2025年1月14日 5:12 am
カテゴリ: 活動報告
それでは、日本共産党の代表質問を行います。
1、県財政について
中川

古田知事、20年間の県政運営の中で大きな課題の1つとしても取り組まれてきた問題ですので、最初に質問をさせていただきます。
秋に公表された県政世論調査では、今後、県が重点的に進めるべきだと思う分野では、高齢者福祉が最も高く約33%、次いで防災対策、子育て支援という順で結果が出ております。県はこうした県民の声にしっかり寄り添うべきであり、そのためにも財源を計画的に確保することが今、大変重要になっていると考えます。
そこで、県財政について、現状と、そして今後の課題についてお聞きしたいと思います。
今議会、一般質問初日に知事は、県財政は厳しい状況にあり、今後も続くという旨述べられました。
今後、公債費の増加、いわゆる県の借金の返済ですが、これが増えるということが見込まれるということです。県の財政規模に対する県債、いわゆる借金ですけれども、この県債の返済規模を示す実質公債費比率は、最新の令和5年度決算では8.3%となっています。しかし、これが令和6年度当初予算資料によると、このままの規模で起債を続けると 今後4年間で急激に悪化して、9年後、令和15年度には13.1%まで上昇するという見通しが示されております。
この実質公債費比率は県の財政規模における借金の返済規模を示すものですので、1%は、岐阜県の現在の財政規模だとおよそ40億から50億円に相当すると言われています。 上昇すればするほど、将来の福祉や教育などに充てる財源がなくなっていることとなります。この間、多くの県民からの請願を、私は、この議会で紹介議員として提出させていただいてきました。多くのものは他の議員の皆さんにも理解を示していただきましたが、それでも課題は財源というところで不採択になるものもありました。例えば、教育費の中で最も重い学校給食については、国が無償化の方針を決めたものの、いまだ時期は不透明であるため、東京都のように都道府県が財政支援をする事例が出始めております。仮に、2分の1を市町村に財政支援し、全県の小中学校の給食を無償化するとなると、41億円ほどが必要です。
岐阜県内市町村や首長からは、子どもの医療費助成の岐阜県の財政支援を小学校入学前から義務教育終了まで引き上げてほしいという要望が出されてきました。今回、同様の請願を今議会にも提出させていただいております。中学校卒業まで一気に県の助成制度を拡充するとなると、県負担は約21億円。18歳まで無料にする都道府県が増えておりますが、そうなると、必要な財源は約27億円です。
先の9月議会で質問させていただいた県立学校の体育館へのエアコン設置については、 教育委員会としてエアコンの必要性を認めておられますが、それでもすべての県立学校の体育館に設置するには約70億円かかるとの見通しが示されました。
先ほどの実質公債費比率の上昇というのは、上昇分だけでこれら3点、一気に実施できるほどの規模の財源が公債費で失われるというものであります。それほどの深刻なことだと私は受け止めております。
臨時財政対策債を除く県独自の県債は、ほとんどが公共事業に伴うものです。今議会で追加議案として出された補正予算案の中でも、県債が約90億円追加となっております。
先の9月議会でも、県債は約96億円が追加の補正予算として出されました。公共事業をやるべきでないということは決して申し上げません。しかし、その内容を精査し、せめて年間の起債額と返済額のバランスを慎重に見ていくべきではないでしょうか。県では適切な起債額の目途を持っていないということでしたが、災害など想定外の事態は別にしても、本来は起債の目途を持ち、慎重になるべきだったと考えます。
※岐阜県実質公債費比率の推移(令和2年度・6年度当初予算編成資料を基に独自作成)実質公債比率推移
(1)県財政の見通しと県民生活への影響について
そこで質問です。1点目、知事にお聞きします。今後の公債費は、今年度と比べ年間どれほど増えると見ておられるでしょうか。行政サービスを充実させる財源がなくなるだけでなく、現在のサービスの維持も難しくなってくるのではと思いますが、どのような影響が出るでしょうか。(2)実質公債費比率悪化の要因について
2点目、総務部長にお聞きします。この実質公債費比率悪化の要因は何だとお考えでしょうか。答弁 総務部長

1つ目は、県債発行額の増加です。近年、激甚化・頻発化する自然災害に対応した県土強靱化対策や、県有施設の改修・改築などの老朽化対策を推進していることから、その財源となる県債発行が増加し、公債費も増加しております。
2点目は、元利償還金への交付税算入額の減少です。実質公債費比率の算定では、分子となる元利償還金から交付税算入額が除算されるため、算入額の減少は実質公債費比率の上昇につながります。
県債の交付税算入については、国において算入率を下げる累次の見直しが行われました。これらの見直しを受け、近年は交付税算入額が減少しており、実質公債費比率の上昇につながっているものと分析しております。
(3)県債に依存した公共事業の見直しについて
中川
3点目、知事にお聞きします。毎年、県の予算の中で最も県債が大きい事業は国直轄事業負担金であり、これは長年この傾向が続いております。
今年度の東海環状自動車道関連予算は、当初予算資料によると約100億円であり、その9割にあたる約90億円が県債であります。財政健全化を進めたとおっしゃいますが、根本的なところにメスが入っていないのではないかと思います。大部分を県債で賄う大型公共事業を取捨選択できていないのではないでしょうか。
答弁 知事

