中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【21年12月議会最終日】2020年度決算について問題点を指摘し討論しました

2021年12月17日 9:00 am
カテゴリ: 毎日の活動

県議会閉会日の決算に関わる討論。12月16日、午前。

12月16日、午前の県議会閉会日の決算に関わる討論をしました。以下に討論をした内容を掲載します。

議第101号 令和2年度岐阜県一般会計歳入歳出決算

まずはじめに、令和2年度は感染の波が次から次への大きくなる中で、検査や入院といった感染症の対応、協力金などの支給作業など、県庁や保健所をはじめ多くの県職員が昼夜を分かたず奮闘されておられました。敬意を表するとともに、深く感謝もうしあげます。

[コロナ対策の財源について]

5月臨時議会で県庁舎建設のための基金を県有施設整備・新型コロナ感染症対策基金に変更する条例改正と、県庁舎整備に充てる県債を増やすことで、岐阜県はコロナ禍に対応するための財源を作りました。

こうした想定外の事態に備えるのは本来、財政調整基金の役割でありますが、この間、財政調整基金を取り崩し、県庁舎建設のための整備基金に積み替えてきたことが影響していると考えられます。

コロナ対策に充てる財源を緊急に確保した姿勢は重要だったと思いますが、今進められている新県庁舎建設の財政負担が、何重にも県財政に無理を生じさせていることを申し上げておきたいと思います。

[県債について]

さらに、県債残高は増加しており、その要因は県庁舎や道路建設といった大型公共事業です。

特に以前から申し上げているように、国直轄道路負担金の県債発行額が県債全体の中でダントツに高く、国の事業でありながら国の負担額に比べ地元負担が非常に重いという問題があります。

一方で、同じ道路予算でも、老朽化した道路の修繕、通学路をはじめとする道路の安全対策などの維持管理予算は、県民要望に十分に応えられていない状況であり、公共事業の重点を切り替えていく時だと考えます。

[コロナ禍での対応について]

相次ぐ外出自粛の影響は、地域経済に深刻な影響を及ぼしました。帝国データーバンクの調査結果のように、あきらめ型廃業が一気に進んでしまっており、全国4位という結果は重く受け止めるべきです。

特に夜営業の飲食店以外の店舗は、飲食も小売りも協力金の対象から外れ、対象や業種を限定せず減収した事業所を幅広く支援してほしいという要望は街に溢れていました。

また、シフト制で働く非正規雇用を中心に大幅な収入減に苦しみ、その多くが働く女性であったことも深刻な問題となりました。こうした問題に対し国も行政も有効な手を打てておらず、深刻な状況は現在も続いています。

このように、県民生活が危機的な状況になったにも関わらず、県の令和2年度の実質収支は例年以上の大幅黒字になっていることは見過ごせない矛盾です。

近年の岐阜県の実質収支は、毎年70億円から80億円前後の黒字で推移していましたが、令和2年度は約212億円もの黒字、前年比176%増で、過去最大級です。

国の交付金の在り方にも問題があると思いますが、支援を必要としている方の救済に充てることができなかったのでしょうか。

地域医療構想に基づく病床削減に対し支援金を給付する病床削減支援給付金の事業が、県独自の医療体制が発せられている中で進められてきたことも、大きな矛盾だと言わざるを得ません。

令和2年度は3病院で病床削減支援給付金によって病床削減が行われています。医療に過剰な効率性を求めてきた結果、感染症に対応しきれない医療体制のぜい弱性の問題が顕在化しました。これを教訓に医療体制の充実こそ必要だと思います。

最後に、私はコロナ禍を経験し、県民の命をまもる要として地方自治体が果たしている役割は大変重いことを再認識させられました。多額の税金を費やし多くの県職員が疲弊してしまうような大規模イベントはこの際大きく見直しし、命や暮らしに直結する生活応援施策を一層充実させる県政へ転換することを強く求めます。

議第106号 令和2年度岐阜県県営住宅特別会計歳入歳出決算

コロナ禍による失業や収入減により、突然家賃や住宅ローンが支払えなくなるなど、これまで福祉行政の窓口とはあまり縁がなかった方々が突然住宅に困窮する事態が増加しました。

年度当初より、住まいを失う事態になった方が受ける住居確保給付金は、岐阜県においてもけた違いの利用数となっており、公営住宅のニーズは間違いなく高まっています。

岐阜県ではこれまで、入居率が低い県営住宅を中心に集約化を進めてきましたが、入居率が低い原因は、住宅ニーズがないのではなく住みづらい住環境にあります。

たとえばエレベーターがない住宅には高齢者は住むことはできませんし、3階、4階となると元気な方でも躊躇します。

こうした県営住宅の入居率低下の原因について放置したまま、集約化をすすめるのではなく、まずは住環境の改善をすべきです。

また、国土交通省が保証人の確保を入居の前提とすべきでないという通知を出したにも関わらず、岐阜県では入居時の保証人要件を撤廃しておらず、実際に、コロナ禍でこの保証人要件が入居の障害となっています。

県営住宅が本来のセーフティネットとしての役割を十分果たすことを求めます。

議第108号 令和2年度 岐阜県国民健康保険特別会計歳入歳出決算

令和2年度は、前年度比3割以上の減収が見込まれる世帯への特例減免制度が創設され、多くの方に利用されました。

しかし、全額免除など大幅減免が実施される一方で、所得ゼロの方は減収していても減免されず支払い義務が生じるという制度の欠陥が生じています。

また、そもそも低所得者が多いにも関わらず、保険料そのものが支払い能力を超えて高く設定されているという構造上の問題は、解消されておりません。

これら国の制度設計の問題点が加入者の生活に及ぼす影響は深刻です。県は市町村に対し、保険料を引き下げるための一般会計からの繰り入れを解消することを求め続けていますが、本来はこの実態を解消するため保険料を引き下げる方策を自ら検討すべきです。

議第111号 令和2年度 岐阜県徳山ダム上流域公有地化特別会計歳入歳出決算

先の議第147号と同様の理由で承認できません

決算について以上のように、県民の皆さんの県税や保険料などを県民の皆さんのために正しく使うことを求め、討論を行いました。多くの声を受け止め、県議会に届けることを引き続き行っていきます。

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