中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

岐阜県議会2025年第1回定例会(3月議会)中川ゆう子一般質問議事録(県財政について)

2025年3月18日 2:36 am
カテゴリ: 活動報告

2、公債費増大による厳しい県財政への認識と今後の対応について

質問 中川

続きまして、2項目目の公債費増大による厳しい県財政への認識と今後の対応について知事に質問します。

公債費、いわゆるこれまでの県の借金返済の増大が深刻なラインに来ています。

県の資料によりますと、返済額は令和7年度で1,144億円にまで増えており、今までの規模で起債を続けると、近い将来、危険水域になる可能性が高いとのことです。起債は、例外的なものを除くと、基本はハード事業、公共事業を行う時に起こすものである以上、公共事業を抑える優先順位をつけてやっていくしか抜本的な解決策はないと思います。

前の古田県政では財政の立て直しを図ったと言われていますが、県債の償還期間、つまり、借金の返済期間を20年から30年に延ばし、まずは危機的な事態を脱するというやり方でした。これまで指摘申し上げてきた県債の増大の要因となった県債依存度の高い大型公共事業にメスを入れるということはしてこなかったと思います。

さらに、公共施設においては、使用年数50年を超える建物が集中しているため、予防・保全などの長寿命化対策で使用年数を65年に延ばし、再整備を先送りする対応を取ってきました。これで経費が削減されたとしています。しかし、今後は、使用年数を伸ばしてきたことにより、築65年を超える公共施設が令和20年までに約100施設を超えるとされており、使用年数を伸ばす対応も限界にきております。これは、建物だけにとどまらず、道路や橋、水道、下水道などの公共インフラも老朽化が進んでおり、今後深刻さが加速すると見られます。

こうした現状を見てみますと、岐阜県は、実際には根本的な財政の立て直しが出来てきたわけでなく、県債の償還も、老朽化した公共施設への対応も、将来に負担を先送りしてきたとも言えるのではないでしょうか。古いものを建て替えずに大事に使うという考え方は一定程度理解できますが、教育施設や道路など教育や命に関わる施設の老朽化は、今後突発的な事故を招きかねず、適切な更新、維持管理は躊躇なく行っていく必要があります。

私は、公共事業やそれに伴う県債全てを否定するものではありません。以前から申し上げてきましたが、公共事業の中心は、新しく大規模な道路を作るというやり方から、老朽化対策や安全対策に軸足を移す時が来ていると思っております。新年度予算案においても、最も多くの県債を充てるとされている事業は、直轄道路事業負担金で、県債は約125億円となっています。さらに、今後は、徳山ダムから木曽川まで地下トンネルで大量の水を導水する木曽川水系連絡導水路事業が実施される予定となっており、県としても多額の負担が出ることになります。こうした大型事業をこれまでどおり進めていったら、知事が自ら示しておられるように、厳しい財政状況は打開できず、公債費の増大で県民の福祉や教育に使う財源が失われていくことになります。

これは、10の目標を実現するためにも大変大きな問題だと思います。県債の依存度が高い大型公共事業に対し、慎重になるべきだと考えます。例えば、年ごとの起債の規模について一定の水準を持ち、公共事業は必要性や優先順位をしつかり見極めた上で行うべきではないでしょうか。

知事は新年度予算案の記者会見で、「古田県政を引き継いだ上で、それを一番いい形で生かして江崎県政に引き継いだ感じ。予算も組織も何一つ切り捨てることはしていない」(読売新聞)と語られています。大型公共事業にメスを入れられなかったことで、厳しい財政状況を招いている以上、何を引き継ぎ、何を引き継がないかを明確にすべきではないでしょうか。

そこで、知事に質問です。公債費の増大についてどのような認識を持っておられますか。また、今後どのように対応されるか、お考えを伺います。

答弁 知事

まず公債費の状況でございますけれども、ご指摘のとおり、財政危機当時の対応策として、県債の償還期間を20年から30年に変更したことから、先送りとなりました県債、これを今後償還していく必要があるほか、近年、ここ何年かの公共事業予算の増額に伴う県債発行の増加によりまして、公債費は今後も増加が続く見込みでございます。仮に、今年度の補正後の、今回上程した予算ですけれども、発行額である826億円の規模で、今後も県債発行を続けた場合でございますが、公債費は令和14年度には、令和7年度に比べて162億円増加するということが試算的には見込まれます。現在、県の裁量で行っている予算が確保できなくなるという計算になります。従ってこれは大変厳しい状況にあるというふうに認識しております。
しかしながら、一方では、まさに議員ご指摘のとおり、近年頻発化・激甚化する自然災害への対応、そして県有建物の老朽化対策など、県民の安全・安心の確保に必要な公共事業については、しっかりと進めていく必要があると考えております。そうした意味では、例えば、直轄道路事業でいいますと、東海環状自動車道西回り区間につきましては、南海トラフ地震時における他県からの避難者受け入れや緊急物資の供給など、大規模災害時の緊急輸送道路としての機能を大きく期待されているものでございます。
一方で安全・安心に関わる事業であったとしても、財源が必要であることには変わりありません。従いまして、県の負担がより少なくなるよう、知恵と工夫を生かしてまいりたいと考えております。また、令和7年度当初予算では、公共事業につきましては、当面の執行に支障をきたさない規模として前年度の8割という形で計上しておりますが、今後の補正についても、緊急性の高い事業を優先するとの観点から精査してまいりたいと考えております。

