2026年1月7日 4:44 am
カテゴリ: 活動報告
3、木曽川水系連絡導水路事業について
(1)事業の必要性と優先度について
【質問 中川】
大きく3点目の質問です。木曾川水系連絡導水路事業についてです。これは徳山ダムの水を地下にトンネルを通し、長良川と木曽川に導水する事業です。水資源機構によると目的は大きく2つ、河川環境の改善と愛知県と名古屋市の都市用水の供給とされています。また、県はこれらに加え、可茂・東濃の取水制限の緩和に効果があるとしています。
11月20日に岐阜市で開催された環境レポートの説明会では、導水路を作ることによる河川環境や渇水の具体的改善について説明はなく、具体的なシミュレーションもなされていないとのことでした。特に、長良川においては、どういった河川状況になったら放流されるのか、運用がどうなるのか、それによってどのように改善されるのか、あきらかにされていません。放流地点はまさに長良川鵜飼の舞台であり、世界農業遺産に認定された長良川の鮎など、貴重な自然な環境が広がっているところです。
上流施設は全長約43㎞であり、ほとんどが直径3~4メートルの地下トンネルになり、その中を毎秒20トンの水が圧力をかけて導水される計画です。リニア新幹線にかかるトンネル工事でも難工事が続いていますが、直径は異なるもののこの距離の山中や地下を掘り進めることは大変な大規模工事になると予測されます。
先ほど申しあげた、環境レポートの説明会では、地下水への影響を心配する意見も出されておりました。岐阜市も各務原市も水道水は地下から取水しており、地下水や地盤沈下のリスクについては、ダム検証の過程においても自治体から慎重な対応を求める意見があがっています。
また、参加者からの質問に対する回答で、大きな管理施設工が市内に複数できることが判明しました。地元の長良地域の住民から「すべて地下だと思っていたら工事後に大きな構造物が残るのは知らなかった」「そもそも事業自体が全く説明されていない」という発言もありました。
利水と渇水対策についても疑問の意見が出されています。今後少なくとも完成までに10年以上はかかる事業です。2040年には岐阜県の人口は 2020年比で2割減少する見通しです。下流の名古屋市では今でも水は余っており、今後水需要が増える可能性は現実的ではありません。今後人口の急激な減少を迎える中、今以上に水が必要になることはあるのでしょうか。今の計画で大丈夫なのか。少なくとも、現実に即した水需要の予測を作った上で議論すべきとの指摘もあります。
現時点で予定されている事業費は 2.5倍増の2270億円になり、県負担も 75 億円に増加しました。今後はさらに物価高などで事業費は増えると思われます。
地下を通る管は大都市の地下に埋まっている水道管より大きなものであり、毎秒何トンもの水が流れます。その点からも、完成後の維持管理、施設の更新、災害時など様々なリスクが考えられます。少なくとも地元住民にはしっかり説明し知らせるべきことだと思います。いま、全国で地下の水道管や下水管など公共インフラの老朽化が進み、更新にかかる莫大な費用をどうするかが課題になっており、今議会で話題になりました。
こうした数々の懸念がある中で、以前の水需要予測のまま、この事業を進めてしまって大丈夫なのか。もう一度しっかり検討する必要があると思います。特に県では財政状況が厳しいとの理由で事業の見直しを行なっているが、この事業こそ見直すべきではないかと考えます。
そこで知事に3点お聞きします。
1点目。事業費は今後も増大する可能性があり、県財政へも大きな影響があります。事業の必要性と優先度についてお考えをお聞きします。
【答弁 知事】
木曽川水系連絡導水路事業の必要性については、これまでも県としての認識を述べてまいりましたが、改めて答弁をさせていただきます。本事業は、徳山ダムに確保した水を異常渇水時に木曽川や長良川に導水し、流量を増やすことで可茂・東濃地域の渇水被害を大きく軽減するとともに、魚類等の生息環境の保全に資するとの観点から、本県にとって必要な事業と認識しております。 具体的には、可茂・東濃地域では、平成6年、7年と連続で深刻な渇水被害を受けたほか、平成20年以降6回の取水制限が発生しており、これに加え、将来の気候変動による渇水リスクの増大が懸念されております。
これに対し、本事業と徳山ダムを含む木曽川水系ダム群を一体で運用する「水系総合運用」によって、平成6年と同程度の異常渇水時でも、断水の恐れがある取水制限日数を可茂地域で81日から3日へ、東濃地域で56日から18日へ大幅に縮減できると試算されています。
また、平成6年と同等の異常渇水が発生したとしても、導水路からの補給により、木曽川や長良川の流量を増やし、魚類の産卵や生息に必要な水の深さが確保され、魚類の生息環境の保全に資することが期待されております。
