中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

9月議会質問(5)国民健康保険の滞納者の差し押さえの実態と保険料引き下げの取り組みについて

2018年10月13日 2:02 pm
カテゴリ: 活動報告

国民健康保険の滞納者の差し押さえの実態と保険料引き下げの取り組みについて

今年度より県単位化となり、県も運営責任を負う立場となった国民健康保険ですが、これまで加入世帯の収入が減る一方、国保料・国保税は増額傾向であり、低所得者がうける保険料の法定減免の対象者はかなりの割合になっているのが現状です。低所得者と医療費が高い高齢者が加入する構造的な問題が原因であり、抜本的な解決には至っておりません。
保険料・税を払いたくても払えない、支払い能力を超えた高い保険料も全国的な問題となっています。
今年6月時点での県内の保険料滞納世帯は3万5650世帯、全体の1割以上を占めています。

滞納者への差し押さえの考え方について

保険料・税の滞納者に対する差し押さえについては、国税徴収法にあるように「生活の維持を困難にする恐れのある財産は差し押さえてはならない」とされており、国民健康保険もこれにならって徴収するものと認識しています。もちろん、悪質な滞納はしっかり納付してもらうのが筋であることは承知をしていますが、生活を圧迫しないかどうか、悪質な滞納か否か、を慎重に見極めたうえで行われるべきものです。
たとえば岐阜市の昨年の差し押さえ状況を見ると、差し押さえが行われたのべ179世帯のうち年間所得300万円以上は18件とたった1割であり、所得300万円未満が8割強。さらに差し押さえ処分された世帯の6割が年間所得ゼロから100万円台です。おそらく他の市町村も同様の所得水準だと思います。
もちろん何度もコンタクトをとるという段階を踏んでいるとのことですが、
保険料の収納率を上げるという県の国保運営方針のもと、多大な収入があるわけでない非正規労働者や自営業者、年金生活者などへの差し押さえがされていないか、差し押さえではなく福祉制度へ繋げる必要があるケースはなかったのか、など心配が尽きないところです。

中川ゆう子の質問

そこでお聞きします。県では今後、差し押さえにかかるマニュアルのようなものを策定するようですが、この制度はあくまで社会保障であり、生活を圧迫するような差し押さえはすべきでないと思います。
改めて県の考え方をお聞きします。

健康福祉部長の答弁

保険料の徴収につきましては、平成30年度の国保制度改正後も、引き続き市町村の役割りとされております。

差押えを含む滞納処分については、法令上、病気・失業等の事情もなく滞納が続いていた場合に市町村の判断で実施が可能ですが、一方で、生活を著しく窮迫させる恐れがある時にはその執行を停止することができる、とされております。県としては、市町村に対し、この趣旨を踏まえ、滞納者に対するきめ細やかな滞納相談等により個々の実情を把握した上で、適切に対応頂くよう、かねてよりお願いしてまいりました。今後とも、引き続き周知・徹底を図ってまいります。

中川ゆう子の再質問

国税徴収法に則り、差し押さえについては、生活を圧迫しないように行うとの考え方を、現在、策定している差押えのマニュアルに、具体的に記載するのか。

健康福祉部長の再答弁

「滞納整理マニュアル」は、市町村から、その標準的な取り組み方法について、県も参画する中でとりまとめて欲しい、との要望を受けて、県・市町村連携会議で作成を検討しております。その内容としては、個々の被保険者の実情をきめ細かく把握するための納付相談の実施、法令に基づく適正な滞納整理の実施などが考えられるところです。

いただいたご意見や市町村のご意見、先ほど説明いたしました法の趣旨なども踏まえまして、今後その内容について検討してまいります。

滞納の理由、原因の把握について

差し押さえは、面会の機会を作り保険料の収納率を上げるためだと説明されていますが、実際には滞納の解消に向かうような劇的な効果は上がっていません。それは、低所得者が大半を占め、そもそも支払い能力を超えた保険料・税になっているという事もあるのではと思います。まずは実態把握が必要です。

中川ゆう子の質問

そこでお聞きしますが、保険料(税)滞納者の主な滞納の理由、主な所得層など滞納の実態はどのように把握されているのでしょうか

健康福祉部長の答弁

県内の市町村国保では、平成29年度の出納閉鎖時点において過年度分を含めて滞納がある世帯数の加入世帯に占める割合は、12.7%となっております。

保険料の主な滞納理由については、市町村から、納付能力がありながら納付意識が低い、借金返済を優先するために滞納する、低所得や、病気・失業などにより生活に困窮し、やむを得ず滞納する、といったケースがあると伺っております。

本年5月に立ち上げた県と市町村の国保担当者が参加する県・市町村国保連携会議では、滞納整理方法の標準化などを検討する部会を設置しており、今後、この部会で詳細な理由を把握してまいります。

滞納を減らすための保険料引き下げについて

滞納をなくし収納率を上げるという県の運営方針を実現するには、収入に見合った保険料に引き下げるしか方法はないと思います。高い保険料の原因は国庫負担割合が削減されてきたことにあり、国庫負担の増額は県としても要望されていると聞いております。
しかし県単位化に伴って3400億円の財政支援があったが、実際には「収入に見合った保険料」と言えるだけの大幅な引き下げにはつながっておらず、今年度は一人当たりの調定額が県内11市町村で昨年より上がっています。

中川ゆう子の質問

そこでお聞きします。
保険料が非常に重いという事は県も認めているところであり、支払い能力を超えた保険料を引き下げるため、国へ要望するとともに県独自に一般会計からの繰り入れや負担軽減策が必要と考える。
たとえば家庭に子どもが多ければ多いほど保険料が高くなるため、子どもの均等割りの軽減を子育て支援策として実施するなど、さまざまな取り組みが考えられますが、
来年に向けてどのように対応するかお聞かせください

健康福祉部長の答弁

平成30年度の国保制度改正では、制度の安定化のため、国は財政支援拡充により財政支援基盤の強化を図り、県は安定的な財政運営や効率的な事業運営を確保することとされております。

県では、国保特別会計の支出の大半を占める医療費の適正化をめざし、引き続き特定健診受診率の向上、糖尿病性腎臓症重症化予防等の取り組みに加え、効率的な保険事業を実施するため、新たに医療費水準の市町村間格差の要因分析を行うことも検討しております。また、低所得者の保険料軽減相当額への財政支援も継続してまいります。

一方、国に対しては、毎年3400億円規模の財政支援の確実な履行に加え、財政支援のさらなる拡充について要望してまいります。

なお、子どもの均等割り保険料軽減措置に関しては、医療保険制度間の公平を保つため、国保制度全体として対応すべきものと考えており、先の制度改正前から国に導入を要望してきたところであり、引き続き行ってまいります。

Pocket

↑ページトップへ行く