ファンの方々なんです。イベントのあり方については、検討をし直すべきではないかと思います。

知事の再答弁

まず関ケ原についてでありますが、記念館について議論していく中で、当初のスケールですと積極的にもですね、本当にこれが世界に冠たる関ケ原の記念館として、アピールできるだろうかという議論をしながらも、限られたスペースでやっていこうというところからスタートしたわけではありますが、幸いにも関ケ原町の方からあそこの隣接施設を廃止するということで、さらに土地が活用できるということになりましたので、その分を含めて現在のような設計で、これならなんとかアピールできるのではないかということで、予算的にはもちろん増えてまいりましたけれども、いろんな検討を重ねた結果、これで行こうということになったという経緯があります。

それから、イベントについてでありますが、今回のイベントのですね、2分の1は国の地方創生推進交付金をいただいて使うことになっております。したがって、この関ケ原というブランドづくりについては、国からもですね、それなりのご評価をいただいているという風に私は思っております。私、しばしば節度ある、今回の予算についてですね、節度ある積極予算という風に申し上げておりますので、伸ばすべきところは伸ばす、重点的に的に伸ばすべきところは伸ばす、しかし、全体としては先々の見通しも考えながら、一定の節度を保つという節度ある積極予算ということでご理解いただければ大変ありがたいと思います。

(4)新型コロナウイルス感染症対策とその予算について

多くの方が質問されておりますので、私からは、今後の検査や相談体制、対策費の予算化の2点について伺います。

現在、PCR検査や治療までの流れは、県や岐阜市の保健所などの一般電話相談窓口や一般医療機関から、帰国者接触者相談センターを通じて県内20箇所の医療機関にある帰国者・接触者外来で診察、新型コロナウイルスの感染が疑われる場合に検査を行う、という流れになっています。

この一般相談窓口に寄せられた相談は2/27付けの資料で2570件にのぼっているようです。

先日知事より、県や岐阜市のPCR検査を一日40件から80件、最大120件まで増やすと答弁があったところですが、そうであるなら、センターや一般電話相談窓口、検査体制の人員についても増やす必要があるのではと思います。

①今後の検査・相談体制の強化について

中川ゆう子の質問

検査体制や相談体制を現在の人員ですすめていってよいのか。体制強化の必要性について伺います。

知事の答弁

まず、感染症患者の早期発見及び感染症防止対策のためには、しっかりとした検査体制を取る必要がございます。
本県は、医療機関の要請があれば弾力的かつ積極的に検査を行う方針を徹底しており、2月28日に取りまとめた「新型コロナウイルス感染症対策総合アクションプラン」においては、岐阜市と連携し、県内の検査能力を1日80件に拡充するとともに、これを超える検査数が必要となった場合には1日最大120件の検査を行こととしております。これに伴い、2月29日に、県保健環境研究所及び岐阜市衛生試験所において、人員を含め必要な体制強化を図ったところでございます。

また、1月27日から設置している一般電話相談的口につきましては、2月21日に他県在住の陽性患者が県内に滞在していたことが判明して以降、相談件数は1日200件から300件にまで増加しております。
そのため、岐阜市と連携し相談受付時間を延長することとし、2月28日から、県保険医療課と岐阜市保健所における相談時間を平日・休日ともに午後9時までに延長しているところであります
相談の急増に対応した体制でありますが、新型コロナウイルス感染症に関する相談対応マニュアルを作成したうえで、感染症対策を担う県保険医療課の保健師だけではなく、他所属の保健師や事務職員の応援態勢を敷くことで、相談業務にあたる職員負担を軽減しております。

なお、発熱、呼吸器症状を訴える相談につきましては、県の保健所7カ所と岐阜市保健所に設置した「帰国者・接触者相談センター」において、すでに24時間対応を前提とした体制を敷いております。

そして、今後、資金繰りの相談を含め、業態ごとの相談が増加することが見込まれます。そこで、アクションプランに盛り込んだとおり、県内中小企業・小規模事業者のほか、観光、農業、林業・木材、建設等々、各関係事業者を対象とした個別の相談窓口を立ち上げ、きめ細やかに対応しているとことでございます。

以下のような取り組みにより新型コロナウイルス感染症に対する相談・検査体制の強化を図っておりますが、さらに、今後の状況の変化に応じ、機動的に体制の強化を図ってまいります。

②対策費の予算化について

さらに、県内の地域経済、企業や雇用へ深刻な影響も確実に出てきております。特に学校の一斉休業やイベントの自粛により、不安定な雇用の方やフリーランスの方々の仕事がなくなる事態になっています。国では学校の一斉休業によって仕事を休んだ場合は、その保護者に賃金を払った企業には10割が助成されますが(日額8330円上限)、国や県の要請により集会やイベントを中止し収入が途絶えたフリーランスや自営業者に対しては現時点で融資などの貸付制度しかありません。企業へは10割助成で、フリーランスや自営業には融資、いわゆる借金しかないといいうことで国の救済措置に差が生じています。こうした事態を受けて、山梨県では国の休業補償が受けられない場合に独自に休業補償を行うことを発表しています。

そこで2点目としてこれも知事にお聞きします。

中川ゆう子の質問

新年度当初予算概要の表紙では、「新型肺炎などの課題・懸案について、本県への影響を最小限にすることも忘れてはならない」とあります。現在、地域経済、県民生活への影響はすでに出ている。先日、年度内の補正予算が追加で出されたことは大変良かったと思いますが、県の新年度予算の中には何も示されておりません。補正予算は検査機器や備品、買い占め防止策、子どもの心のケアが中心でしたが、その他の県民への影響についても事態はかなり深刻であり、生活そのものが立ちゆかなくなる危険も出てきています。特に、国や県による要請(決定)で学校の一斉休業やイベント開催の自粛を行ったゆえに受けた損失については、他県のように休業補償などしっかりと助成することが必要ではないかと考える。
こうした対策について新年度予算として組むべきではないでしょうか。

