中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

3月議会(1)新年度予算について

2018年3月12日 11:45 am
カテゴリ: 活動報告

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平成30年度岐阜県予算について

 

アベノミクスが始まって5年。資本金10億円以上の大企業の利益は2.5倍、内部留保は80兆円上積みされ400兆円を超えました。一方、労働者の平均実質賃金は5年で年収ベース16万円低下、世帯年収は実質7万円近くもマイナスになっており、国民生活基礎調査によると「前年より貯蓄が減った」という世帯が40.1%にもなりました。

富裕層がさらに巨額の資産を増やす一方で、国民は生活のために貯蓄を取り崩している実態が浮き彫りになっています。

 

県においては、新年度、生活困窮者の就労準備支援、学習支援、子どもの貧困実態調査、障がい児の入所する保育所への療育支援など、県民の要望を受け止めた施策も見られますが、

どうか、こうした生きていくのに精いっぱいという、県民の声なき声を集め、施策に反映していただきたいと思います。

 

また、こうした政策展開を柔軟に行っていくためにも、県の借金である県債残高を減らすことは必要不可欠です。予算議会ですので、新年度予算案と財政運営について知事に3点、総務部長に1点お聞きします。

 

1、県債残高が過去最高になっていることについて

 

財源不足を補うため前年度比1.1%増の1169億円を新たに発行し、H30年度末の県債残高は1兆5773億5200万円と過去最高額を更新することになりました。これは前年に比べ約260億円も増えています。

 

29年前の平成元年と比べると、その額は4.83倍にもなっており、借金依存体質がますます深刻になっていると感じています。

 

国でまかなうべき財源を国に代わって借金する臨時財政対策債以外の県債においても、発行を抑制しているというものの残高は前年度より増えており、県債残高を減少させるには、県債発行を見直すしかありません。

 

新年度の県債発行の内訳で最も額が高いのは、国の直轄道路事業関連であり、H30年度は約193億円に上っています。具体的には「東海環状自動車道西回り区間およびインターチェンジアクセス道路の整備推進費202億8000万円のうち県債は約186億7600万円。これらは国の直轄道路や国に代わって県が進める大型公共事業でありながら、国庫からの支出金は少なく、県債の発行を強いられるため県の財政悪化の大きい要因になっていると考えます。

 

また、関ケ原ビジターセンターはH30年度予算1億144万4000円のうちのほとんどである9120万円が県債で賄われることとなっています。

 

中川ゆう子の質問

 

そこで知事にお聞きします。

借金依存体質の原因は、こうした大型公共事業であり、これら現在進行中の主要事業を見直さないかぎり、財政健全化はできないと考えるが、お考えをお聞かせ下さい。

 

知事の答弁

 

県債には、道路、河川、建物などのハード整備に充てるための通常債と、地方交付税の代替財源としての臨時財政対策債の2つがございます。

 

このうち、通常債の残高は平成20年度以降着実に減少してきております。本年度末残高見込みは9千5百億円程度と、過去最大規模でありました平成15年度の1兆1千3百億円と比較しますと1千8百億円、約16%の減ということになっております。

 

その結果、公債費につきましては、平成21年度の1千3百42億円をピークに、来年度予算では1千49億円と、9年連続で減少するとともに、実質公債費比率につきましても平成23年度の19.7%をピークに、5年連続で着実に減少し、平成28年度は11.8%となっております。これは、全国で18番目と、中位より良好なレベルということになっております。

 

一方、臨時財政対策債につきましては、制度が創設された平成13年度以降、累増し続け、その結果、6千億円と、県債残高全体の40%近くの水準となっており、これが県債残高全体を押し上げた主たる要因であります。

 

この累増する臨時財政対策債につきましては、その元利償還金は全額交付税算入されておりまして、制度的には県財政悪化の要因にはならないという性質のものであります。ただ、厳しい国の財政状況を考えますと、交付税財源が限られるなか、将来的に償還額の増加に必要な財源が確保されるかどうか懸念もございます。

 

このため、全国知事会としては、国に対し、臨時財政対策債の発行額縮減に努めるとともに、持続可能な地方財政制度を確立に向けて、地方交付税の法定率見直しも含めた抜本的見直しを行うよう、働きかけているところでございます。

 

また、東海環状自動車道や関ケ原古戦場ビジターセンター整備などの事業を見直してはどうかという実問がございました。

 