現在、県の財政は非常に厳しい状況にありますが、近年、激甚化・頻発化する自然災害に対応するに当たり、木曽川水系における戦後最大級の平成6年と同等の異常渇水に対して被害を大きく軽減することが見込まれる事業としての意義は大きいと考えております。
他方で、こうした前例のない大工事については、環境等への影響を懸念する声もあることから、この度改めて実施される環境レポートにおいて、適切に検証されることが重要と考えております。
なお、一般論ではございますが、公共事業につきましては、今後の更なる建設資材価格や人件費の高騰も否定できないと考えております。このため、国土交通省や水資源機構に対しては、引き続き、導水路を含む木曽川水系ダム群の効果が最大限発揮されるよう、木曽川水系全体の「水系総合運用」の実施を求めてまいります。 その上で、最新の知見や技術を取り入れ可能な限りの建設コストの縮減を図るとと
もに、貴重な地域資源である木曽三川とその周辺の環境への十分な配慮を図るよう、申し入れてまいります。
【再質問 中川】
導水路について2点伺います。まず、必要性についてですが、可茂、東濃地域の渇水被害を防ぐとか、それから河川の環境をよくするということを言われたんですが、放流されるのは木曽川の一番南で、愛知県との県境の近くで、その上流の可茂や東濃の渇水被害といったときに、おそらくダムの放流量を減らしていくことで、渇水被害を防いでいくというお考えだと、そういう意味だと私はとらえたんですが、そうであるならば、やっぱり今後どれだけ水需要があるのか、きちんとした予測というものを作ったうえで、必要性を判断すべきではないかという風に思います。これはこの間もずっと指摘されてきたことです。
県の水需要の予測というのは平成16年に作られていて、それが平成27年が目標年でおわっています。やっぱりこれをきちんと今の状況、そしてこれからの人口予測に基づいて、きちんとこの先どれくらいの水需要が必要なのか、を予測したうえで、必要性を判断すべきではないでしょうか。また、そうした具体的な予測や数値、そして環境についても、きちんとシュミレーションを示した上で判断できないか、必要性について伺います。
【答弁 知事】
導水路に関しては、もちろんいろんな議論があることは承知しております。ただ今議員が御指摘されたように、一般的な水需要の話をしているわけではありません。これは、先ほど答弁で申し上げたように渇水期という極めて尋常ならざる時にこれが必要かどうかということで議論を進めているということでありますので、一般的な需要どうこうということより、むしろ渇水期において、まさに平成6年に起きた、ほとんどの農家が大変なことになったあの状況をどこまでどんな方法によって軽減することができるかというその文脈の中で、これは考える必要があるかなというふうに思っております。
もちろん、あの水の予測需要は、名古屋市・愛知県で持っておりますので、それをもらってくることは、別に難しいことではありませんが、今回この導水路の議論はそれをもとに議論するのではなくて、あくまでこれから起こるかもしれない渇水状態、特に東濃・可茂地域の方々の不安をどこまで軽減することができるのか。これはまさに起きてみなければ分からないことかもしれませんが、そのためにあの時あれをやっておけばよかったということならないように、ただ一方で、先ほど申し上げたように、これだけ大規模な工事になります。当初誰もイメージしたことないことかもしれませんので、そこについてはこれからあらゆる知恵を使って、どんなことが起きるのか、それを皆で共有してやっていくということです。
【再々質問 中川】
必要性について、優先度についてですが、これから先こんなに公債費が伸びていく、県債を抑えていく必要があると議論がある中でこれから始まる事業です。事業の額が莫大で、この先物価が上がる中で、おそらく負担が増えていく可能性があると大変心配をしております。県内の必要な公共事業がまだまだやってきていない、手を打たないといけない、要求がいっぱいある中で、その中でも、この事業を優先度高くやるんだという説明のためには、水需要の予測とか、それからこうやって環境が良くなりますというところはきちんとしめしていく必要があると思います。水需要が減っていくのに、なぜ導水する必要があるのか、これは単純に県民の皆さんが思うところです。これについての説明は、名古屋市はきちんと水需要の予測を出していますが、岐阜県も水需要の予測をきちんと立てて、必要性、優先度について説明していく必要があると思います。再度、伺います。【答弁 知事】
これはまさに先ほど申し上げたように、優先順位の問題だと思っております。特に今回、長い時間が経って、もう一度初めから環境レポートをやり直すことになるので、それをしっかり踏まえた上で、緊急度、ただ先ほど申し上げたように今回、我々が過去の方々も含めて導水路について、必要性を感じたのは、先ほどご答弁させていただいたように、過去の渇水、これに対してどう対応するのかというのが中心であります。
