中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【2022年3月議会】議案と請願に対し討論

2022年3月27日 2:59 pm
カテゴリ: 毎日の活動

3月24日、3月議会最終日の討論をご紹介します。

議第1令和4年度岐阜県一般会計予算中4点に反対

2年にわたるコロナ禍の影響は、飲食店に関連する事業者をはじめ地域経済全体に及んでいます。

また、岐阜市をはじめ感染拡大地域を中心に学校や保育所の休業が相次ぎ、休業が長期化することによって、非正規雇用や自営業を中心に収入にも大きく影響が広がっています。

感染防止対策に加えて、生活や営業の補償は、いま最も緊急、かつ重要な課題であるという観点でまず2点申し上げます

◯ねんりんピック開催準備事業費の約300万円、国民文化祭開催準備事業費および活動支援事業費約4310万円について

開催までの事業費はそれぞれ10億円強、14億円と想定され、動員される県職員はのべ数千人規模です。令和6年、7年の開催にむけ新年度は準備が本格化しますが、現時点でも、感染対策の最前線を担っている担当部署では職員が足りず、他部局の職員が兼務で応援に入っているのが現状です。そしてこの先は、県民の暮らしと地域経済を立て直すことに県は全力をあげるべき重要な時期です。いま必要なのは、一日もはやく感染拡大を収束させることと、日常を取り戻すために住民に寄り添った施策に力を集中することであり、こうした重要な時期に、10億円を超える規模の大型イベントを誘致する姿勢には疑問を感じます。

◯医療機関の再編統廃合20億円について

地域医療構想の一環として病床ダウンサイジングが前提であり、統合による病床の大幅削減が懸念されています。しかし、現在県内で統廃合の計画が進められている公立公的病院は感染者を多く受け入れ感染対策の最前線を担う重要な役割が再認識されました。さらにこの地域医療構想については、全国知事会で「2025年の必要病床数ありきで急性期病床を削減するのではなく、感染拡大時に感染症病床へ転用できるよう、一定程度の余力を持つという考え方が必要だ」との指摘が出ています。病床ダウンサイジング前提の地域医療構想は見直しすべきと考えます。

◯防災対策でも申し上げます

新丸山ダム建設事業への拠出約8億円余、内ヶ谷ダム建設事業費約37億3400万円についてです。

今年度は流域治水関連法の全面施行など流域治水の取り組みを推進する法的基盤が整備され、かねてから住民が求めてきた「ダムではなく流域全体で水を受け止める流域治水」へようやく国も舵を切りました。新年度の県予算にも流域治水の推進として140億円余が計上されていますが、その一方で、ダムによる封じ込め治水を進める姿勢には整合性がとれません。流域治水に舵を切ったのは、想定される一定の雨量や降水地を限定したダムによる治水では、頻発する線状降水帯に代表される想定外の集中豪雨に対応しきれないことが明らかになってきたからです。ダム依存から撤退し、科学的知見に基づいた流域治水計画を推進することを求めます。

◯最後に県財政の見通しについて

県債残高が前年を下回るのは1970年度以降で初めてとのことです。内訳では、国に責任がある臨時財政対策債が減っていますが、県独自の県債残高は増加しました。かねてから申し上げているように、県債残高は将来負担に関わる問題であるため、将来にわたり県債残高を減らしていく方針を持ち、具体的な計画を作るべきだと感じます。そのためにも、国から多額の県債発行が求められる国道路事業や、財源の多くを県債に依拠する県庁舎建設などのような事業を公共事業の中心に据えるのではなく、医療や福祉など住民の暮らしを応援する施策を中心に、根本的な転換を求めます。


議第4号 令和4年度岐阜県国民健康保険特別会計予算

保険料の金額設定の元になる市町村納付金は新年度は予算ベースで561億円。一人あたりで換算すると約14万円と増額しつづけています。

このように低所得者が多いにも関わらず保険料は上がり続け、いまや保険料は支払い能力以上となっていますが、

県の運営方針は、市町村独自の保険料抑制策をも否定し、一般会計からの繰り入れを削減させる役割を担っていることは非常に残念です。

同じサービスなら同じ負担額に、せめて協会けんぽ並みに保険料を引き下げるよう運営方針の見直しを求めます。


議第9号 令和4年度岐阜県徳山ダム上流域公有地化特別会計予算

徳山ダム上流域の土地所有者から山林を買い取るため特別会計として組まれるものです。もともと旧徳山村村民であるこの所有者の方々との間には、ダムによって自分の土地に立ち入れなくなることがないように、取り付け道路を建設するという取り決めがありました。

