中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【2024年6月6月議会/質問と答弁4】県営住宅のあり方と集約化について

2024年7月10日 8:24 am
カテゴリ: その他

県営住宅のあり方について

生活困窮者、シングルの女性など、住宅の確保に困難を抱える多様な方は安心して暮らせる住宅を保障するのが、公営住宅であり、住宅セーフティネットの要でもあります。国交省の公営住宅管理実態調査によると、岐阜県における県営住宅や市営住宅などの公営住宅全体の戸数は、2006年18721戸から、2 020年には16934戸と10年で1787戸削減されており、その数は全国で9番目に多い削減数です。各圏域で安心して暮らせる住まいをバランスよく守っていくためには、これまでのように市町村や県がそれぞれ独自に動くのではなく、地域ごとに公営住宅をどうしていくのか、足並みをそろえる必要があると思います。県でも以前より7つの県営住宅で縮小化集約化が進められました。さらにそのうち岐阜市の加野、大垣市の荒崎、垂井町の宮代、多治見市の旭ヶ丘、土岐市の泉北では、2度目の集約化が進められ、計画ベースも合わせて約800戸以上の削減が予定されています。当初は入居率を上げるという目的で進められましたが、実際には入居率の改善には至っていません。2度目の集約化が進められている住宅では、最初の集約化に協力し別棟に転居した世帯がまた転居を迫られるという事例も起きています。病気や高齢のため何度もの引っ越しは困難であり、転居を迫られていることが原因で、夜も寝られなくなったとの訴えも寄せられています。計画や見通しを持たない中で集約化を行っていること自体、安心して暮らせる住まいとしての魅力はなく入居率はあがるとは思えません。国連社会権規約委員会が1991年に発表した「居住に関する権利についての一般的意見」では、適切な住まいの条件として、居住権の法的安全、設備・サービスが利用できる、適正な住居費の負担、適切で健康が守られる居住可能性、利用可能かどうか、適切な立地かどうか、文化的であるかどうか、の7つをあげています。どんな住まいでも良いわけでなく、この条件をきちんと満たせるかどうかの視点が県営住宅にも必要だと思います。

無計画な集約化は一旦白紙にし、まずは公営住宅の役割やあり方、県営住宅を含めたまちづくりのビジョン、適切な管理戸数など将来像を示した県計画を作り、県民や入居者に示していくことが必要ではないでしょうか。

(1)公営住宅の必要性について

Q 中川

都市部の県営住宅は比較的高い入居率であり、公営住宅のニーズが減ってきているわけではないと思われます。

公営住宅の必要性、ニーズについてどのように認識されているでしょうか。

A 都市建築部長

住宅は、県民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤です。このうち、公営住宅は、所得が一定水準以下の方、中でも高齢者や障がい者、子育て世帯など、特に住宅の確保に配慮が必要な方に対する住宅セーフティネットの中心的な役割を担っております。しかし、住宅戸数が世帯数を上回る現状において、多くの県営住宅では入居率が低下傾向にあります。同時期に建設された県営住宅で比較しますと、駅に近いなど利便性が高い市街地の団地では、9割程度の入居がある一方、郊外の団地では入居率が低下しており、立地によって入居希望に相対的な差が生じているものと認識しております。

(2)県営住宅の入居率改善について

Q 中川

実際には集約化しても入居率の改善につながっていないようです。エレベーターがない3階以上の住宅、畳やふすま、キッチン、風呂釜など現在の生活スタイルと乖離した内装や間取りなど、時代に即していない住環境が、入居が増えない原因ではないかと考えます。そこでお聞きしますが、集約化の方針を見直し、まずは入居者を増やす取り組みとしてバリアフリー化など住環境の改善、若い世代など多様な層をターゲットにした入居促進など検討する必要があると思いますがいかがお考えでしょうか。

A 都市建築部長

県では、県営住宅の団地の規模の適正化や維持管理の効率化の観点から、入居率が著しく低下している郊外の団地の住棟を集約する方針とし、平成30年度から事業を実施しております。併せて、希望する方が入居しやすいよう、収入基準の緩和や連帯保証人を不要とするなどの制度改正、さらに手すりの設置や段差解消など、居住性の改善を図ってきたところです。これらの取組みにより、入居率の減少を緩やかに抑制しておりますが、改善までには至っておりません。このため、更なる入居促進に向け、今年度は新たに、子育て世帯の生活スタイルに合った間取りや内装への改修工事をモデル的に実施してまいります。

 (3)今後の県営住宅のあり方や管理戸数などに関する計画の策定について

Q  中川

無計画に何度も集約化を行い、そのたびに入居者が転居を迫られるなどということが起きるのは、安心した住まいの提供になっていません。

長野県では、県営住宅プラン2021を策定し、必要な公営住宅数を定め、2部屋を1つにつなげ広い住宅にリノベーションした子育て世帯向け住宅、古いタイプの風呂釜を解消し結露を防ぐため断熱性向上させるなどアップグレードしたリフォーム住宅、エレベーターの設置、古い住宅の建て替えなどそれぞれの施策を進める中で、住環境が整った住宅への集約化や再編を計画的に進めるとしています。本来はこうした県営住宅の全体像を描くものが必要ですが、岐阜県にはそうした県営住宅の計画はありません。

住宅のセーフティネットをどう確立させていくかが問われています。無計画に集約化するのではなく、県営住宅のあり方や管理戸数などについて計画を策定することが必要だと思いますがいかがでしょうか

A 都市建築部長

県では、住宅施策の総合的な計画として「岐阜県住生活基本計画」を定めております。本計画においては、人口や世帯数、今後の住宅需要について減少が見込まれる中、県営住宅など公営住宅に加えて、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録された民間の住宅も活用し、重層的に住宅セーフティネット機能を確保することとしております。このうち県営住宅については、団地規模の適正化を図ったうえで既存住宅を最大限活用する方針です。こうした方針のもと、県営住宅の今後のあり方としては、新規供給を控え、既存住宅の長寿命化や住宅確保要配慮者のニーズに応じた改修により、有効活用を図るとともに、必要に応じ、団地の縮小、集約化を進めることとしております。また、管理戸数については、本計画の中で、公的な居住支援が必要な世帯数を推計し、これを満たす公営住宅等の供給目標戸数の総数を定めております。引き続き、住宅セーフティネットの機能が維持できるよう努めてまいります。

再質問 中川

これからも必要に応じて集約化を進めるとのことだが、今、集約化の中で何が起きているかというと、集約化の中で移転に協力した方が数年度に再度移転の協力を求められるようなことが起きています。計画がなくその時その時で集約化を進めているからこのようなことが起きる。高齢や障がい、病気など様々な困難がある入居者にとって転居は苦痛であり実際に無理な方もある。ここに住み続けられるのか見通しの立たないようなやり方はおかしいし、人の住まいを左右することは住宅行政としてはふさわしくないのではと思う。せめてきちんと計画を作るべきではないか。

再答弁 都市建築部長

先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、県営住宅の供給方針については、県の住 宅施策の総合的な計画である「岐阜県住生活基本計画」において、規定しております。この計画において、県営住宅の今後のあり方としては、新規供給を控えながら、既存住宅の長寿命化等により有効活用を図ることとしております。また、入居率が著しく低下している郊外の団地については縮小、集約化を進めることとしております。県といたしましては、引き続き、団地規模の適正化を図ったうえで既存住宅を活用してまいります。加えまして、今後の集約化事業については、社会情勢等を勘案し、予断なく必要な検討を行いながら、判断してまいります。

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