中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

2025年岐阜県議会第4回定例会(9・10月議会)議案討論議事録

2025年10月10日 6:44 am
カテゴリ: 活動報告

議第80号(令和7年度岐阜県一般会計補正予算)

まちづくり検討事業費  約3000万円

新交通システム、LRTを中心としたまちづくりに関する構想は、過剰に発達した自動車中心の社会のあり方から、公共交通への転換を促す大変重要な視点だと考えます。だからこそ、住民の間にどんな要求があって、移動に関してどのようなことで困っているのか?など丁寧に調査し、その住民ニーズに基づいてルートや交通手段を検討すべきです。

3点問題点を申し上げます。

・まず心配なのは、公共交通に関する岐阜市や岐阜県の計画にはこれらが一切記載がされておらず、整合性がとれていないという点です。行政は住民参加で作った計画に基いて施策を進めるのが基本です。もし、計画に足りない視点があれば、積極的に取り入れ計画の見直しを進めることが本来のやり方であり、それを軽視してしまうと何のために計画を作っているのか分からなくなります。

特に地元で最も影響を受ける岐阜市の公共交通計画はバス路線であるBRTを基本としたものになっており、丁寧なすり合わせがない中で、具体的な予算が県議会で提案されることに戸惑いがあります。LRTも良いとは思います が、バスと異なり状況や時代の変化に応じてルートを変えることができません。都市の将来デザインに関わる問題ですので、地元の市や県議会とも一緒に、足なみをそろえて考えていくという姿勢を強く願います。

・2点目は、住民のニーズに立脚していないという点です。岐阜市では、長年、岐阜市東部や北部をはじめ郊外において、中心市街地への交通手段として LRTや幹線バスの要望、住民要望が根強く出されてきました。具体的に岐阜駅から岐阜市東部、そして長良川鉄道への接続という要望を先日受けられたそうですが、これは知事が提案されるずっと以前からあった要望です。さらには、岐阜市から山県市への北進、揖斐、本巣へ向かう西へのルート、そして路面電車存続の運動の中では、岐阜駅から南へのルートというアイデアもあったとのことです。中心市街地の活性化の問題は、こうした広い視野でとらえるべきであり、過去の路面電車の廃止や車中心の交通形態への変化によって岐阜市周辺の県民が中心市街地へアクセスしづらくなったことが背景にあると言われています。今回は岐阜インターと岐阜羽島駅という具体的なルートを前提とし、そのための調査ですが、歴史的背景や長年の住民の要望に基づいたものを求めます。

ぜひ、周辺の各都市を結ぶ複数ルートと複数の交通手段について、住民ニーズの調査をはじめ総合的な検討を強く要望します。

・最後に、新交通システムの導入は今後、少なくない財政負担が生じる可能性があります。交通事情などへの負荷が出る可能性もあります。この件について一言申し上げます。県では、厳しい県財政が続いており、県債残高の規模を表す将来負担比率は200%を超えるという状況です。住民の圧倒的な要求に基づいたもの、地元の市と足なみをそろえた事業でない限り、広く県民の理解を得ることはできません。

そのためには現在の特定のルート、特定の交通手段LRTに限定した調査ではなく、まずは住民が何に困っているかという調査とともに複数ルート、複数の交通手段を前提に総合的な検討を求めます。

医療整備対策費  医療施設近代化施設整備費  約5億3700万円に反対します。

これは病床数の削減を行う医療機関に対し給付金を交付する国の病床数適正化支援事業であり、6月議会に引き続き国の追加内示分で、今回は131床分の削減とのことです。医療機関の6、7割が赤字と言われ、倒産、休廃業が過去最多となっている中、医療機関が望んでおられることは、病床削減ではなく財政支援です。これは国の予算であるものの病床削減を要件に支援金を出すという制度設計は、厳しい病院経営につけ込んだものと言わざるを得ません。

そもそも病床数は地域医療構想調整会議で、病床機能別に慎重に議論されるべきものですが、この病床削減は、これまで積み上げてきた調整会議での議論とは切り離されています。一度削減した病床は増やすことはできず、このまま進めることは非常に危険です。

税金を使うのであれば、厳しい病院経営の支援や医療従事者の待遇改善など、地域医療を守るために使うべきであり、6月議会に引き続き同様の理由で反対いたします。

請願第36号 中学校の免許外教科担任解消のための非常勤講師の予算拡充を求める請願

免許を持った教員による学習指導を受けられないということは、教育の質にダイレクトに関わる重大な問題です。

請願にあるように、中学校数が同じ水準の都道府県で比較した場合、長野県では免外は30人、三重県では45人に対し、岐阜県は353人と突出して多く、これは全国的に見ても深刻な数字です。岐阜県教育委員会ではさまざまな取り組みを行なっておられますが、その効果は残念ながら限定的と言うのが教育現場である請願者のご指摘です。

文科省の「免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議」による各教育委員会への聞き取りでは、免許外教科担任を解消するためには、「非常勤講師、退職者等の採用による人材活用」との回答は83%にのぼっており、請願趣旨である非常勤講師は最も多くの都道府県で取り組まれていることです。

「予算の拡充だけをもって解消は難しい」とのことでしたが、請願によると、実際に、年度当初から非常勤講師の予算は1校あたり週8時間分しか割り当てがなく、非常勤講師が配置された学校でも「免外」が解消できていない事態が生じており、年度途中での任用の予算はないと訴えておられます。こうした現場の声をしっかり受けとめるべきだと思います。深刻な状況が岐阜県内で起きているわけですから、拡充こそ重要であり、採択を主張します。

Pocket

↑ページトップへ行く