中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

令和6年度第5回定例会(12月議会)一般質問議事録(災害時等の避難について)

2025年1月15日 3:25 am
カテゴリ: 活動報告

2024年第5回定例会 中川ゆう子県会議員の代表質問及び県当局の答弁

(2024年12月13日)

4、災害時等の避難について

中川

最後に、災害時等の避難について質問します。

避難生活で命を落とす災害関連死を防ぐため、避難所の環境改善について令和6年3月議会で質問させていただきましたが、それに続いて質問いたします。

避難所や難民キャンプにおける国際的な基準、いわゆるスフィア基準は、 避難者の健康を維持するための最低基準とされていますが、日本においては多くの避難所でまだまだその水準に届いていないのが現状です。前回の議会答弁では、県の避難所ガイドラインはこのスフィア基準の考え方に準拠していること、市町村に対して経費の支援を行う旨の答弁がありました。市町村においては、能登半島地震の教訓も踏まえつつ整備が進められている自治体もありますが、現場の状況を見ると、さらなる財政支援が必要だと感じております。

また、避難所の運営に関しても、未だに炊き出しや掃除は女性の仕事といった固定観念が根強いという指摘もあり、財政的にも避難所運営の考え方の面でも課題があると感じます。

そこで、避難所の環境改善について2点お聞きします。

(1)避難所の環境改善について

① 市町村への支援について

1点目は、危機管理部長にお聞きします。

県内どの避難所でも国際基準に沿った避難所を実現するために、市町村への財政支援を含め支援できないでしょうか。お考えをお聞きします。

答弁 危機管理部長

県では、どの避難所でも一定の水準が保てるよう、市町村の避難所運営マニュアルの指針として策定した「県避難所運営ガイドライン」について、スフィア基準に基づく見直しを行うとともに、ガイドラインに従いマニュアルを改訂するよう市町村へ助言しています。また、避難所の環境整備のため、停電対策用資機材や、女性、高齢者などに配慮した資機材を整備する市町村を財政支援しております。

これらの取組みに加え、今後、能登半島地震での課題を踏まえ、避難所の衛生環境確保に有効であったトイレカーの活用等について記載を追加するなど、ガイドラインの内容を充実するとともに、災害時には県が今年度購入するトイレカーを被災地へ持っていき、市町村を支援いたします。さらに、被災地での活動経験を有する専門家を招いた避難所運営研修の開催も検討してまいります。

なお、これまで国に避難所整備への財政支援を要望してきたところですが、新たな交付金の創設や支援物資の分散備蓄などを行う方針を国が示していることから、その動向を注視してまいります。

②福祉避難所の実態把握と支援について

中川

続いて、長い避難所生活で健康を害することのないように、妊娠中の方、障害者、高齢者など特別な配慮が求められている方々に対する避難所、 福祉避難所について健康福祉部長に伺います。

大変重要な役割ではありますが、実際に指定されている社会福祉施設の施設管理者からは、 開設までの流れや、その際の資材をどうするか、受け入れ体制がどうなるのか、受け入れた際の入所者への影響などについて具体的な協議が市町村と行われておらず、全く情報がないといった不安の声が寄せられております。

例えば、施設で資材や備蓄を揃えようとしても、 介護施設は、介護保険制度の枠組みの中で利用者の利用料と介護報酬を財源に運営されており、利用者以外の方々に対する食料やオムツなどの介護用品、ベッドなどを用意する財源はありません。そのため、事前に準備しておく備蓄品については、施設に財政負担が生じない形で準備しておくべきだと思います。

しかし、県が行った市町村の福祉避難所に関する備蓄状況の調査では、食料や水の備蓄は県内約2割の市町村でゼロであり、介護用品に至っては3割以上の市町村で備蓄がされていないようです。決して十分とは言えません。高知県では、福祉避難所として機能するために必要な物資、機材などの購入にあたって、市町村への補助制度を創設しています。こうした取り組みが岐阜県でも必要だと思いました。内閣府福祉避難所の確保運営ガイドラインでは、福祉避難所の指定にあたって、福祉避難所での支援内容、方法、費用負担を明確にする協定を結ぶことや、資材の確保について協議しておく旨が示されております。

