2025年10月6日 7:12 am
カテゴリ: 活動報告
2、県立高校におけるタブレット端末と家庭等への経済的支援について
【質問 中川】
県立高校の授業で使うタブレット端末について、これまで公費負担としてきたものを来年春の高校1年生から原則個人で負担し用意する方針になったことが発表されました。指定された端末の価格は6万円から11万円と言われています。保護者からは、方針を見直してほしいとの声や、負担軽減を求める署名も始められており、署名数は1ヶ月余りですでに22,000筆を超えました。それまで、そのような検討がされていることも、事前の意見聴取もない中で、8月末に中学3年生の保護者のみなさんに突然通知されたため、「多額の費用をいきなり準備することができない」、「借り入れしか方法はない」「せめて、保護者や生徒たちの声を聞いてほしい」などの声が寄せられています。
(1)タブレット端末の保護者等の費用負担について
そこで、タブレット端末の保護者等の費用負担について2点教育長にお聞きします。①保護者や生徒からの意見聴取の必要性について
②原則個人で準備するとした方針の再検討について
1点目。検討過程において保護者や生徒からの意見聴取をすべきではなかったでしょうか。
2点目。学校の授業で必要なものなら引き続き学校で貸与すべきではないかと思います。原則個人で準備するとした方針は再検討が必要ではないでしょうか。
【答弁 教育長】
県教育委員会では、令和元年度に国のGIGAスクール構想の下、県立学校の約 1,700教室、これは普通教室全てに当たりますが、ここにプロジェクタ、ホワイトボード及びWi-Fi環境を整備するとともに、当時、個人負担による1人1台端末の導入を検討しておりました。そうした中、県立学校は、令和2年3月から5月まで、新型コロナウイルスの感染拡大のため臨時休校となりましたが、その間、生徒の学びを止めないため、全国に先駆け、オンラインによる学習支援を行ったところです。多くの生徒は、個人所有のスマートフォンを利用し、小さな画面を通じて授業を受けることになったため、当時、生徒からは50分授業を1日6時間受けることはとても辛かったという声がありました。その後も、コロナ禍において、いつ休校になり、再び授業配信が必要となるか分からない中、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、生徒用端末を約32億円で整備したところです。
その後、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、以前の学習環境に戻った今日、当時の端末は更新時期を迎えております。今回の更新に向け、以前から国に対して支援を要望しておりましたが、小中学校とは異なり、国からの支援はなく、令和元年度の考え方に沿って、個人負担をお願いすることとなったものです。
こうした事情から、意見聴取は行わず、公費による更新はしないということに致しました。臨時交付金を活用して端末を整備した都道府県の多くも同様の判断をしております。また、国の支援が得られない中、県の財政状況も鑑み、個人負担の是非を再検討することは考えてはおりませんが、個人負担をする理由については、生徒、保護者に十分説明する必要があると思っております。そのため、今後、県立高校に入学する生徒に対し、まずはこの6年間、貸与してきた経緯と合わせて、1人1台端末の必要性について説明してまいります。
今後、新たに購入される場合には、通常より安価に購入いただけるよう、必要な仕様を満たした機種を一括して業者と協定するなど、スケールメリットを生かした購入方法も検討してまいります。
【再質問 中川】
欠かせない学習ツールであれば、学校側が用意するのが本来の筋道ではないか。また、県教育委員会が実施した使用率調査の結果によれば、常時必要な状態とは言えないのではないか。必要数を検討し、引き続き学校で整備するといった方針も再検討できるのではないか。再度お伺いします。【答弁 教育長】
再検討について、先ほど申し上げたように、5年前に使用した交付金はコロナに関する交付金で、それがないということで、その経緯については、先ほど詳しくご説明したとおりです。本当にあの時期を思い出しますと、1回目の休校がございましたが、その後、いつまたああした状態が起こるか分からないといった中で、子ども達に小さな画面で授業を受けさせることが、私としては本当に苦痛というか、そうした思いでしたので、そうした判断に至ったところです。全国をみますと、同じ交付金が全て交付されましたが、公費による配布というか、措置が行われた都道府県は半分ほどで、岐阜県はそうした形を取ったということをご理解願えればと思います。
次に、授業内での使用についてですけれども、パーセントが低いというのはやはり教員の側の責任もあると思っていますので、教員研修も含めながら、今後、授業の中でより効果的な使用を進めていくということは必要だと思っています。
合わせて、昨日来、一昨日からですが、自民、公明、そして中川先生の共産の代表質問で、タブレットの効果検証についてご質問がありました。非常にそれは、私としては重く受け止めております。ですから、こうしたタプレットが私費の負担によって今後も整備されていくためには、効果検証というものが、国では十分行われているために、国からのメッセージは届いておりますが、この岐阜県においても、県立高校においても、そうしたものをしつかり検証して、それを県民の皆様方、保護者の皆様方にお示しすることが何より大事なことだと思っているところです。
【再々質問 中川】
全国的に見ても、補助制度を設けていたり、全額保護者負担にはしないといった対応をとられているところがある。署名活動でも負担軽減が求められているとのことである。今回の方針について、再検討の余地があるのではないか。
【答弁 教育長】
購入に対する支援といった点ですが、先ほど申し上げたように、限られた予算の中で、今回、教育委員会として考えているのは、低所得者のご家庭に対する支援について、来年度に向けて考えていくつもりでおりますので、一律に全てのご家庭にするのではなくて、今回はそうした形の支援を選択させていただいたとご理解願えればと思います。
