中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会の討論

2018年12月24日 11:29 am
カテゴリ: 活動報告

中川ゆう子の討論

128号議案、関連して122号議案
知事、および副知事の給与に関する条例等の一部を改正する条例について

これは知事、副知事、教育長、県議会議員のボーナス、期末手当を総額266万円引き上げるというものであり、反対です。

今議会には、もうひとつ一般職員の引き上げが129号議案の方で提案されていますが、これは、「人事委員会の勧告に基づいて」という明確な理由があります。公務員がストライキ権など労働者の権利を制約されている代償措置として、人事委員会の勧告があり、その性質上、これは尊重すべきです。

しかし、特別職である知事、副知事、そして私たち県議会議員の引き上げについては、人事韓国に順次なければならない理由はありません。

これまで特別職の期末手当は、平成27年度から連続で引き上げられており、今回で4年連続になります。平成26年度と比べ、特別職全体で年間約1200万円の引き上げです。

一方、県民生活は厳しい状況が続いており、実質賃金の低迷も社会的な課題です。県は財政状況が厳しいとおっしゃるなら、期末手当引き上げをせず、この財源を暮らし応援の施策に当てるべきではないでしょうか。

合わせて、関係予算が入っておりますので同様の理由で一般会計補正予算のうち、122号案についても反対します。

議題134号議案
土地の無償貸付について

これは警察職員の官舎を民間企業の資金で建設・管理するため、30年間県有地を無償貸付するという岐阜県初のPFI方式です。
その間、警察職員の官舎は民間所有となり、家賃は企業に入るとのことでした。

民間企業の技術を活用し、県の財政負担がないというのがメリットと説明されてきましたが、以下4点、反対の理由を申し上げます。

まず1点目は、30年後県へ返還以降の支出についてです。
60年間の賃貸経営で最も収益が得られるのは、大規模改修が一度行われるとはいえ、民間が運営する前半の期間です。その後、築30、40、50年という建物を県が管理・修繕するということになりますが、これは相当費用がかかる時期に入ります。解体まで含めると、長期的に見て県負担がなくメリットがあるという説明は不十分だと言えます。

2点目は、民間企業が運営する30年間のうちでも、県の財政負担が生まれる恐れがあることです。
事業概要によると家賃収入は、入居100%だと最初の10年間は年間2646万円、最後の10年間でも年間2538万円となり、これらが企業の収益となり、順調に行けば7億を超える家賃収入になりますが、仮に入居率が下がった場合でも、9割を下回れば県がその分を補填し民間企業が損をしない仕組みとなっています。

企業側の事業提案書によると、大規模改修、リフォームをしても最終的には、30年間で5億円を超える黒字。建設費である初期投資を差し引いてもかなりの利益が生まれる仕組みとなっています。事業が破綻しないよう、その分、県の支出があり得るという説明もしっかりすべきです。

3点目は、ご説明によりますと県職員が支払う家賃は通常の2倍になるということです。
住宅手当があるとはいえ、同規模の官舎と比較し高い家賃が設定されています。県警職員は勤務する管内に住居しなければならず、加えて独身寮ということで比較的若い職員が多いことも考えまられます。

今年度から県警では、課題となっている人材不足対策として採用見直しなどの取り組みをさまざま行っている中、今以上に住居費用負担が重くなるような官舎整備で良いのでしょうか。

4点目は、県内全体の官舎の整備計画が示されていないということです。
お聞きをしたところ、老朽化した県内に県警官舎は多くあり、課題になっているとのことでした。まずは全体の状況と整備計画、その費用総額を示すことが必要ではないでしょうか。

PFI方式が岐阜県初であることを考えると、募集を始める前に、制度設計段階から広く慎重に議論をすべきであったと考えます。

以上4点申し上げましたが、全国では1999年のPFI法制定後、事業の破たんや事実上の倒産事例が相次いでおります。
また、そうならないために民間の利益を公が保証する仕組みである一方、リスクは県警察や県、ひいては県民が負うことになりかねないのがPFI方式でもあります。加えて、30年度以降の維持費、解体費、県警職員の負担などを考えると、財政的なメリットがそこまで見込めるとも思えません。なぜ今まで通り県の予算で建設しないのか、率直に申し上げて疑問であり、この議案は反対です。

議題135校議案
徳山ダム上流域の山林取得について

この公有地化計画が旧徳山村村民との約束を反故にして進められてきたものであり、賛同できません。

請願第47号
2018年度すべての子ども達にゆきとどいた教育を求める請願

請願内容は、35人学級の前進。給食着などの軽減や給付型奨学金、奨学支援金の充実など教育費の保護者負担軽減。
そして特別支援学校の充実の、大きく分けて3項目を求めておられ、2万9422名の署名とともに提出されております。この中には、全学校にエアコンの設置を求める要望も入っていますが、今議会には設置に係る予算が計上され、署名された皆さんも大変喜んでおられると思います。

