中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会(2)森林・環境税について

2016年12月27日 5:15 am
カテゴリ: 活動報告

一般会計からの支出や、充実を提案

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先ほど山田議員からも質問がありましたが、私もご質問します。森林環境税は、平成24年、森林や河川は県民の共有財産であるという認識のもと、その保全と再生を県民全体で支えていくという理念で、5年間の期限付きで県民税や法人県民税への上乗せでスタートしました。

積み立てた基金を財源に、住民参加型の事業や市町村提案事業など幅広い事業に充てられています。他都市と比較し金額が高めであること、事業の中には、県や市町村の本来の予算で行うべきと思われるものがあるなど、この森林環境税の在り方には疑問もありますが、今までなかなか手が入らなかった森林奥地の間伐が進んだ、従来は対応できなかった民有林の危険木伐採や森林整備を住民主体で進められた、など、多くの効果もあったと感じています。

なにより、実際に計画をたて、補助金を申請し、初めて触る作業用の道具を手に、山に入っていく経験や、何年も取り組むうちに森林が変わっていく様子は、なにものにも代えがたい、貴重な経験でもありました。今年は5年目の最終の年であり、今議会には来年度からさらに5年間延長する条例案が提案されるなど、節目でもありますので、以下、県民からの意見と改善提案をいくつか申し上げたいと思います。

・まず、申請が難しく、公的な補助金申請に慣れている人がいないとできない。実際に申請してみて手間がかかる。実際に申請したNPO関係者だけでなく、森林事業の関係者や市町村関係者からも同様の意見が相次いでいます。

たとえば、住民による活動を支援する地域活動支援事業では、「団体の設立目的」「過去の実績」「団体規約」「構成員名簿」だけでなく、事業効果では直接効果と波及効果まで記入が求められます。収支予算は、需用費、役務費、委託料、請負費などさまざまな項目に記入することになりますが、補助金の中では少額なメニューであっても、こういった公的な補助金申請に慣れている人がいないとできるものではありません。決算の報告も同様です。また他の補助金では測量が必要になりますが、専門的な機器や知識がないと到底むつかしい、との意見もあり、事務や作業量の多さが他に仕事を抱えているボランティアの皆さんにとって非常にハードルが高いのが現実です。特に、少額な補助金メニューは申請事務を簡素化しハードルを下げることで、幅広い住民が参加し基金の恩恵を受ける事業になるのではないでしょうか。

・また、森林の荒廃(こうはい)で困っていても、住民が自力で組織を立ち上げられないところは要求はあるけれど、森林環境税の仕組みを活用できていないのが現実です。高齢者の一人暮らしが数軒並ぶ集落では「活用したいけどできない」といった声もありました。森林環境税という形で広く財政負担を求め、県民全体で支えるという理念に照らし、事業が行われていない荒廃した森林に対し、どう活用を進めていくか。地域による事業の濃淡をどう解消するかが、今後の課題だと思います。先ほど申し上げた申請の簡素化だけでなく、職員によるきめ細かい説明や支援も必要です。

最後に、補助金交付スケジュールについて申し上げます。毎年この時期、秋に補助金申請を行い、翌年度5月から6月に補助金の交付決定と決定した金額が通知されます。この、金額が確定した時から具体的な活動に入り、年明けには報告書をまとめなくてはならないので、補助金を活用する期間は長くても6月~12月頃までです。ボランティアでの活動は、真夏は活動ができなかったり、冬は雪が降ったら作業はできませんので、実質動けるのは9月から11月が勝負です。その時期はすでに来年度の補助金申請の時期に重なっています。

森林整備は、天候に左右されがちで、雪などで事業が完了せず補助金の返還せざるを得ないなど使いづらいとの声もあります。作業の事を考えると、せめて春から秋までの期間に使えるよう、交付スケジュールを見直すなど、改善が必要だと思います。

