中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【2021年12月議会質問③】県内高齢者施設での高齢者虐待防止の取組みについての質問

2021年12月13日 10:50 am
カテゴリ: 活動報告

3.県内高齢者施設での高齢者虐待防止の取組みについての質問。12月10日、午前。

12月10日、午前に「3.県内高齢者施設での高齢者虐待防止の取組みについて質問をしました。質問と答弁の概要を掲載します。

[中川 質問]

県内特別養護老人ホームにおいて介護放棄いわゆるネグレクトがあったとして、のちに亡くなられた4名のご遺族が昨年9月、施設責任者に対し損害賠償をもとめる訴訟を起こされました。

訴えの内容は、2020年9月29日付の岐阜新聞によると、「2019年5月、「給料の未払いなどが原因で施設の27人の職員のうち介護職員ら26人が一斉退職した。

そのため応援職員の数名で25人ほどの入居者の対応をしていたが、食事がパン一切れになり、風呂に入れず、おむつの取り換えや体位の交換がされなくなるなど劣悪な環境に置かれたとしている」と報道されています。

また、昨年11月には刑事告訴し、本年8月県警が保護責任者遺棄容疑で書類送検する旨も報道されています。今後、刑事と民事の両面でさらに事実が明らかになると思われます。

私が今回、質問したいおおもとは、なぜこのような事態が起き、監督責任のある行政にはどんな役割を果たしているのかという事です。

当該施設や同法人の他施設においては、約5年前から施設職員や関係者が施設内での虐待や不適切な実態を県に何度も通報し相談をしていたにもかかわらず、改善されることがありませんでした。

結果として、県では、介護保険法や老人福祉法にのっとって虐待の実態を調査し改善を指導(?)し、改善されなかったら業務改善命令を出すべきであったが、虐待を防ぐことはできていなかった疑いがある

同法人の障がい者施設がある一宮市では、通報を受けて熱心な立ち入りや聞き取り調査を行っており、元施設職員によると県内施設とは行政の対応が全く違ったと評価している。

同市では、障害者虐待防止センターを立ち上げ、「虐待を取り締まる」というより尊厳を守ることを重点に対応されているとのことでした。

よって、利用者に明らかな怪我や暴力がなくても、言葉や行動による心理的圧力、従業員への負担、従業員同士の関係性など様々な観点から聞き取りを行い、「適切ではない」という事や施設の意識の低さが虐待につながると重くとらえ、そうした施設へは何度もフォーローに入るなど熱心な取りくみをされている。

そして大変印象的だったのが、愛知県の支援がとても心強く大きかったとおっしゃっている。同じように、この同法人がある複数の市町村でも同様に、岐阜県が断固とした姿勢を示してほしいと声が上がっております。

岐阜県では平成30年度に「岐阜県介護保険施設等における事故発生の防止および発生時の対応マニュアル」を作成し、虐待(疑いを含む)を含む事故発生時の適切な対応を定め、施設には報告の徹底を求めています。

さらに翌令和元年には岐阜県高齢者権利擁護センターが開設されています。こうした仕組みが実際に、高齢者の尊厳を守り相談者やご遺族の思いに沿って十分役割を果たしていくことが重要だと思います。

新聞報道や遺族の皆さんの訴えをお聞きし、県の取り組みは十分だったのか率直に疑問を持っております。県内高齢者施設において責任者が書類送検された事案への所見についてお聞きします。

【健康福祉部長 答弁】

議員ご指摘の事案については、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族の方にお悔やみ申し上げます。現在係争中でありますので、所見については差し控えざせていただきますが県では、施設での虐待が疑われる情報提供があった場合には、市町村と合同で立入調査を行うなど、その都度、法に基づく権限の中で対応してきました。

また、県では、高齢者虐待防止法において高齢者の虐待の防止に第一義的な責任を持つ市町村から、虐待に関する相談があった場合には,「県高齢者権利擁護センター」が、市町村からの相談対応や支援チームの派遣を行うなど、市町村支援を行っております。

さらに、施設基準や運営基準を満たしているか等の確認については、介護保険法や老人福祉法に基づき施設を指定認可する県又は市町村が適時に確認を行い、指導権限を行使して対処しております。

こうした取組みを引続き実施してまいりますが、ご指摘の事案については、係争の進展を注視しつつ、振り返りを行ってまいります。

[中川 再質問]

先の3月議会では施設に対し虐待防止等の取り組みを義務付ける条例改正がされたが、介護施設関係者によると、そのための十分な加算はなく独自に人員体制を強化しても施設の持ち出しとなってしまうのが現実だと語られています。

人の命や尊厳を守るという最も重要なことを施設や職員の良心ややる気だけに依拠していてはいけない問題だとまず申し上げたいと思います。

しかしこうした不足はあるものの、国では高齢者の尊厳の保持の視点に立った虐待防止策(都道府県が市町村を支援する場合の補助制度)を講じている。

しかし岐阜県では、市町村職員の対応力強化事業やネットワーク構築事業(2017年から)、虐待対応実務者会議や虐待の再発防止や死亡重篤事案が発生した場合の再発、未然防止策検証会議の開催支援(2020年から)などは国補助を使っての取り組みはされていない。

(2007年から始まった相談窓口の設置支援は岐阜県では実施済。)こうした事例に対応できるよう、県が要求すれば100%補助金をつけていきたいと答えている。

たとえば国の虐待防止補助金のメニューを活用するなど岐阜県の取り組みを強化すべきでないか。取り組み強化についてお考えをお聞きする。

【健康福祉部長 答弁】

今般の条例改正により、全ての施設に対し、虐待防止のための委員会の設置や指針の策定などを義務付ける制度改正を行ったところですが、県では、従来から高齢者施設職員向けの虐待防止に関する研修や、定期的な実地指導における助言による施設での取組み支援を行っております。

また、国の補助事業を活用した県の取組みについて,ご指摘のあった 「市町村職員の対応力強化事業」については、国の他の補助事業を活屈し、高齢者虐待への対応の実務を担う市町村職員向けの虐待対応研修を実施しでおります。

その他市町村への支援については、これまで県高齢者権利擁護センターにおいて包括的に実施してまいりましたが、今後は、市町村に明示的に取組みを促すためにも、「ネットワーク構築の支援」や「虐待対応実務者会議」、「虐待の再発防止・未然防止の検証会議の開催」について、今後、ご指摘のあった国の補助メニューの活用を検討するなど、高齢者虐待防止に向けた対策を強化してまいります。

 

Pocket

↑ページトップへ行く