知事の答弁

この問題につきましては、1月下旬に愛知県で感染が確認されたことから、本県においても事態が深刻化したという風にとらえて、対応を開始いたしました。
まず、移送車や陰圧装置などの追加配備、県内宿泊客の落とし込み対策など、すぐに取り組むべき緊急的な案件について、予備費などの規定予算を活用し、個々の案件ごとに対応してまいりました。

その後、先月26日に、本県で初の陽性患者が確認されるなど、事態はさらに深刻化したことから、県議会、市長村などと連携した「オール岐阜」の体制のもとに「新方コロナウイルス感染症対策総合アクションプラン」を取りまとめました。
そして、今週早々、このアクションプランを実行するにあたり、当面必要となる対策を分野横断的に洗い出し、パッケージ化したものを、補正予算として追加で上程させていただき、お認めいただいたものであります。

他方、新年度につきましては、時々刻々と状況が変化している現時点において、この先、年間を通じた経費を盛り込むことはなかなか困難であります。したがって、まずは、感染症の検査の実施、患者の入院治療費として、現在来年度予算に献上しております感染症対策予算3億5400万円の中で、詩型コロナウイルス感染症対策についても、まずは対応してまいりたいというふうに思っております。

一方、今後の感染拡大の状況に応じて、県経済への影響拡大も懸念されるところであります。
県においては、県内中小企業事業者向けに「新型コロナウイルス関連融資相談窓口」を2月5日から設置しているほか、個々の事業者向けの観光、農業などの相談窓口も開設しております。
また、資金繰りへの支援として、県中小企業資金融資制度の要件を緩和したほか、経営に影響が生ずる中小企業の資金調達を支援するため、新たに「新型コロナウイルス感染症対策資金」を設け信用保証料の一部を支援する取り組みについても、既定の予算を活用して、昨日から実施しているところでございます。こうした中、国において、今月10日をめどに緊急対策費をまとめられると伺っておりまして、相当思い切った対策になるとも伝えられるわけでありますが、その助成支援の内容を見極めたうえで、県としての対応を検討してまいりたいと思っております。

いずれにしましても、一昨日、玉田議員あるいは林議員の代表質問でもご答弁申し上げまいたが、県財政や政策展開への影響を踏まえつつ、既定予算の中での対応、予備費の活用、さらには補正予算による追加など、必要に応じて機動的に対応してまいります。

中川ゆう子の再質問

「状況が変化しているため、新年度予算の中で新たに予算化するのは困難であり、3億5400億円内で対応したい」と、また、「今月10日の国の動きを見極めたうえで対応したい」ということだが、見極めたうえで、どのように、いつ対応するのか、要するに今議会の会期中に当初予算も含めて対応する考えはあるのか。

知事の再答弁

いろいろと伝えられておりまして、この10日に相当思い切った対策が出るということでございますので、私どもとしては、その結果、直ちに県としてこれにどう対応するか、県としてさらに上乗せすることがあり得るのかないのか、あるいは、それにあわせて関連の施策を講ずるのかとか、直ちに検討させていただいて、場合によれば再度補正予算を今年度予算ということでお願いするかもしれませんし、場合によれば、来年度予算の修正ということでお願いするかもしれませんが、いずれにしても相当思い切った対策が出てくるということについて、まずは見極めて、そのうえでいろんな選択肢を考えていきたいと思っております。

中川ゆう子の再々質問

新型コロナウイルス多作で検査体制とともに今問題になっているのは、影響が出ている方々の生活保障である。国の今の制度は企業に対して10割の助成だが、フリーランスや自営業の方々は貸付制度、融資しかない。(関ケ原古戦場記念館についての答弁で)積極的な予算と言っていただいていたが、(一方コロナ対策予)今回3億5千万円の予算内での対応はあまりにも少なすぎるのではないか。関ケ原のイベントは4億7千万円であり、ぜひ、本来、今必要なところにお金を使っていただきたく、それこそ県の魅力発信だと思う。休業補償についてどのように対応するのか、国の支援制度から外れた方々を保証するというのが山梨県の対応だが、そういった考えはあるのか。

知事の再々答弁

まずは積極予算ということにご理解いただいたということで、そのことについてはありがたく思っています。
今回の突然の決定で臨時休業といいますか、学校を次々と閉じていったわけでありますし、それとの関連でいろんなところが閉館をしたり閉じられたりしているわけです。どこまでが要請なのか、どこまでそれに連なって自発的にやるのか、とにかく学校の臨時休業というのが社会的にいろんなところに影響を及ぼしておって、それをどういう風に見極めて、どういう風に政策的に応援していったらいいのかということをよく考えていかなくてはいけないと思っておりまして、したがって、国の対策と申し上げましたが、国がどこまでやるのか、何をお考えなのかということと、それから県内の具体的な現場の実情とか声を踏まえながら対応を考えていこうという思いでおります。

今ある予算が少ないという話でありましたが、まさに何がこれから出てくるかわからない、どういう展開になるかわからない、あるいは極端な場合パンデミックになったらどうするかとか、そういうことを考えますと、あらかじめいくらという風に決めて枠組をつくるということではなしに、まさにこの問題は事態の変化とか、それから現場での様々な実情とかご要望とか、そういったことを丁寧に見極めて行政としてどこまで対応できるかというのを考えていくと。しかも、これはスピード感をもってやらなくてはいけないということでもありますし、市町村や医療機関やいろんな方々と連携をとってやらなくてはいけないということでありますので、スピード感と連携ということで考えてきたいという風に思っております。

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