原発の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分について、国は2002年から公募してきましたが、最終的に手をあげた自治体はありませんでした。
そのため国は、「科学的有望地」を示し自治体に「申し入れる」という方針に切り替え、7月28日にそのマップが公表されたところです。
核のゴミの処分場に手をあげる自治体がなく、処分のめどが立っていないにも関わらず、原発事故が起こったのちも原発を再稼働させ、原発政策の見直しすら行わない国の姿勢は、手続きの順序が逆転していると言わざるを得ません。
行き場のない核のゴミを増やしながら放射性廃棄物処分場の選定を自治体に迫るのではなく、まずは原発の再稼働をとりやめ、これ以上負の遺産を増やさないことを決断すべきと考えます。
この公表された特性マップでは、地層処分に「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」とされたのは国土の65%に絞られましたが、岐阜県はざっと地図で確認しますと3分の2程の県土がその地域に指定されています。そして海岸から距離が近く輸送面でも好ましいとされるエリアに県の一部が該当しています。
基本的に、これら「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」とされる地域で、これから説明が行われ、文献調査などの段階に進むとされています。
この地層処分が日本の国土にふさわしいのか危険も指摘されています。放射性廃棄物は万年単位で生活環境から隔離することが求められますが、
日本列島は4つのプレートがぶつかり合う地殻変動の活発な地域であり、大陸とは地層の安定性が大きく異なります。
しかし見えている火山や活断層さえ避ければよいというのは安易であると言わざるをえない。日本学術会議では「万年単位に及ぶ超長期ぶわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界があることを明確に自覚する必要がある」と警告。
マップの公表を受けての県内自治体の対応は様々なようです。「放射能のゴミはいらない!市民ネット岐阜」他3団体が県内42自治体へ「文献調査、処分場も受けない」と表明してほしいとの要請を行ったところ、27自治体では、文献調査も処分場も受けないと表明した一方、県が表明しているので必要ない、小さい自治体なので関係ない、未回答などもあるようです。
このあと進められる文献調査は、知事の意思は関係なく市町村の了解のみで進みます。3段階の調査が進められますが、次の段階の調査に進むことに反対しても、撤退はなく対話を続けるというものです。
これまでも議会や知事のコメントにおいて、受け入れをしない旨を表明されている。
岐阜県のトップの言葉は非常に重く、また一貫した態度を貫いていただき、多くの県民が安心している。ぜひ県内自治体にも呼び掛けていただきたいと思います。
加えて、現在の国の選定は次のステップに進んでおり、受け入れを回避するための何らかの措置を講じるべきだと考えます。
知事の受け入れをしないという強い姿勢を広く県内自治体や県民と共有していく必要性を感じている。また、知事には任期もあり、選定には長い期間を要することから、長く将来にわたって受け入れを回避する措置が必要になってくるのではないか。
中川ゆう子の質問
条例制定など、受け入れを回避するための措置の検討が必要と思うがいかがでしょうか。知事の答弁
高レベル放射性廃棄物の最終処分場については常々、本間として県内に受け入れる考えがないということを申し上げているところでございます。今般、科学的特性マップが示されましが、この考えに全く変わるところはございません。今後もこの方針を変更することはございません。
また、平成10年に当時の科学技術庁長官から、「地元が処分場を受け入れる意志がないことを表明されている状況においては、岐阜県内が高レベル放射性廃棄物の処分地になることはない」旨を、文書で確約をしていただいております。
さらに、平成12年に制定されました、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」におきましては、処分場の場所を選定するときは、「知事および市町村の意見を聞き、これを十分に尊重してしなければならない。」というふうに定められております。
当時の資源エネルギー庁長官も、国会で、「知事および市町村長の意に反して処分地の選定が行われるということはない」と発言しております。
以上から、現時点で、あえて条例などの仕組みを作るということは考えておらないわけでございます。
中川ゆう子の再質問
大臣からの確約文があるというが、国が処分場の選定で配慮すると正式に発表しているのは福島県と青森県のみ。処分場選定を拒否しているのはどの都道府県も同じで、だからこそ国が動き出した。長い年月をかけて選定されることになる処分地は知事の任期にも関わってくるため、今の時点での将来的な受け入れ拒否の意思を明確にするために条例の策定を要望するが、どうお考えか。知事の再答弁
先ほどもご答弁申し上げましたように、確約書が文書であるということ、しかも法令上も規定があるということ、さらには当時の国会の質疑もあるということ、そういう客観的なものがあるわけでございまして、私どもとしては、県の立場、考え方がそういう中でしっかりと主張されているとふうに思っております。先ほどの報道うんぬんという話は私はちょっと承知しておりませんので、コメントのしようがないんですが、いずれにしましても、これは私の単なる個人ではなくて、組織の長としての知事の判断ということで、繰り返し積み重ね発言させていただいておりますので、何か将来を縛るために、なんとしても現在条例をという議論についてはちょっと違和感を感じるところでございます。