あわせて、一律のタブレットの配布について、もう一つ申し上げますと、個々の生徒は、タブレットに対するニーズが非常にやはり異なります。高度なことをパソコンでやりたい、タブレットでやりたいと思っている生徒もいます。実際に、昨年から個人パソコンの学校への持ち込みを許可しておりますが、多くの生徒が、自分のものを持ってきています。その中には、現在貸与しているSurfaceよりも高度なものを持ってきている生徒もおりますので、そうした、生徒のタプレット、パソコンを使う柔軟性、そうしたものも、今後、私どもとしては視野に入れて今回の対応をとらせていただいたところです。
(2)使用実態と学習効果の検証を踏まえたタブレット端末の必要性について
【質問 中川】つづいて、使用実態と学習効果の検証を踏まえたタブレット端末の必要性について教育長に伺います。高校生に聞くと、中には、「授業ではほとんど使っていない」、「学校との連絡はスマホの方が便利なのでタブレットは使っていない」「専門的な学習が多く、パソコンルームのパソコンを使った授業が主流だ」などの声もお聞きします。
県教育委員会が令和7年1月におこなった県立高校生徒用のICT活用に関するアンケートでは、1人1台のタブレット端末を使った授業の頻度は、「ほとんど」「半分くらいの授業」と答えたのは20%、「一部の授業で使った」が69.3%、「全く使っていない」が11%。前年度に比べ、ほとんどの授業、半分くらいの授業との回答は5ポイント減り、逆に「全く使っていない」が3ポイント増えています。家庭学習を含む授業以外の活用については、「ほとんど使っていない」が55.3%であり、生徒の半数以上が使っていないと答えています。
この調査結果をみると、使用状況は一律ではなく、県内全ての県立学校で全員1人1台タブレット端末が必要なのか?学科によっては、さきほどの高校生のご意見のように、学校にある高性能なパソコンの活用こそ重要なのではないか、など、少なくとも一度利用状況を丁寧に検証する必要があると感じます。そもそもタブレット端末はあくまでツールであり、どうしても取り入れないといけないというものでもなく、どう教育に取り入れるかの探求はまだまだこれからだと思います。これは学習効果についても同様です。
海外では、デジタル教科書を導入したのち、その効果から紙に戻す判断をした事例もあります。ICT端末を全て無くすことは現実的とは思いませんが、頻度や使った平均時間といった表面上の検証だけではなく、多くの専門家が指摘している、視力低下や深い考察にたいする阻害について慎重に検証し今後に生かしていただきたいと思います。
そこでお聞きします。タブレット端末の導入から5年となります。使用実態と学習効果の検証を踏まえて、タブレット端末の必要性について判断すべきではないでしょうか。
【答弁 教育長】
現在、タブレット端末の利用頻度は議員ご指摘のとおりですが、GIGAスクール構想も第2期を迎え、より効果的な端末の活用の実践を重ねているところです。端末を導入することにより、生徒の興味や関心に応じて、自ら立てた問いを検証し、端末を使ってまとめたものを発表したり、宿題を家庭から電子で提出できたり、さらには、生成AIを活用することで、より完成度の高い小論文や英作文を完成できるようになった。そうした意見をいただいております。こうしたことにより、今や端末は欠かせない学習ツールとなっております。
生徒から、授業への関心が高まり、学習意欲が向上し、学習内容の理解も深まったなどの声もあり、学習効果を確認しているところです。今後も、引き続き学習効果を確認しながら、生徒の方々にも端末の必要性をご理解いただけるよう、丁寧に説明してまいります。
(3)高等学校就学準備等のための経済的支援について
【質問 中川】続いて、高等学校就学準備等のための経済的支援について知事にお聞きします。
令和5年度に岐阜県が実施した「少子化に関する県民意識調査」では、理想の子ども数より予定の子ども数が少ない理由で、ダントツで多かったのは「子育てや教育にお金がかかりすぎる」で64.4%でした。こうした結果を受け、県では高校就学準備へ支援を始めることになりました。6万円から11万円という価格は、すべての家庭で簡単に用意できるものではありません。また、合格した高校によって指定が変わるという点も心配が尽きないところです。
県では高校進学時等の負担軽減として全ての中学3年生に③万円を支給する事業を行っていますが、金額の引き上げなど支援の拡充が必要ではないでしょうか。お考えをおきかせください。
【答弁 知事】
県では令和5年度から、蕎等学校進学時の保護者負担を軽減するため、中学校3年生の生徒に対して、一人当たり3万円を一律に支給してまいりました。
一方、国におきましても、教育費も含め、子育て家庭に対する経済的支援の拡充が進められているところでございます。
例えば、昨年10月には「こども未来戦略」に基づき、児童手当の支給対象がこれまでの中学生以下から高校生世代にまで拡大されまして、高校3年間分として、一人当たりの受給額は、36万円増加することになりました。さらに、この手当は、親の所得にかかわらず、全ての子どもが支給対象となっております。
来年4月には、高等学校の授業料について、私立高校も含めて実質無償化が開始することとなっているのは、ご案内のとおりです。こちらも保護者の所得要件が撤廃されております。更に私立高校にあっては支給額が大きく増額されるなど、家庭の経済状況にかかわらず、全ての高校生が授業料相当の支援を受けることができるようになる見込みでございます。
このように、国においては、子どもに対する一律の支援が拡充されることを踏まえまして、県としては、逆に真に支援が必要な子ども・子育て家庭に重点を置いた施策への移行を検討すべきタイミングにあると考えております。
県では現在、極めて厳しい財政状況を乗り切るために、来年度当初予算編成に向けた事業見直しを行っているところでございますが、こうした国の動きも見据えつつ、今後、貴重な県費を使ったより効果的な支援の在り方を検討してまいりたいと考えております。