一方、全学年での35人学級の実現は国でも大きな課題になっているものの、進んでいません。岐阜県では独自に小学校3年生までと中学1年生で実現していますが、全国35府県では岐阜県以上に充実しており、うち21府県は全学年で少人数学校が実施されています。本請願は、国に少人数学級の実現を求めることと共に、他県のように岐阜県独自の取り組みを進めてほしいというものです。

また、特別支援教育の更なる充実も大きな願いです。

特別支援が必要な子どもの急増に学校整備が追い付かず、特別教室を普通教室に切り替えたり、プレハブの校舎を特別教室に使ったりと、現場ではやりくりにご苦労されております。まずは小学校や中学校、高校と同じように、設置基準を作り、教室の転用などではなく根本的な改善に繋げることが必要であり、本税がんの含意は妥当なものだと考えます。

また、厳しい財政の中進めるべきではないとの意見もあるようです。これらの施策充実のためには、どうしても財政がネックになるかと思いますが、この間、全体的には少子化が進み、教員定員数は減っています。それに応じて教員人件費も年々減少しており、2007年から県の負担は約100億円も減りました。少子化により、今まで県が教育にあてていた財源をその水準のまま維持していくことでも財源は生まれる、ということを申し上げ、委員長報告は不採択でしたが、採択を主張します。

請願第48号
国に対し「消費税増税中止を求める意見書」の提出を求める請願

本請願に書かれているように、実質賃金の低下、社会保障の負担増の中で10%の増税を実施した場合、大変な大不況が起こることは、政府を含め多くの方が認めているところです。そのために、政府は軽減税率や低所得者対策など様々な景気対策を検討していますが、実際には軽減税率ではなく一部据え置きなだけであり、低所得者対策も期限付きで、効果は限定的です。

一方、アベノミクスにより大企業の収益は過去最高を更新しています。内部留保は昨年度1年で22兆円も増えています。保有株式時価総額1000億円以上の株主が保有する株式の時価総額は5年間で5倍の約17兆円に膨らみました。社会保障の財源を確保するというのであれば、こうした大企業や富裕層を中心に負担を求めることが最も効果的です。例えば、研究開発減税など大企業が有利な税制の見直しや、高額の株式譲渡所得に対する税率の見直しにメスを入れ、税の基本原則である累進課税を徹底するべきです。

消費税の増税は、中小・小規模企業が多い岐阜県のような地方自治体は、地域経済の冷え込みの影響を一層大きく受けます。今の状況で税制を行うべきではないという本請願に賛同し、採択を主張します。

継続審査中 平成29年の岐阜県一般会計決算及び特別会計決算の認定について

決算の中には、子ども食堂への支援、第二子以降の放課後児童クラブ利用料減免、学習支援など、県民の願いにこたえ新たに創設された取り組みを多々ありますが、一方で認定できないものも申し上げます。

県財政全体について

H29年度末の県債残高は約1兆5400億円と過去最高額を更新しています。要因は、臨時財政対策債の増加以外に、県債発行額の大半を占める直轄自動車道路負担金などの大型公共事業でした。多額の借金を伴う大型道路建設は財政健全化の観点からも見直すべき時に来ていると思います。
また、公共事業については、道路・橋の老朽化や防災対策に予算の重点を切り替える必要があったと考えます。

関ケ原ビジターセンターの建設及び展示設計費

当初の計画では建設費20億円、維持管理費は約7200万円とされていましたが、年度途中の計画変更がされ、建設費は2.5倍の52億円、維持管理費は年間2億円前後の規模に膨らむことになりました。
関ケ原古戦場の歴史を知る場の重要性には何ら異論はありませんが、映像で合戦を再現した大規模なスペースは、最初は喜ばれても5年、10年とたてばどうしても古くなり飽きが来ます。ここまで大きな施設にする必要があるのか、周りの史跡や景観への配慮はどうするのか、多大な建設費や維持管理費が将来の負担になるのではないかといった点を慎重に検討するべきであったと考えます。

加えて、この計画変更が進めれれるにあたって、議会に説明なく議論が始められていたことは納得できるものではありません。当初の計画での設計予算がすでに決議されていたわけですから、やはり議会や県民に説明なく進めるべきではなかったということも申し上げ、決算不認定の討論とします。

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