ミッシングリンクとなっております東海環状自動車道西回り区間の整備は、すでに約3万6千人に上る雇用を創出するなどの効果をあげている東回り区間とい一体となることで新たな地域連携が見込まれ、中部圏の産業・観光発展をさらに加速させる絶大な効果が見込まれております。

 

また、関ケ原古戦場ビジターセンターは、極めて高い知名度を誇りながら、十分誘客に繋げられていない関ケ原古戦場の観光振興の起爆剤として、また、世界三大古戦場にふさわしい新たなシンボル施設として、周辺観光地と連携した広域観光の拠点施設として、必要不可欠と考えております。本件の予算におきまして、これらの不可欠な取り組みのための財政需要を含めまして、向こう今後10年程度の県債発行額の平均を、来年度当初予算の水準程度で推移させることで、実質公債費比率は10%前後というまずまずの水準で推移するものと見込んでおります。

 

 

 

2、建設費だけでなく、維持管理費も踏まえた公共施設の見直しについて

 

公共施設総合管理基本方針にあるように、建物やインフラの維持管理費の負担が大きな課題となっているが読み取れます。

 

これらの問題は老朽化した建物にどうしても焦点が当たってしまうが、これから建設されるものにも同様の視点で見る必要があるのではないでしょうか。

 

さきほど述べた、関ケ原ビジターセンターは、先の議会で建設費が50億円を超えないようにするとの答弁がされましたが、別棟として新たに計画されるレストラン・売店を合わせると合計で52億円の見通しになります。ほんの1年前までは議会に事業費20億円と説明されていたが、どんどん規模が大きくなってきています。その財源のほとんどが県債で賄われているというだけでなく、将来にわたる維持管理費も相当なものになると思われます。

 

中川ゆう子の質問

 

現在建設が進められているものについても、将来の維持管理費が大きな負担になるという視点で、建設の見直しをすべきと考えるがいかがお考えか。

 

知事の答弁

 

ご質問にありましたように、既存の施設につきましては、「岐阜県公共施設等総合管理基本方針」に基づきまして、「予防保全」の考え方を取り入れ、平成27年度から平成50年度までの間の維持管理費を含めた建物に要する経費を30%程度削減することとしております。

 

また、電気・ガス料金に入札制度を導入するほか、LED証明への切り替えを進めるなど、光熱水費を削減することにより、維持管理費の削減に努めております。

 

また、新たな施設を整備する際にも、ランニングコストを含めた財政上のインパクトを慎重に見定めたうえで、整備に着手することとしております。

 

具体的には、既存施設と同様に、長期間の使用に耐えうる施設として、また、省エネルギーに配慮した施設として、維持管理費を考慮してまいります。

 

 

3、県庁舎建設が新年度予算案における県財政に及ぼしている負担について

 

国では、地方公共団体の基金の増大に焦点をあわせ、地方財政に余裕があるかのように宣伝し、地方財政削減を進めようとしています。地方6団体は「断じて容認できない」との共同声明を出し削減を許していませんが、まだまだ予断を許さない状況です。

 

しかし、岐阜県では基金について別の問題が発生しているのではと考えます。

財政調整基金が激減しているという問題です。

 

一昨年末、H27年度末に約323億円あったのが、新年度予算によるとH30年度末にはわずか約35億円まで減少する見込みになっており、なんと3年で約9割の減。1/10になっています。

 

この財政調整基金はいくらが適切と言い切れるものではありませんが、他の自治体や国会での答弁では、たとえば標準財政規模の5%という目安もあるようです。

岐阜県のH28年度の標準財政規模は4732億あまりだそうですので、5%は230億円前後にあたります。

 

この財政調整基金は、H27年度は100億円、それ以降3年間は毎年110億円が連続して大幅に取り崩されてきました。

一方、県庁舎整備に使う県有施設整備基金はH25年度から積み立てが始まり今年度末までで230億円が積み立てられる見通しであり、県庁舎建設のための多額の基金を短期間で積み立てたことが、財政調整基金をここまで激減させた原因と言えます。

 

そもそもこの財政調整基金の役割は、景気変動や災害など不測の事態が起きたときに、安定した行政サービスをいじするため最低限必要なものとしてのものであり、新年度予算の35億円は本来の役割を果たせるとは思えません。

 

中川ゆう子の質問

 