通常の水の供給云々ということではない。もちろん人口も減っております。将来に向けて、総合的な水の使い方、そしてまた防災のやり方の中でこの導水路の重要性についても、引き続き、新しい技術でやる中で、見えてくるリスクについても、しっかり考えた上で、県として意見を言っていくということで対処していきたいというふうに思っております。
(2)事業説明会の開催の要請について
【質問 中川】先日、各務原市、揖斐川町、羽島市、岐阜市の4カ所で説明会が行われたが、これは工事を進めるうえでの環境調査、いわゆる環境レポートの手法や検討項目に関する説明でし た。15年以上前から、設計や費用が大きく変わったが、一度も事業自体の説明会が行われておらず、事業そのものについての説明会をまずは開くべきではないかと思います。
そこで2点目です。事業内容や目的についても説明会開催を要請すべきではないでしょうか
【答弁 知事】
木曽川水系連絡導水路事業の目的や内容などの全体像については、令和6年に国と水資源機構による本事業のダム検証の中で検討されています。この検証の過程で「関係地方公共団体からなる検討の場」及びその幹事会が一般公開のもとで開催され、事業の目的、内容、事業費及び工期の変更の内容や理由について説明されております。
また、このたび公表された環境レポートの検討項目・手法編の第二章に「事業の目的及び概要」が掲載されておりますが、県内4箇所で水資源機構によって開催された説明会では、これらの掲載事項についても説明がなされたものと認識しておりまして、まったく説明されていなかったということはありません。
そして本県として、事業主体に対し、これまで「事業の実施に当たり地域住民への説明会の機会を設ける」よう求めてきたところであり、環境レポート作成に係る今後続等、事業実施に当たって、引き続き、適切な対応を求めてまいります。
【再質問 中川】
説明会開催の要請についてです。私もこの説明会に参加をしました。その説明会で出された意見もかなり厳しい意見も直に聞いてきました。これは新聞報道でいくつか紹介されています。更に言うとこの説明会のお知らせは、水資源機構のホームページに掲載しているだけで、地域の回覧板で、いままでは調査しますとお知らせがあった。こうしたきめ細かいお知らせはされていません。環境レポートへの意見募集がされていて、それが今日までだという事を知っている方がどれだけいるでしょうか。地域の方からは、工事後、巨大な施設管理抗が残るという事は、質問される方がいて初めて知った、これはもともとの説明にはなかった。こうした参加者や住民の声を受け止めて、説明会の開催を要請していただきたいと思います。
【答弁 知事】
これはやり方の問題だと思いますので、ホームページで出したからいいか、回覧板したらいいかということについては、今回のご指摘も踏まえて、水資源機構にもっと丁寧にやってくださいと。さらには、事業説明、あえて説明会を分けるのか、それとも従来行っているものをまた一からやり直すわけですから、その中でしっかり説明してくださいということは、しっかり求めていきたいと思っておりますので、何も拙速進めようと思っているわけではありません。やはり住民の方々の不安を払拭しながら、一方で将来起こるであろうそのリスクに対して、どんな対応していくのか。まさにこの議会でご審議いただくべき重要な案件だと思っておりますので、それに向けて適切に対応してまいりたいと思っています。
(3)環境レポート案への対応について
【質問 中川】3点目です。環境レポート案についてはダム検証にかかる以前に、県として専門家を直接訪問され、意見聴取などによって 128 項目の意見を出されてきました。今回はどのように対応されるでしょうか。
【答弁 知事】
先日、県土整備部長から答弁させていただきましたが、木曽川水系連絡導水路事業は法令上の環境影響評価手続の対象ではないものの、事業主体である水資源機構において環境レポートが作成され、事業に伴う環境影響の回避・低減に向けた対応が行われると伺っております。
県としましては、前回の環境レポートから16年が経過し、気象や生物の生息状況な環境も変化していることから、見直しを求めてまいりました。
その結果、今般、調査の項目や手法の検討にまで立ち返って再検討されることとなり、今後県への意見聴取が予定されているところでございます。
この意見聴取への対応に当たりましては、関係市町の関心の高い、長良川、木曽川水環境、周辺の地下水や地盤沈下への影響に十分配慮されているか等の観点で、レポートの内容を精査してまいります。
また、県からの意見の提出に当たりましては、学識経験者等の意見も伺い専門的な知識や幅広い知見を活用するとともに、関係市町と情報共有を密にし、意見を丁寧にき取って、県意見への反映を検討するなど適切に対応してまいります。






