2025年3月21日 2:46 am
カテゴリ: 活動報告
議第1号 令和7年度岐阜県一般会計予算
当初予算の問題を2点述べます。・県財政と今後の公共事業の優先順位について
知事は財政状況が厳しい事を説明されました。私もその通りだと感じています。しかし、この予算案からは厳しい財政状況をのりきる展望が見えてきません。今回、新年度予算案発表にあたって、参考資料として公債費のこれまでの推移と今後の見込みが示されました。ここでは県が過去に危機的状況を脱するため行った県債の償還期間延長、つまり借金の返済を先送りしてきたツケが、今来ていることが分かります。
また、少なくとも、今の規模で起債=借金を続けると、8年後には今より公債費が150億円以上増大することも明らかになりました。
これは江崎知事が掲げる10の目指すべき目標の実現、そして県民の福祉や教育ニーズに応えていく貴重な財源が失われるということです。
先送りという点では、老朽化している公共施設、公共インフラへの対応も待ったなしの課題と言えます。
長寿命化対策で使用年数を50年から65年に伸ばしたことで、これまでは経費を節減できたとのことですが、その分、今後は築65年を超える公共施設が令和20年までに約100施設を超えるとされています。県管理の道路、橋、水道などの老朽化も同様の深刻さです。
こうした現状を見てみますと、これまでの岐阜県は根本的な財政の立て直しをはかったわけでなく、県債の償還も、老朽化した公共施設への対応も、将来に負担を先送りしてきたと言えます。
今後の対応は、「県の負担割合が小さいところのものについて、優先順位を振り向ける」というやり方ではなく、県民の安心安全にとって必要なものに優先順位を振り向けるべきだと考えます。
当初予算では、普通建設事業費は、前年度の概ね8割で計上し、骨格的予算とし県債の規模は抑えられている一方、県債が最も多く充てられている直轄道路事業負担金は、県債額ベースで前年とほぼ同額約120億円強となっています。あまりにも予算を集中させすぎではないでしょうか。
これまで毎年、この議場で指摘してきましたが、県債増大の一番の要因である県債依存度の高い大型公共事業の優先度を見極め、国の事業ではあっても県の財政状況に見合ったスピードを国に主張していくべきと考えます。
そして、公共施設や道路の老朽化は突発的な事故を招きかねず、公共事業の中で最も優先度を高め躊躇無く対応するべきです。
これまで以上に起債が難しくなる中で、何を優先させていくのか、何を抑えるのか。安全面を第一に、明確な判断基準を県民に示していただく必要があると思います。
・県債だけでなく、県全体の事業の優先順位も厳しく見極める必要がある。
新年度予算は「古田県政をひきつぎ、足りない部分を増やして江崎カラーを出した」と記者会見で説明されておられましたが、引き継ぐばかりでなく、引き継がない決断もすべきです。県政世論調査で、暮らしが苦しくなったと回答した方が3年連続で5割を超え、健康、体力、収入、介護に不安を感じるという回答が多いというのは、今の岐阜県政で足りていない課題を表しています。
これまでの古田県政では全国的な規模の大規模イベントが多く開催され、そこに多くの税金が投入され、多くの県職員が従事してきました。ねんりんピックは開催が決定しており、これは今更見直すことはできませんが、いま岐阜県では、国文祭・総文祭に引き続き、全国規模のイベントが連続してきました。さらに令和7年度は大阪、関西万博「自治体参加催事」として2日間で約8000万円余、国文祭のレガシーとして一周年記念で新たに「ぎふ県民文化祭」の開催約2700万円余なども計画されています。これらイベントすべてを否定するわけではありませんが、財政状況、従事する県職員の仕事量から見て、いま本当に優先して続けていく必要があるのか検討すべきです。地域に根付く文化活動そのものへの支援や、県政世論調査から分かる県民生活を直接応援する取り組みこそ必要です。県民目線で、予算の優先順位を見極めることを求めます。
議第4号 令和7年度岐阜県国民健康保険特別会計予算
国民健康保険の県単位化を進めることにより、高い保険料を軽減するため、市町村が行ってきた法定外繰り入れが無くなりました。令和6年度からは市町村間の保険料水準統一へ向けて段階的に医療費水準の格差を反映しない算定方式が導入されました。これらが、国の財政支援がまったく十分でない中で進められてきたことにより、低所得者が多い保険にもかかわらず高い保険料であるという構造は一層深刻になっております。
保険料水準の統一は、国の財政支援が十分でないため、医療給付費が少ない市町村が高い市町村を財政的にカバーする事になり、医療費が少ない市町村ほど保険料が引き上がる矛盾も指摘されています。令和7年度は、保険料水準の統一に向けた段階の2年目です。負担の公平性の観点から、協会けんぽと同水準まで保険料を引き下げるため、国の財政支援はもとより、当面、県の一般会計からの繰り入れなども検討すべきと考えます。
議第9号 令和7年度岐阜県徳山ダム上流域公有地化特別会計予算
旧徳山村村民が、ダムで村が水没したあとでも自分が所有する山林に立ち入るため道路整備が約束されていましたが、これが反故にされ進められた公有地化事業です。事業そのものに反対しております。議第10号 岐阜県県営住宅特別会計予算
県営住宅の集約化・縮小化が令和4年度までの第一期に引き続き、現在、2度目の縮小化が進められています。縮小化に伴う転居は入居者の経済的、心理的、身体的負担が非常に大きいにも関わらず、すぐに2度目の縮小化が始まり、数年で再度の転居を求められるなど、安心して住み続けられるかどうかも分からない状況です。当初は縮小化によって入居率を上げることが説明されてきましたが改善しておらず、縮小化がきっかけで退去される方も出ております。
県営住宅は住宅のセーフティネットです。入居率の改善のために、バリアフリー化や住環境改善に向け優先的に取り組むとともに、必要な管理戸数を明確にした上で、入居者が振り回されることのない計画的なとりくみを求めます。
請願第32号 長良川河口堰の運用見直しとゲートの試験的開放の議決を求める請願
採択を主張します。ゲートの開放により塩害が懸念されることが不採択理由だと先ほど報告されました。しかし、その根拠は4半世紀前の計算技術で作成された図面であり、起きるか起きないかは少なくとも現況の河床(かしょう)データや実態に即した解析データをもとに議論すべきです。
この請願では、前文で長良川の河川環境への影響について詳しく述べておられます。
先日、岐阜市役所で県立岐阜高校の皆さんが長良川鮎は河口まで降下できているか、と題した研究結果が発表されました。河口までの降下の時間を河口堰運用前と比較するなど非常に興味深いものでした。
長良川河口堰は運用から今年で30年になります。若い世代にとっては、生まれる前から存在するものになりつつある中、汽水域の破壊が環境にどれほどの影響をもたらしているのか、河口堰が生物にどういった影響を与えてきたか、運用はどうあるべきか、請願の趣旨にそって検証すべき時だと考えます。