新年度予算では財政調整基金が激減しているが、新年度、経済事情の変動による減収や災害など不測の事態が発生した場合、どう対応するのでしょうか。

また、県庁舎建設が、県財政や住民生活へのしわ寄せを及ぼしていることは明らかであるが、知事の見解をうかがいます。

 

知事の答弁

 

財政調整基金は、財源に余裕のある年度に積み立てを行い、不足する年度に取り崩すといった年度間の財源調整を行い、安定的な財政運営を行っていくために置いているものでございます。

 

来年度は30億円まで減少すると見込んでおりますが、これは、社会保障関係経費が増大する中で、県庁舎の建替えも含めて、施設の老朽化対策といった構造的に増加する財政需要が生じてきており、結果として、年度間の財政調整の役割を果たす税制調整基金が減少するものでございます。

 

なお、この35億円は、来年度当初予算ベースのものでございます。これまでも年度途中の執行段階での経費節減努力により取り崩しを減額してきております。

 

具体的に最近の例を申し上げますと、平成27年度当初予算で153億円とお示ししておりました財政調整基金の年度末残高は、最終的には323億円となっております。同じく、平成28年度予算時点では、148億円とお示ししておりましたが、最終的には254億円を確保しております。

 

また、不測の事態が発生した場合の対応をお尋ねいただきました。例えば、景気の低迷など、法人事業税が減収となる場合には、地方交付税が追加される減収補てん制度がございます

 

また、一定規模以上の災害が発生した場合には、道路、河川などの次節の災害復旧事業については、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づき、少なくともその3分の2は国庫により負担されるとともに、残りの経費のほとんどを地方交付税で措置できるよう制度化されております。以上のような、いわばセーフティネットはございますが、もちろん、その他の緊急的な財政需要もあり得るわけでございまして、より安定的な財政運営を行うためにも一定水準の基金残高を確保しておくことが望ましいという風に考えておりまして、今後とも、財政調整基金の確保に努めてまいります。

 

一方、県庁舎の建替えは、現庁舎の老朽化に加え、大規模地震発生時に災害対策の中枢拠点として、十分に機能できる耐震性が満たされていないことから急務であると考えております。

 

建て替え後の県庁舎では、常設の災害対策本部スペース、備蓄庫を整備するほか、県民と職員が相談、対話ができる面談室を十分確保するなど、現庁舎が抱える課題を解消し、県庁舎が整えるべき機能を満たすこととしております。

 

これまでに岐阜県庁舎再整備検討委員会での議論のほか、パブリックコメント、職員からの意見などをふまえた上で、必要な規模、内容のものとしたわけでございます。

 

この建替え費用は500億程度と見込んでおりまして、短期間に、県財政に対して大きな影響を与えないよう、県庁舎整備のための基金と県債を活用してまいりたいというふうに考えております。

 

具体的には、基金については、250億円程度を目途として、計画的に積み立てをこれまで行ってきた結果、今回の補正予算における積み立ても併せますと、累計で230億円ということになっております。今後とも、節減に努めつつ、補正予算の機会を捉え、県庁舎再整備基金への積み立てに努めてまいります。

 

同時に、「『清流の国ぎふ』づくり 深化と挑戦」のための必要な政策も積極的に展開することとし、予算全体として、節度とメリハリの双方に目配りをしたところでございます。

 

中川ゆう子の再質問

 

人口減少、高齢化社会による2025年問題の中、県庁舎建設の県債償還が増えれば、今後今以上に借金の返済が苦しくなり、住民生活に影響を及ぼすのではないか。

 

知事の再答弁

 

まず、最初の答弁で申し上げましたように、平成15年あたりの状況からどう脱却して返していくかということについてこれまで努力してきて、それなりの結果を得てきたという中で現時点の財政運営としては、そうではあるけれども後戻りはさせてはならないということで、メリハリをつけて優先順位をつけてやっていこうという基本方針のもとに色々と工夫、努力を込々で予算と組み立てているということであります。

 

特に、このところ老朽施設の長寿命化問題、これは相当な金額が必要でありますし、これから庁舎の問題もありますし、これから東海環状西回りもありますが、必要なものは必要なものとしてどう飲み込んでいくかということについて全体のバランスを考えながらやっていこうということでございます。

 