まず、県財政の現状と今後の見通しでありますが、昨年度決算における公債費は 1,066億円で、実質公債費比率は8.3%ということでございます。今後については、仮に本年度当初予算と同額の県債を発行し続けるとした場合には、公債費は令和15年度までに1,200億円程度に増加し、実質公債費比率は13%程度となるという見込みでございます。また、金利上昇に伴う県債の償還利子の増加が懸念されるところでありますが、仮に金利が1%上昇した場合、公債費は毎年20億円程度、さらに増加することが予想されます。このほか、社会保障関係経費でも、高齢化の進展などにより、毎年今後20億円程度増加を続けていくという見込みでございます。また、今後10年間で70棟以上の県有建物が築65年を超えることから、県有施設の老朽化対策経費の増加も見込まれるところでございます。
一方、歳入では、県税収入や地方交付税などの一般財源がこれらの歳出の増加に対して十分に確保できるかどうかは、現時点では不透明であります。
このように、今後の県財政は厳しい状況が見込まれるため、行政サービスの提供に支障を来さぬよう一層慎重な財政運営を行っていく必要があるというふうに考えております。しかし、そうした中にあっても、県民の安全・安心の確保や、地域活性化につながる公共事業については、推進していく必要がございます。
例えば、東海環状自動車道西回り区間の整備につきましては、大規模災害時の緊急輸送道路としての機能に加えて、企業立地や雇用創出の促進など地域経済の活性化、広域的な観光交流の促進など多くのストック効果が期待され、全線開通に向け三重県とも一体的に進めていることから、着実に推進していく必要がございます。
また、能登半島地震での道路寸断による救助活動の遅れ、孤立の長期化などの事態を踏まえた緊急輸送道路や迂回路となる幹線道路の整備、水害や土砂災害などのリスク低減のための河川改修や砂防施設、治山施設整備なども推進していく必要があります。ただ、こうした公共事業の実施にあたっては、将来負担を十分に考慮しつつ、緊急性、必要性などを見極めながら取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
再質問 中川
知事に、県財政について、県債に依存した公共事業の見直しについて再度伺います。知事は、一層慎重な財政運営が必要と言われましたが、その一方で、公共事業については、緊急性、必要性を見極めつつ推進していくと、そういった内容だったと思います。これはこれまでの答弁でも同じようなことを聞いてまいりました。その結果、先ほど答弁されたように、この先、悪化をして1200億円程度に公債費が増加していくということで、私は、これ自身が非常に県民にとって重い負担になりますし、将来負担として、もっともっと本当は県としてやれることがあるのに、できなくなってしまうのではないか、その可能性を壊していくものに繋がっているんではないかと、そういった質問をさせていただきました。
こうした財政悪化をどうやって打開していくのか、そのお考えを今回示していただきたかったというふうに思っております。色々大変だとはおっしゃいましたが、それでも1番大きいのは、県債に大きく依存している公共事業にメスを入れるしかこの公債費の増加を止めることはできないと、これは先ほどの総務部長の答弁からも思いました。そこの部分について再度伺いたいと思います。
答弁 知事
公共事業にメスを、という話でございますが、予算、財政全体としてのバランスの中で、どういうものを優先順位でやっていくかということ絶えず問いながら、総額と、それから優先度の度合いということを組み合わせて、毎年毎年予算編成をやっていくわけでありますけども、公共事業に関わる県債のウエイトが高いということはおっしゃるとおりでありまして、そういうことも含めて、節度のあると言いますか、慎重な財政運営をということで申し上げているわけであります。今、私ども公共事業でいうと、やはり分野毎に計画的に進めているわけでありますが、それ自身が1つの優先度を考える枠組みになっているわけでありまして、例えば、「岐阜県強靱化計画」の中では、過去の災害の発生状況とか、あるいは災害時における救命、物資輸送とか、緊急性、必要性ということを考えて、優先的に実施すべき道路ネットワークの整備をどうするかとか、水害、土砂災害をどうするか、あるいは社会インフラの長寿命化はどうするか、といったことを1つ1つ積み上げていくと。それからその上で、また各分野毎に、道路は道路の整備計画、河川、砂防それぞれあるわけでありまして、その計画の中で、優先的にどう進めていくかという議論をし、それが全体の予算の中にどうはまっていくか、ということを1つ1つ検討していくということで組み立てていくわけであります。
全体として今の状況を申し上げますと、実質公債費比率がおっしゃるように、間違いなく上がってきているわけですから、13%という数字も見えてきているわけでありますから、慎重な方向でいく時期にきているという認識のもとで、来年度予算編成なり何なりを考えていく必要があります。そういう意味で、ますます緊急性とか、必要性とか、そういったことの優先性についての議論を深めていく必要があると思っております。