中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

岐阜県議会2025年第1回定例会(3月議会)中川ゆう子一般質問議事録(リニア中央新幹線の整備事業について)

2025年3月19日 5:22 am
カテゴリ: 活動報告

3、リニア中央新幹線の整備事業について

質問 中川

続いての質問に移ります。昨日、地元の小川議員も取り上げておられたリニア中央新幹線の整備事業についてです。

小川議員の質問を伺って、地元の様子、深刻な状況について、地元の声を、切実な声を踏まえて紹介され、本当にその通り、深刻な問題だなと改めて感じておりましたし、そういった思いで聞かせていただきました。

このリニア中央新幹線のトンネル工事による地下水の水位低下は、事態が起きてから約1年となりますが、まだ先の見通しが持てておりません。その付近での地盤沈下も続いており、地盤沈下が多い地点は、大きい地点は2月26日時点で9.7cmとなっています。最近は月1cm前後のスビードになっています。

県は、この事業の主体であるJR東海に対し、地域で起きている課題を整理して、環境影響評価審査会などを通じて意見を言っていくという立場です。住宅に影響が出ている住民の方からは、せめていつ頃どのような対応をするといった連絡ぐらいは欲しいなど、JR東海と住民のコミュニケーションに関する不満や不信感が広がっています。

今後、この問題を解決していくためには、信頼関係が壊れてしまっては進みません。説明会だけでなく、もっと丁寧な対応が必要ではないかと感じます。また、地盤沈下によってできたであろう住宅敷地内の亀裂などに対し、雨が増える時期に入る前にしつかりと修復しておくべきではないかとも思います。ぜひ、住民の不安に寄り添った対応をお願いします。

また、長期にわたって水位低下が続いていることから、地域の方からは新たな不安の声が出されています。周囲を山林に囲まれた地域であるため、長期にわたる水枯れがどのような影響をもたらすのか、厳しい暑さや豪雨、台風時などにおいて災害リスクはあるのか、倒木などの危険性はないのかなど、災害や安全性に関する不安の声が寄せられるようになりました。また、樹木はすぐに影響が出るものではないため、その変化など長期的にモニタリングする必要があるとの専門家の方からの声もあります。

これまでこの地域で経験したことがないからこそ、専門的で多角的な視点が必要であり、災害リスクの検証については環境影響評価審査会で議論する論点に加えるべきなのではと考えております。県としても、県庁内の部局とも連携し、JR東海に対し防災面での対応を求めていく必要があるのではないでしようか。

( 1 )水枯れや地盤沈下への対応について

そこで、水枯れや地盤沈下への対応について2点、知事にお聞きします。

1点目です。災害リスクの検討が必要ではないでしようか。また、長期的な森林環境のモニタリングの必要性についてもお考えをお聞きします。

2点目です。知事は、選挙中、瑞浪市の地下水位低下に関し、まずは十分な情報提供と地元に寄り添った対応によって住民の納得感を調整することが必要と述べてこられました。住民の皆さんが当初から求めておられることは、環境を戻すことです。JRはその責任を果たすべきであり、その立場でこれまで議論が進められてきたと認識しています。

知事が仰るように、住民の納得感は当然のことですが、重要なのは問題を解決するということであり、この地域の環境を戻して、守ってほしいという住民の声に応えていくことであると思います。そこでお聞きしますが、こうした住民の要望に対し、今後、県はどう対応されるのでしようか。

答弁 知事

リニア中央新幹線というのは、三大都市圏を約1時間で結ぶ日本経済を支える国家プロジェクトであるとともに、日本経済や国民生活はもちろん、この岐阜県にとりましても、経済活性化や観光開発、ひいては一番問題になっております人口減少対策、さらにはまた昨日も議論ありましたけど防災、こういったことを考えるためにも、地域の発展のために極めて大きな可能性をもたらすものであります。
ただ、今回、そのようなリニア事業におきまして、ご質問いただきました瑞浪市大湫町での地下水位の低下や、地盤沈下という事態が発生したことは非常に残念に思っております。まず、その上で、災害リスクの検討及び森林環境モニタリングの必要についてお答えをさせていただきたいと思います。
今般の問題を受けまして県では、環境影響評価審査会の地盤委員会におきまして、自然環境への影響を含めた「影響範囲の把握」について議論しておりまして、現在、JR東海が大湫盆地周辺の現地調査を行っている中で、樹木の枯れなどの調査もしていただいておりますけど、今のところ異常の報告は聞いておりません。
ただ、今後、環境影響の有無やモニタリングの必要性などについてさらに審議を深めるため、「植物」や「生態系」の専門家を委員に加えることとしております。そして、その中で、樹木などへの影響が予測される場合には、災害リスクや長期的な森林環境のモニタリングについても検討対象になるものと考えております。
次に、こうした環境問題も含めた今後の県の対応でございますけれども、まずは、作業工程の大半がトンネルというかつてない規模の工事であることから、残念ですが、不測の事態が生じる可能性はゼロにはできません。大切なのはそうした場合に、地元住民の方々への影響を軽減するため、如何に迅速に必要な対応を行うかということだと考えております。
先日、JR東海の丹羽社長ほか幹部の方から、本事案に関するこれまでの対応について直接説明をしていただきました。私からは住民の不安を取り除くため、起きた事象に対し、JR東海が可能な限り丁寧に対応することが必要である旨を直接お伝えをさせていただきました。これに対しまして、丹羽社長からも、JR東海としてできる限りのことをしっかり行う旨のお話を伺っております。改めてJR東海には、英知を結集して本対策に取り組んでいただくとともに、情報の共有や説明など、地元に寄り添い、丁寧に対応していただきたいと考えております。県といたしましては、さらに地盤委員会での議論を進め、知事としての意見をJR東海にしっかり述べてまいりたいと考えております。