再質問 中川

公債費の増大による厳しい県財政への認識と今後の対応についてということで、知事に再度伺います。

色々こう厳しい、しかし一方で必要な公共事業はやっていくということで伺うと、これまでの岐阜県のスタンスとあまり変わらないのかなという思いがしました。これまでも慎重に対応していますと、それからバランスを考えてやりますと言った結果がこれですから、そう思うと、これが厳しい状況を招いてしまっているので、あともう一歩何かないのかなと思っております。

そこで、答弁の中で、知恵と工夫をしていくと仰いました。これは何なのかなという、これがあの打開策として考えておられるのかなというふうに思います。これについて、もう少し具体的にお聞かせいただきたい。例えば、これによって起債の規模は減るのか減らすのか、今後、公債費はどれほどの規模にするのか。具体的な見通しがあって初めて県民は安心するものだと思います。そのあたり、お願いします。

答弁 知事

先だって答弁させていただきましたけれども、実は私が商工労働部長に着任したときには、ほぼ財政危機状態の真っただ中でありまして、商工労働部政策予算ゼロというところで、私はまさに部長に就任させていただきました。
ないところから持ってくるというのは無理なので、あるところから持ってこようということで、まず今の足元から申し上げると、そうは言ってもまだある県単の予算をいかにうまく使っていくのか。これも前申し上げたように、やはり県の負担の割合というのがありますので、できるだけ割合の小さいところのもの、これは逆に言うと緊急性が高いものが多いんですけれども、そちらにより優先順位を振り向けていくということで精査するというのが1つ。
もう1 つは、商工労働部長の際にも対応させていただきましたけど、国の制度で、意外に使いにくいもの、現場に合っていないもの、こうしたものを国に対して意見を申し上げに行き、使いやすくする。それと同時に、それを使うことによって当時確か、ゼロだった予算ですけど、274億円を国の方から県費負担ゼロでいただきまして、それを各部で使っていただくような対応ができたかと記憶しているところでございます。
さらには、今起きてる事象、これは国の持ってる制度の中だけで考えているので、非常に厳しいこともあるんですけれども、例えば災害について、先ほどの要望もそうですけども、むしろ新しい制度を求めていくということも大切だと思っておりまして、それによって国の方で、新たな資金給付の可能性を求めていくと、これはまさに知恵と工夫であり、かつて商工労働部長時代に対応したことを、さらにこれを県全体で進めていきたいというふうに思っております。

再々質問 中川

公債費について知事に再度伺います。

確かに、財政厳しい時代に部長をやっておられて、確かあの時は市町村への補助もかなりカットされましたし、その中には、子どもの医療費の無償化に関わる福祉医療に関わる予算までカットされました。そういう意味では、命に関わる部分のカットまでしないといけなかった。もうこれは私、行政としてやるべきでなかったと未だに思っておりますが、こういった事態を決して招いてはならないというふうにも改めて感じております。

そこで、今、知恵と工夫についてお答えいただきましたが、私は、重要なのは、知恵と工夫をして、県の負担を少なくしてやっていくんだっていうことだけでなく、何をやって、何をやらないかの判断基準を明確にすると、これがとても重要だというふうに思っております。いろいろな有利な補助金や交付金を使ったとしても、その後の維持管理というのは県ですから、それがどんどん膨らんでいるのが、まさに今直面している問題でもあります。

私は、防災とか老朽化対策、これを最優先にやって、毎年の起債の基準を、大体の水準を持っておく、その中でやるべきこととやらないことをしつかりと基準を持っていく、それが重要だと思います。どうやって基準を持って判断されていくのか、今後の対応について再度お答えをいただきたいと思います。

答弁 知事

先ほどご指摘いただきました部長時代の取り組みでありますけれども、確かにあの頃は市町村に対する予算もカットされましたけれども、おかげさまで厚生労働省からいただいてきた予算でございまして、274億円、すべての市町村、希望するものについては団体も含めて、使っていただきました。確か一番使っていたのは警察だったと思いますけど、本当にそういったことで、やり方によっては本当に手が届かないところにもいく、人件費に使えたということがありましたものですから、その工夫は引き続きやっていきたいと思っております。
その上で今ご指摘ありましたように、もちろん、たくさんあればいいというわけではなくて、真に県民の安心・安全を中心に、必要なものをやっていく、この方針にはゆるぎないものがございます。なので、そうしたできるだけ県のお金を大事にした上で、それをどこに使っていくのかということに関しては、やはり緊急性、そして重要性といった観点、それからその効果、さらには将来の負担、今ご指摘ありましたように、後年の負担が発生するものでございます。
こうしたものを勘案しながら、事業の優先順位をつけながら、これから取り組んでまいりたいと思っております。

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