そういう中で、一つの指標として実質公債費率がつまり予算の中で過去の借金の返済費の占める割合が過去においてほぼ2割まで行ったと。全国ワースト3までいったという中で、なんとか10%程度に維持していこうではないかと。向こう10年間もろもろの事情も呑み込んだ上で、尚且つ実質公債費率が1割程度の水準で吸い出来るんであればまあ中長期的な持続可能な財政運営と必要なことの実行ということのバランスが取れているんではないかという私なりの判断を申し上げたところであります。ですから、10%程度の推移というのは、長寿命化対策も県庁の問題も一通り全部呑み込んだ上で、尚且つその水準をなんとか維持できるような予算編成を打っていこうと、飲み込んでこうということでございます。

 

中川ゆう子の再質問

 

財政調整基金の決算は結果論であり、本来の役割は予算で定めた収入が入らなかったときに補填するもの。県庁舎再整備が県財政に過重な負担を及ぼし、財政調整基金が不測の事態に備えられないのではないか。

 

知事の再答弁

財政調整基金でありますが、先ほどご答弁申し上げましたがいくつかの不測の事態についてはセーフガードの措置があること。制度的にセーフガードの措置があることの上で、尚且つ、どの程度用意できるのかということで当面は今回35億という数字をお出ししたのは、とりあえず今、出しうる数字だということでお出ししたわけでありますけれども、そこに今後の節約努力を重ねていって、このころ100億以上、当初の予算を上回って積み上げているわけでありますから、そういう努力もやっていこうと。努力をし、工夫をし、いろんな目配りをしながら、あるバランスの中で、まずますのところで必要なことをやっていこうということを私としては申しあげ考えているつもりであります。

 

中川ゆう子の再々質問

 

県庁舎の建替えも飲み込んで公債費率を維持していくというが、総務課長は現時点で県庁舎にかかる総事業費がはっきりと答えられない。さらに県民サービス棟をつくるとなるともっと事業費がかかることが考えられる中で、今の実質公債費率を維持していきたいという考えは認識が甘いのではないか。

 

知事の再々答弁

 

私が申しあげておりますのは、今現在の想定される予算を前提に、向こう10年間来年度と同程度の県債発行が続くということで、実質公債費率が大抵の水準に落ち着くであろうということを申し上げておるわけでありまして、今後、具体的に庁舎の建て替えの詳細が定まってくる中でこういったことも片隅に置きながら、どういう数字がいいのか、どういう数字に落ち着かせていくのかということも検討しなければいけない。あるいは、実施設計で固まってきた数字が、果たして今申し上げましたような大きな枠の中で飲み込める数字かどうかということは、当然検討しなければいけないという風に思っております。

 

「財政調整基金は、無い無い無い」とおっしゃいますけれども、そこはもちろん厳しい段階になることはわかっておるわけでありますけれども、工夫と努力をして毎年同様、積み増やすことをやっていきたいということでございます。

 

 

4、財政調整基金の積み立てルールについて

基金についての私の考えですが、現在は医療や介護、子育てなど、岐阜県には取り組むべき課題が山積みで、こうした課題の解決にこそ税金を活用してくべきだと考えおり、無闇に多額の財政調整基金をため込むべきではないと考えています。

 

しかし、財政調整基金は、県庁舎建設でお金が必要だからといって取り崩してしまう性格のものでもないはずです。

このやりかたを続ければ、県の財政運営の弾力性は低下し、県民要望に的確に応えていくことがさらに困難になると想定されます。

 

財政調整基金のため込みすぎや取り崩しすぎなどを防ぐため、過去の災害時の取り崩し額を参考に災害時に必要とされる推計額や、標準財政規模などの指標から一定割合を算定するなど、一定の基準をもつ必要も感じたところです。

 

中川ゆう子の質問

 

財政調整基金の積み立てや取り崩しのルールを設けるべきと考えますが、総務部長のお考えをお聞きします。

 

総務部長の答弁

 

財政調整基金は、年度間の財源調整を行い、安定的な財政運営を行っていくために措置しているものであり、これまでも、その時々の状況に応じて柔軟に対応した結果、各年度によって基金残高が増額をいたしております。

 

こうした財政調整基金の趣旨や性格に照らせば、積み立て及び取り崩しについて厳格なルールを設定することは、基金措置の趣旨になじまないものと考えております。

 

従いまして、現在、ルールを定めてはおりませんが、考え方といたしましては、ご指摘のように、むやみに基金を積み上げることは問題である一方、より安定的な財政運営を行っていくためには、一定額を確保する必要があると考えており、先ほど、知事から申し上げました通り、これまでも適切に基金残高を確保しているところでございます。

 

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