(1)県民からの意見の把握と受け止め方について

中川ゆう子の質問

森林環境税に関し、県民からどのような意見があったのでしょうか。また、こうした県民からの意見を県としてどのように受け止めているでしょうか。

林政部長の答弁

先般、実施した次期「清流の国ぎふ森林・環境税」の制度案に関するパブリックコメントや圏域別事業報告会において、申請手続きの簡素化をはじめ、小規模な活動に対する支援や、国事業と連携した事業の優先採択をするべきといったご意見をいただきました。森林・環境税の継続を機会に、こうしたご意見を踏まえ、申請手続きの簡素化を図るなど、より活用しやすい仕組みづくりを整えていく必要があると受け止めております。

(2)県民からの意見や課題を踏まえた運用の改善について

中川ゆう子の質問

こうした意見や課題を踏まえ、運用の改善をする必要があるのではないでしょうか。

林政部長の答弁

具体的な運用の改善につきましては、申請のサポートや税事業の情報提供などを一元的に行うため、恵みの森づくり推進課にワンストップ窓口を設置するとともに、農林事務所など県の現地期間でも事前相談、必要な手続きの問い合わせなどに的確に対応できるよう支援体制を強化してまいります。また、小規模な活動に対する支援につきましては、現在でも、事業規模が10万円以上、3人以上のグループでも支援を受けることが可能なことから、こうした制度の内容については合わせてPRに努めてまいります。

中川ゆう子の再質問

ワンストップ窓口の設置などで、申請のハードルを下げる必要があると思う。補助金を申請する前段階で、丁寧に現場に出向いた支援ができないか。

林政部長の再答弁

現場に出向いてやるということにつきましては、現地の機関とも協力しながら、申請者の意向を踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。

(3)事業の継続的な実施と拡充について

中川ゆう子の質問

これまでの実施状況を見ると、事業効果が高く基金の主旨には賛同できます。しかし、現行の森林環境税は5年ごとに見直すことになっており、継続的に事業を実施する仕組みになっていないため、財源を再検討したり、基金への一般財源の繰り入れを行うなど、継続的な事業の実施にむけた何らかの方策が必要であると考えます。また、現在は住民と企業からの税収、年間12億円が基金として活用されていますが、県民の多様なニーズにこたえるため、規模の拡充も必要です。そこで、事業の継続的な実施と拡充について、ご所見をお伺いします。

林政部長の答弁

森林・環境税は森林や河川の保全・再生という政策目標を実現するために導入したもので、その効果を十分発揮するためには、ある程度長い期間を要するものと考えております。一方で、森林づくり基本計画の計画期間が5年であり、これに合わせて施策の効果を検証するとともに、事業の進捗状況や社会的経済情勢などの変化を踏まえながら、継続の是非や、制度の見直しをすることが必要と考えております。また、事業の拡充につきましては、税事業と国庫補助事業を組み合わせることで、より効果的に事業を推進しております。例えば、水源林等の整備では、こうした取組みによって、地元負担なしで、平成27年度では3,400ヘクタールの環境保全のための間伐が実施できました。今後も、年額12億という税事業の規模は維持しつつ、他の事業と組み合わせることで、税事業がより効果的に実施できるよう、運用に努めてまいります。

中川ゆう子の再質問

平成24年度にこの森林環境税が導入された際、新たな財源の必要性について説明されております。当時は「緊急財政再建期間」である「行財政改革アクションプラン」の最終の年でもあり、県のきびしい財政状況を理由にこの森林環境税が新たな財源としてつくられました。「公費投入は難しい」とのことですが、さらなる拡充のためには、現在は財政状況は厳しいとはいえ、そのアクションプランは完了していること、5年間という節目に際し、継続的に必要だという重要な事業の洗い出しも必要かと思います。そうした重要事業については、継続と拡充のため、5年間の期限付きの森林環境税の財源だけに依拠するのではなく、一般会計からの繰り入れや、本予算での予算措置も検討する時期かと思いますが、もう一度お考えをお聞きします。

林政部長の再答弁

基金への一般財源の繰り入れにつきましては、基金そのものに繰り入れする予定はございませんが、必要な予算は県費も含めて検討してまいりたいと考えております。

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