 

再質問 中川

リニア中央新幹線の整備事業について、2点、知事に再度伺います。

まず初めに、災害リスクの検討についてですが、今後、樹木の専門家の方にも入ってもらってこれから取り組んでいかれるということなんですが、加えて、樹木だけの状況じゃないと思うんです、災害というのは。防災の専門家が必要ではないかと私自身思います。こうしたところの災害リスクの検討について、お考えを伺います。

もう1点ですが、地域の環境問題の解決に向けた今後の対応についてということで、JR東海に英知を結集して対応を求めていったということですが、実際、私も、この環境影響評価審査会を傍聴しておりました。この前の1月の審査会では、薬液の注入をするかしないか、しないなら別の案をと求めてきて、その時の回答は、薬液を注入するかしないかの判断は4月以降、しかも、4月に判断できるかもわからないという先送りの回答でした。そして、別の案はというと、実現可能性の低いものであり、事実上、対応は先送りになっております。これが、この1年間続いた1月の状況です。この会議の中で、瑞浪市の市長は、肝心の本注入について、実施をいつ判断するのか示してほしいとも言われておりますし、住民は環境を戻して欲しいと、ずっと仰っております。JR東海が検討する英知を結集してほしいというふうに県が求めるのは当然なんですが、今後の県の対応として、どんなスケジュール感を求めているのか、また、解決に向けて、県としてどのような目標を持って、これから対応に臨まれるのか、そのあたりのお考えを伺います。

答弁 知事

ご指摘のとおり、樹木に関するものだけではございません。今の地盤委員会では、足りないかもしれませんので、これは専門家の参加も含めて検討してまいりたいと思います。そしてJR東海、英知を結集してと言うことと、先だって私も直接伺いましたけれども、JR東海におかれても、どういった取り組みが良いのか、また近隣で起きている、いろんな事象を参考にしながら、何がベストな対応なのかということを、まさに検討しておると言っておられましたので、先だってはまだ最初のご挨拶も兼ねた話でしたから、これから私も直接またお会いすることによって、情報をいただくとともに、今後のスケジュール、それを踏まえて私も対応していきたいというふうに思っております。

(2 )事業の再検証について

続いて、事業の再検証について知事にお聞きします。

私自身は、リニアについて、技術そのものを否定するわけではありませんが、省エネ時代にもかかわらず電力効率が悪いことに加え、地震大国の日本における災害やトラブル発生時の対応、事業の採算性など、様々な点で課題が残っており、実用化には早いと考えております。このように、リニアに対する見解は知事とは異なりますが、どの立場であろうと、問題が起きたらまず立ち止まって検証することは必要と考えます。

12月議会で古田前知事は、「事業そのものの検証というのは、本来事業認可をしている国の仕事というふうに思っております」とし、「私どもがやるべきことは、環境保全あるいは安全というところについて徹底的に究明する」と答弁されました。確かに、役割分担としてその点は同意できるところです。県では環境影響評価審査会を設置し議論していますが、事態が起きてから1年、未だに被害は進んでおります。JR東海からは残念ながら、見通しが示されておりません。この問題は、トンネル内の湧水や地下水、地下水位低下は他の地域でも起こりうるにもかかわらず、このまま事業について検証もなく進めてしまってよいのでしようか。そこで、伺います。工事によって起きている諸問題を踏まえ、国における再検証を求めていくべきと考えますが、いかがでしようか。

答弁 知事

そして、その上で、リニア中央新幹線の事業の再検証をしてはどうかというお話をいただいております。
先ほどの答弁でも申し上げましたけども、リニア中央新幹線というのは日本経済を支える国家プロジェクトであるとともに、岐阜県にとっても、経済の活性化をはじめ、人口減少対策、防災など、地域の発展のために極めて大きな可能性をもたらすものでございます。
ただ、リニア工事に伴う問題が生じた場合には、まずは迅速に環境への影響や住民の不安に丁寧に対応していく、これが大切であることは言うまでもございません。このため、今後、JRとの関係、特にこのコミュニケーションが大切だとご指摘いただいておりますが、そのとおりだと思っておりますので、しっかりコミュニケーションを図りながら、県として言うべきことをしっかりJR東海に伝えていきたいと思っております。
その上で、こうしたリニアの将来についての議論をすべきだと思っておりますので、現在のところ、国に対してリニア事業そのものの再検証を求めるということは考えておりません。

 

 

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