災害時に速やかに開設できるよう、平時から 都道府県と市町村等と情報交換や事前協議を図っていくことが重要ともしています。協定が形式的なものにならないよう、少なくとも、福祉避難所開設に関し、施設管理者に事前に必要な情報が届き、協議がされるよう、きめ細かい取り組みが求められていると感じております。

そこで、健康福祉部長にお聞きします。福祉避難所の資材や備蓄状況をつかみ、財政支援を含めた支援ができないでしょうか、伺います。

答弁 健康福祉部長

内閣府が定める「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」において、福祉避難所で必要とされる資器材は、市町村が、施設管理者と連携して備蓄するものとされています。このため県では、市町村向けの災害時要配慮者支援マニュアルや研修において、食料や水のほか、車いすや歩行器など必要な資器材の備蓄を呼びかけるとともに、毎年市町村の備蓄状況の調査や個別ヒアリングを実施し、その結果を踏まえた助言を行っています。加えて、県内11の福祉関係団体と協定を結び、福祉避難所の資器材が不足した場合に、団体加盟施設の資器材を融通いただく体制を確保しており、本番を想定した情報伝達訓練も行っています。さらに、先月には、全国351社の福祉用具の供給事業者等からなる日本福祉用具供給協会と協定を結び、発災時に県が福祉避難所における資器材ニーズを把握し、同協会に供給いただく体制を整えました。これらの取組みにより福祉避難所の運用を支援していくほか、財政支援について、まずは他県の状況などを調査してまいります。

再質問 中川

調査をしていくということでしたが、調査にとどまらず、県としての支援について伺います。県内における福祉避難所は、開設実績がほとんどない中、大規模災害時には必ず必要になるため、特に力を入れる必要があると考えています。先程紹介した高知県の支援メニューでは、単に物資の購入だけでなく、施設の避難所運営訓練に係る経費など、避難所の運営に関する支援も行われています。調査だけでなく、そうした支援の必要性についても認識を伺います。

答弁 健康福祉部長

最初にご答弁申し上げたとおり、今、県として、市町村の調査ですとか、個別のヒアリング、それから、それを踏まえた助言、さらには、研修、図上訓練、実地訓練等を行っております。議員にご指摘いただきました高知県の事例につきましても、しっかり調査をして、県としてできることを進めていきたいと思っております。有事の際に、福祉避難所が有効に機能するように、やれることをやっていきたいと考えております。

(2)分散避難システムの改善と周知について

中川

続いて、県が進めている分散避難システムについてお聞きします。

指定避難所の定員は、想定する被災者数と比較して少ないことや様々な理由から、身近で安全な場所での分散避難を進めることは有効な取り組みだと感じております。県では分散避難を進めるためのシステム開発が行われていますが、まだまだ多くの県民に知られておりません。また、このシステムを活用することで分散避難している方々へも支援物資が配布、準備できるとの説明が過去の議会答弁でありましたが、 実際には、分散避難システムに登録しても、市町村によっては備蓄食料や様々な支援が受けられる体制が整っていないのが現状であり、県民にとっては登録にあたってのメリットが見えづらいのも課題です。そこで、危機管理部長にお聞きします。

岐阜県が進める分散避難システムの改善と周知が必要ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

答弁 危機管理部長

分散避難システムは、知人宅など避難所以外の場所へ分散避難した方の情報を収集し、適切な支援を行うため整備したものであり、現在、支援に役立つ情報をより多く収集できるよう改修を進めております。具体的には、市町村の要望を踏まえ、避難者の中に高齢者、障がい者、妊産婦など配慮を要する方が何人おられるか入力できる項目の追加などを行うこととし、年度内の完了を予定しています。

また、本システムの利用促進のため、二次元コードを用いて即時にシステムへ誘導できる環境を整備するとともに、広報媒体などを活用した周知啓発にも取り組んでおります。今後も、市町村防災担当者会議などの場で、本システムを活用した分散避難者への支援体制の整備を働き掛けていくほか、防災教育フェアやLINEなどを通じ、広く利用を呼び掛けてまいります。さらに、災害時に本システムを円滑に利用していただくため、地域の防災訓練などで画面操作が体験できるよう機能の追加も検討してまいります。

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