その取り決めが反故になり始められた公有地化事業は、旧村民の思いを踏みにじるものであり反対です。


議第10号 令和4年度岐阜県県営住宅特別会計予算

公営住宅のニーズが高まっているにもかかわらず進められる県営住宅の縮小計画には賛同できません。反対の理由を2点申し上げます。

◯縮小の理由である入居率の低さは、老朽化や、立地条件、エレベーターがない高層階、時代に合わない間取りなど、住環境の悪さが原因であり、単なる縮小化では抜本的解決にはなりません。

住環境向上のためエレベーターの設置や思い切った増改築、立て替えが必要だと思います。

その問題を解決しないで、せっかく耐震補強が完了している建物を次々と空き家にしていく現計画に合理性を見いだせず、入居率が上がるという見通しももてません。

2点目は手法です。

縮小対象となっている入居者は、期限内の引っ越しを余儀なくされるだけでなく、同じ県営住宅内であるにも関わらず家賃が引き上がるなど、経済的、精神的負担がのしかかっております。

本人の個人的理由での移転ではなく、県が主導する転居であり、家賃据え置きの対応をすべきです。


議第31号 岐阜県行政手続き等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部を改正する条例について

この改正案の問題点は、障がい者や高齢者などデジタル技術を使いこなすことが困難な条件にある方々への対応策が、とにかく「デジタル技術を習得する」という前提に立っていることです。

これまでDX推進にあたっては「誰一人取り残さない」ということを知事もおっしゃっていますし、先ほど議決された県の推進計画でも理念として掲げられました。その中では具体的に、様々な方への配慮や、デジタル化と同様にアナログの必要性や価値も強調されています。これはオンライン化と技術習得が原則である改正案とは整合性がとれません。

具体的には、新設された第12条がそれにあたるのですが、アナログ的手続きが担保されていないため、デジタル技術が使えない方には助言したり相談には乗るが行政手続きはオンライン化が原則という書きぶりになっています。あまりにも現状とかけ離れており、デジタルデバイド(情報格差)への配慮や県民、利用者目線が欠落しております。現に、パソコンもスマートホンも所有していない方は、たとえば飲食店の協力金の申請を行うのに、本当に苦労されています。

このようにすでに、行政からの情報格差や窓口の縮小など問題は顕在化しています。この条例は、行政手続き全般に係るものですからなおさら重要です。「誰一人取り残さない」こという視点が欠落した改正案には賛同しかねます。


請願第31号 長良川河口堰の運用見直しとゲートの試験的開放の議決を求める請願(採択を主張)

委員長報告では不採択の理由として「ゲートを上げると農地への塩害がおきる」ということですが、この遡上シミュレーションは川の流れのないものであり、川上から川下へ流れている実際の川の流れを考慮したシミュレーションではないとのことです。せめて実証データに基づく議論をすべきだと思います。

一方、愛知県では長良川河口堰検証プロジェクトチームを立ち上げ、運用検討委員会において科学的検証が行われ、開門調査を提言されています。

河口堰運用から四半世紀が過ぎ、堰の下流にはヘドロが2メートル堆積し、ヤマトシジミは絶滅し、9割のヨシが消滅しました。

本請願では、この環境悪化や生態系に及ぼしている影響を科学的に検証するため、塩害のご心配のないよう農閑期における試験的開放を提案するものです。

採択を主張します。


請願第32号 子どもの医療費無料制度の拡充を求める請願(採択を主張)

子どもの医療費無料化の年齢引き上げは、岐阜県市長会も県へ要望しているように県全体の願いです。現在、市町村独自の取り組みで少なくとも中学卒業までは無料になっていますが、請願にもあるように高校3年間について県内市町村で格差が生じています。これを県主導で県内共通の制度に、というのが本請願の趣旨です。

新年度は東京都が18歳までの無料化を打ち出しており、全国的に大きな流れとなっています。

ご懸念の財源ですが、試算では1学年2億円強、学年で約8億円ほどとのことです。この間、少子化の影響により、県が負担してきた小学校入学前までの子どもの医療費無料化の予算が減少していることを考えると、十分拡充の余地はあるのではと考えられます。

ことは子どもの健康に関わる事であり、最優先課題です。せめて県内で格差が出ないよう、県内どこに住んでいる子どもにも平等にという本請願の願意は県民の願いに合致したものであり、採択を主張いたします。

以上

討論に立ったのは中川ゆう子のみで賛成多数で議案は成立、請願は不採択になりました。

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